新規二人組
今回お風呂シーンがあります、ゆりゆりしてますのでご注意を。
モンスターを召喚!
百合の間に切り込み隊長(辰兄さん)!
「相変わらずたくさん食べますね」
そんな風に言うのはクリスちゃん。
以前アメリカで彼女のお父さん、フィリップスさんのところで御厄介になった時備蓄食料はもちろん近所のスーパーの食材も全部食べつくしてしまった事があったからその事を言っているんだと思う。
あの時は大変だったなぁ……スーパーの食材買い占めが原因で経済危機やら食糧難やら第5次世界大戦の前触れやらと憶測が飛び交ってアメリカの株価がすごい勢いで変動してたっけ。
スーパー一つでこんなに混乱するなんて、本当に人間は愚かだとかフィリップスさんは笑ってたっけ。
「最近は食欲も増しててねぇ」
「はぁ……底知れぬ胃袋ですね。どこに入っているんですか?」
「亜空間に保存されているのよ」
昔からの冗談である。
笑ってくれた人は一人もいないけどね。
「そういえば祥子さんは化けオンやらないんですか? せっかくだからクリスちゃんと一緒に始めても面白いかなと思うんですけど」
「……ばけもの、こわい」
「あ、よわよわにならないで。大丈夫ですよ、普通のRPGと同じで見た目が怖いモンスターもいますが可愛いのとか普通の人もいますから」
「ほんと……?」
「はい、本当です」
「あ、刹那さん。化けオンの話になったんで私も聞きたいんですけど、水関連の種族って何がいますか?」
「水関連ね……知り合った人だと水の精霊ウンディーネ、水龍にディープワン、人魚に船幽霊かしら」
「ゆうれい……」
はい、もうよわよわ祥子さんは放置しましょう。
頭撫でてれば落ち着くから、なでなで。
「んー、その中だと水の精霊が一番好みですかね。ディープワンはちょっと……見慣れているというか……顔がちょっと。人魚もいいんですけど、歩きにくそうですね」
「あぁその辺は大丈夫。ヒューマライズってシステムがあってね、人間離れした外見の種族でも人間と同じような姿で化け物の特徴を残したキャラメイクをすることができるの」
ちなみに私の場合最初に選んだ吸血鬼がベースになっているからヒューマライズはしなくてもよかった。
このヒューマライズはポイントを選択した種族の初期ポイントの1割をはらうことでできるんだけど、最初からそれが組み込まれてる種族も多い。
「んー、でも人魚だと鱗がありますよね」
「そうね、私のキャラも腕とか鱗があるわ」
「じゃあパスで、あまり鱗にはいい思い出ないんですよ」
「そうなの?」
「ですです」
お刺身食べた時に鱗がついてたとかそんな感じかしら。
私もあれは苦手だったなぁ、サランラップをそのまま食べてるみたいでおいしくないのよね。
まぁどっちも食べようと思えば食べられるんだけど、どうせなら美味しい方がいいわ。
「じゃあウンディーネのヒューマライズかしらね。他には何か種族選ばないの?」
「んー、正直思いつかないんですよね。知人に合わせて鬼とか堕天使もいいかなと思うんですけど……」
知人って……もしかしてクリスちゃんのお友達も化けオンやってるのかしら。
でも割とローカルなゲームだからそこまで知名度無いのよね。
「まぁ今はあれこれやるよりも慣れ親しんだ形でプレイしようと思います。いざとなったらこれもありますし」
そう言ってクリスちゃんが取り出したのは黒く光るカード……家も一括で買えるブラックカードだわあれ。
「クリスちゃん、そういうのは人前で出しちゃだめよ」
「はーい。でも盗まれてもお父さんのカードなんでいいんですけどね」
フィリップスさん……どういう育て方しているんですか。
今度会ったらお説教の一つでもした方がいいかもしれないわね。
「話を戻して、祥子さんはどうします?」
「あまり乗り気しないんだけど……」
「じゃあ天使系のキャラクターとか、人間でプレイしてみるのはどうですか? ゲーム内で幽霊を簡単に倒せるようなキャラクターにすれば怖いのも多少は平気になるかもしれませんよ?」
「……それは、ちょっと気になるかも」
ふむ、興味が引けたみたい。
最近おばけが苦手になっている祥子さん、自分でも定期的に心が折れそうになるのを負担に思っているみたいだからね。
以前はおばけくらいなら蹴り飛ばしていくタイプの人だったけど、今はクラウチングスタートで反対方向に走り出すような感じになっちゃったから。
あるいは腰抜かして泣き出すかな?
「天使は初心者にもおすすめらしいのでどうです?」
「天使……そうね、ちょっとやってみようかしら。仕事のこともあるし実際に見て感じることもあるでしょうから」
そう言って了承してくれた祥子さん。
ご飯を食べ終えて、お風呂を沸かしている間に祥子さんのVOTに化けオンをインストールして、クリスちゃんの用意した最新鋭のVOTも設置を済ませてしまう。
基本的にVOTは専用の部屋に置いてあるんだけど、私と祥子さんの使うものがそれぞれ置かれてるだけだからスペース持て余してたのよね。
そしてお風呂が沸いたので三人で入ることに。
「刹那さん……なんであんなに食べてこんなに細いんですか?」
「ちょっとクリスちゃん? 手つきがいやらしいわよ」
人の腰やらお腹やらを撫でてくるクリスちゃんの額にデコピン。
「でもこれは本当に奇麗な曲線美よね……ねぇ、せっちゃん。食べた物はここに行くの?」
「こら祥子さん! 人のおっぱい揉まないで!」
「はぁ……お尻のラインもきれいですね」
「クリスちゃん!」
それからも散々セクハラを受けたものの、まぁつつがなくお風呂で全身くまなく洗って奇麗になったところでバスローブのままVOTに寝転がる。
ログインして私は始まりの街でぶらぶらとして時間を潰し、祥子さん達が来るのを待った。
そしておよそ30分後。
「あ、お待たせしましたー!」
そう言って二人組が私のところにやってきた。
明るい茶髪は透き通るような金髪になっているけれどあの顔は間違いなく祥子さんだ。
背中からはえている翼が純白のハトを彷彿とさせるから、言ってた通り天使を選んだみたいね。
対してクリスちゃんはあまり変化がない。
というかリアルと寸分たがわぬ姿。
「私はゲーム内ではフィリアと名乗っているわ。二人は?」
「私はクリスですよ」
……まんまなのね、まぁ愛称だからいいと思うけれど。
「私は思いつかなかったからミカにしたわ。天使の名前をそのままもじっただけ」
祥子さんはミカさんとなったのね、ミカエルからとったのかしら。
割とアメリカじゃポピュラーな名前になってるのよね、ミシェルとかミハエルとかそういう名前に形を変えてだけれど。
「私はいろんな種族を混合したけど二人はどんな感じにしたの?」
「宣言通りウンディーネ一択です! だからデメリットとかありません!」
なるほど、クリスちゃんらしい猪突猛進キャラね。
どっちかというと精霊は搦め手が強いんだけど、この子の場合RFB使ってるでしょうから普通に近接戦闘もできるでしょう。
「私は上位天使にしたわ。熾天使とかはポイントが高くて……あまり冒険する気になれなかったのよ、デメリットレベルとかね」
「あぁ、そういえばその辺結構シビアだって言い忘れてましたね。私なんか何回デメリットレベルが原因で死んだことか……」
思い返すと懐かしいわ……。
まぁいい思い出としておきましょう。
「とりあえずチュートリアルとしてクエストでも受けますか? それとも街の中を散策しますか?」
「えーと、ミカさんはどうしたいです?」
「クリスさんが決めていいわよ」
「じゃあクエスト行きましょう! あと私はクリスと呼び捨てでいいですよ、せつ……フィリアさんがかたくなに呼び捨てにしてくれないだけなので」
「そう? じゃあ改めてよろしくねクリス」
そう言ってがっしりと握手をする二人、案外この二人は気が合うかもしれないわね。
さっきまでは祥子さんがよわよわになってたり、私にセクハラしたりで忙しくて意気投合する暇もなかったみたいだけれど今はこうして仲良くしてるし。
……というかセクハラしてきたときも随分と息の合ったコンビネーションだったわね。
今度仕返ししてやろうかしら……。
百合の間に挟まる男絶対殺したるランサー(フィリップス・クラフト)を特殊召喚。
ちなみにですがキャライメージを置いておきます。
刹那:茶髪ロングヘア、ゲームでは銀髪になる ザビ子をイメージすると近い
祥子:刹那より深い茶髪でショート、ゲームでは金髪 アグネスタキオンをイメージ
クリス:リアルゲーム共に水色の髪でショート パンプキンシザーズのアリスをイメージ
検索すると出てくると思いますが作者が勝手に抱いているイメージです。
真の姿は皆さまの心の中にあるそれです。




