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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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特異点

 さて、無事聖都についたわけなんだけど……。


「天使と悪魔が精霊を連れてきたぞ!」


「敵襲だ! ……敵襲なのか?」


「あんなやばそうな精霊連れてきた天使がまともなわけないだろいい加減にしろ!」


「むかしあんな感じで主人公がとぶアニメあったなぁ……」


「NPCは今日も元気だな」


 聖都は大混乱になりました。

 まともに入れそうな雰囲気ではないので、リスポン地点が更新されたことを確認してすぐに離脱。

 添付されてた詳細資料を見ながら砦の場所を探して飛び回っていると、遠くにそれらしいものを二つ見つけた。

 まず片方は真っ白な、見るからに聖都側の砦。

 そしてもう一つは真っ黒な陰鬱とした雰囲気の砦だった。


「あわわわわわ……」


 おっと、祥子さんがよわよわになりかけてる。


「はいミカさんステイ。今よわよわになると落ちますよ、そしてクリスちゃんも堕ちますよ」


「はっ……大人の私がしっかりしなければ……」


 あ、よかった戻った。

 うーん、大人というワードが出てきた辺り責任感とかがあれば普段の感じでいられるのかしら。

 ペットを飼うのもありかもしれないわね、とりあえず後でぬいぐるみ抱かせながらホラー映画見てみましょう。


「どっち行きます?」


「黒い方!」

「白い方!」


 順番にクリスちゃんと祥子さん。


「はい、それぞれの言い分を聞きます。まずクリスちゃん」


「あれがクエストの破壊する砦なら攻め込んで潰しちゃえばいいじゃないですか!」


 至極正論、確かに先手必勝という言葉もあるから正しい手段に見える。

 情報が足りなさすぎるという点を除けばね。

 あとクリスちゃんと祥子さんの戦闘力的に難しそう。


「ミカさんどうぞ」


「じょ、情報収集したいなぁ……あとこういうゲームって抜け駆けとか怒られそう。集団戦の中で突出する人ってリアルでも嫌われるでしょ? 前にロシア行ったとき勝手に先行した奴がいてみんなピンチになったじゃない!」


「あ、はいごめんなさい」


「……そういえば貴女だったわね、今でも生きてるのが不思議なくらいって文句を言いたいけれどそれはログアウトしてからね」


 いかん、これはお説教コースになる。

 ログアウトしたら走ってリビングに行って動画サイトでホラー映画を再生しなければ!


「話を戻しましょう。とりあえずクリスちゃんは戦いたい、ミカさんは情報を集めたい……本音は黒砦に近づきたくないでいいですか?」


「はい!」

「まぁ……」


 なるほどなるほど……なら話は簡単ね。


「じゃあここで二手に分かれましょう。ミカさんは白砦に私達は黒砦に行きます。白砦の人には威力偵察に二人行ったと伝えて情報集めてください」


「……いいの?」


 ちょっと悩んでる祥子さん、いろいろな感情が混ざっているみたいだけどその表情は反則級に可愛いわ。

 涙目で上目使いとか、普通の男ならコロッと落ちてるわよ?

 私女だけど。


「それがみんなの希望を平等にかなえられるじゃないですか。それに私が白砦に行くとさっきみたいなことになりそうですし」


 プレイヤーはともかく、NPCはね……一度こっちを敵と認識するとしつこいのよ。

 それを落ち着かせるためにはあれこれ必要みたいだし、そんなの面倒くさいじゃない。


「というわけでクリスちゃんはロープをしっかり握ってて。ミカさんはそのまま白砦に行ってください」


「……わかったわ、何か情報を得られたらすぐに追いかける! ……できるだけ」


「無理しないでいいですよ。なんならフレンドチャットで知らせてください、メニューを開いて右の方……そう、そこ、それで簡単にお話しできますから」


「ん……これなら大丈夫そうね。じゃあ行ってくるわ」


 そう言ってロープを手放して飛んで行った祥子さん。

 ……そういえばあの砦に化け物プレイヤーがいたとして、ゾンビとかスケルトンみたいな祥子さんが苦手なホラー系プレイヤーがいたらよわよわになるのかしら。

 そうなったら……いや、心配しすぎよね。

 これはゲームだって言い聞かせてるし、ゲームの中だと比較的よわよわになる回数も深度もゆるい。

 うん、祥子さんなら大丈夫だわ!


「じゃあこっちも行きましょうか」


「はい!」


 クリスちゃんの返事を聞いて最高速度で黒砦に突っ込んでいく。

 とりあえずこの距離だと何も見えないけれど、下でクリスちゃんがごそごそと動いている。


「なにしてるの?」


「いえ、初期装備の望遠レンズ使って砦を見てます」


「そんなのあったんだ……」


 そういえば最初に貰えるアイテムの類はペナルティで支払っちゃったっけ。

 いや、でも望遠レンズなんてアイテムあったかしら……。


「どうしたんですか?」


「私、それ持ってない」


「防具の腰についてましたよ? 種族とかで違うんですか?」


 あぁなるほど、防具についていたのか。

 それは盲点だったわ、今度初期装備引っ張り出して調べてみましょう。

 とかやっているうちに砦の上空に到着。

 何も見えないわね……敵の姿どころか砦そのものが真っ暗で何も見えない。

 遠くからはあんなにはっきり見えていたのに……あ、このスカートと同じかしら。

 深淵が云々のあれ。

 という事は実際にフィールドに入ってみないとわからないわね。


「クリスちゃん、あの砦中に入らないと何もわからないみたいだから突入するけどいい?」


「はい! さくっと大暴れしちゃいましょう」


 元気な返事を聞いてゆっくり降下していく。

 攻撃を受ける気配はないけれど……この感覚、なんというべきかしら。

 邪悪結界発動している時みたいな安心感があるわ。

 あと妲己の住処みたいな、落ち着く感じ?

 ということは聖属性プレイヤーは即死かしらね。


「クリスちゃん大丈夫? ここ精霊にはきついと思うけど」


「んーRFB使ってるからよくわからないですね。昨今のRFBはリアルカルマも反映してくれるんでしょうか」


「さぁ……?」


 まぁ無事ならいいけどリアルカルマって何かしら。

 この子普通の女の子だと思うんだけど……今度フィリップスさんを問いただす必要がありそうね。


「あ、フィリアさん。あれなんでしょう」


「あれ?」


 クリスちゃんに言われて視線を向けた先にあったのは……えーと、なにかしら。

 バリスタ……じゃないわね、大砲にも見えるけれど……その複合っぽい謎物体があるわ。

 まぁいいや、とりあえず着陸。

 お出迎えはないのかしらね……そんなことを考えながら周囲を探っていた私の肩を叩く人がいた。


「失礼、さぞかし名の有るお方とお見受けする。この人外魔境の砦を守護しに来てくださったと考えてよろしいか?」


 クリスちゃんかと思ったら見知らぬ骸骨の人だった……。


『グランドクエスト:人外魔境の守護砦を開始します。グランドクエストとはプレイヤー全員が参加を許されたクエストです。結果次第で今後のマップ環境に影響が出ます。クリア条件1、一定時間、人外プレイヤーが人外魔境の砦を防衛する。クリア条件2、敵対する聖都の砦を破壊する。詳細は添付されたデータをご覧ください』





……え?


ピコーン(祥子さんに不穏なフラグが立った音)



主人公のDロイスは特異点です。

シンドロームはピュアウロボロス。

浸食率は驚異の782%

SAN値は0か100です、1d100(2d10)で000と並ぶあれ。

サブ職業は筆写師でメイン職業はモンク。

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― 新着の感想 ―
[一言] 対立クエかよ……
[一言]  以前のあとがき >ちなみによわよわ祥子さんは多分明日でしばらく見納めになるかと。  里帰りが終わったら、よわよわ祥子さんの出番はしばらくなくなるって言ったじゃないですかー!  やだーー!…
[一言] >ピコーン 立った!祥子さんのフラグが立った!(クララが立った)
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