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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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有名税からは逃げるに限る

 数日ログインできない日が続いていた。

 カジノの情報をアップした結果、人がごった返していたから。

 ついでに私のところにカジノで勝つ方法を聞いてくる人もいっぱいいたので早々に西に逃げて牧歌的な村に着いたところでログアウトして、騒動がおさまるまで待っていた。

 勝つ方法とか言われても知らないわよ、スロットだって適当にそれっぽい感覚で選んでるだけで、感覚任せで選んだ奴は当たるだけ。

 ポーカーなんかブラフをはりたいなーって時はゴミ手が来て、勝負するかなって思ったらいいカードが来るんだから。

 他のゲームだってそう、ルーレットだと何となくで選んだところにボールが入るし、ブラックジャックだと直感で来るか来ないかわかる。

 結局運なのよ、というのを説明しても誰も信じてくれない。


 そんなわけで私はリアルに逃げ戻り祥子さんに甘えながら暮らしていた……のだけれど、それももう終わりが近い。

 いや、別に祥子さんが出ていくとかそういう話じゃなくてちょっと知人がしばらく日本に滞在することになり、滞在先がうちになったというだけ。

 祥子さんもその辺りは承諾してくれているんだけど、お目当ては化けオンらしい。

 なんというか、今までのゲームでRFBを実装しているゲームが少なすぎて動きにくくてゲームにならなかったとかなんとか。

 そんなアメリカで出会った友人が日本に来るという事で私も久しぶりに始まりの町まで戻って、そして一度ログアウトして彼女を出迎える。


 お昼に着くとは言っていたので、のんびりとコーヒーを飲みながら今日はお休みの祥子さんと一緒に「農林水産省制作映画:庭に無許可で植えられた紫蘇の出元を探り当てたら美少女だったので結婚するか裁判をするか迫ったら訴えられた件について」という謎の映画を見て時間を潰していた。

 映画を見ている最中、揃ってうとうとしていたところでバララララという豪快な音が響き渡る。

 ふと画面を見れば主人公の男が「それでも僕は変態じゃない! 信じてくれよ!」と獄中で叫んでいるシーンだったからクライマックスが近いのかもしれないけれどどうでもいい。

 私が頭をあげたことで、私の頭を枕にしていた祥子さんも起きたらしく外の騒音に気づいたようだ。


「クリスちゃんが来たみたいです……」


 ふぁ……とあくびをしながら玄関を開けると世界でも有名なコプカン製のヘリがホバリングしていた。

 家よりもさらに高いところにあるそれから飛び降りて、見事なヒーロー着地を決める水色の髪という珍しい特徴を持つ少女。

 アメリカで企業運営しているフィリップス・クラフト氏の娘さんであるクリスティエラ・クラフトちゃんだ。

 長いのでクリスちゃんと呼ぶことが多いが、普段どこで生活しているのかよくわからず連絡も取りにくい。

 二人そろって実家を聞くと太平洋のど真ん中を教えてくるけどその冗談はやっているのかしら……。


「刹那さん、お久しぶりです」


「クリスちゃんも、お久しぶり。元気だった?」


「はい! 新しくバイト始めたり、お父さんの知り合いのところでホームステイしたりして毎日が楽しいです!」


「そう、でもいいの? そんな時期にうちに来て」


「あぁ、それは問題ないですよ。夏休みで長期休暇入って、バイト先の上司が課金しすぎてお給料払えないっていうからお仕事ボイコット中です。ホームステイ先の家主さんもしばらく外で遊んでていいよって言ってくれたので」


 はぁ、世の中世知辛いのね。

 こんな高校生くらいの子がバイトで給料未払い問題に直面するなんて……。


「まぁバイト先の所長は私が手を下すまでもなく、お父さんにめっきり叱られてると思いますけどね。短い間ですけどよろしくお願いします!」


「はい、よろしくね。一応部屋は余ってるけれど、どこがいい?」


「できるだけ日当たりの悪い部屋がいいですね。じめじめしてる方が落ち着きます!」


「そう、じゃあ後で部屋を見繕いましょう」


 簡単に挨拶と世間話をこなした私達は、そのまま家に入って別の映画を見ることにした。

 祥子さんにも軽く説明したけれど、住所が太平洋のど真ん中と聞いて軽くよわよわになりかけて、私の腰に縋りついてきたけれど頭を撫でてあげてたらすぐに落ち着いたみたい。

 まぁクリスちゃんは変わった人ではあるけど、そこまで問題児じゃないからね。

 とーてつさんとかは大変だからなぁ……。


「そういえば化けオンに興味あるんだっけ?」


「はい! RFB取り込んでるゲームって珍しいんですよね。しかもそれがちゃんとゲームとして成り立っているのは稀で……」


 確かに、今まではシステムが開発されてからとりあえず使っとけという感覚で入れて台無しになったクソゲーが多い。

 逆に言えばリアルでもプロ級の運動神経あればクリアはできるけれど、それだけのポテンシャルが無ければ最高のストーリーを見られないクソゲーである。

 ということで、今はお飾りとか縛りプレイ専用にRFBを導入しているところも多いけれど基本的には使う人のいないシステムだ。

 まぁ、電線よりもっと高い位置から飛び降りて足もしびれないクリスちゃんの身体能力なら大丈夫でしょう。


 実際稀代のクソゲーであるRFBシステム導入ゲーム「辻斬りNINJAアフリカ横断編」をクリアした猛者だからね。

 確か世界でもこのトロフィーコンプリートしてるのはクリスちゃん含めて6人だったかしら。

 司馬さんと、フレイヤさんと、クリスちゃん、後は知らない人。

 VOTは事前に業者が運んできたものがリビングに梱包されたままの姿で置いてあるので、とりあえず彼女の部屋を決めてから運びましょう。

 肉体労働に関して言うならクリスちゃんと私がいればある程度何とかなるのよね。

 それが終わったらお夕飯を祥子さんと一緒に作って、みんなでお風呂に入りましょうか。


 この家のお風呂は私と祥子さんが並んで足伸ばせるくらい広いからね、クリスちゃんが一緒でも大丈夫でしょう。

 あぁ、クリスちゃんのベッドはまだ届いてないから今夜は三人で寝ようかしら。

 本人が嫌だといったら諦めるし、お客さん用の布団があるから私と祥子さんはそれで寝ればいいし。

 そういえば祥子さんも化けオンやったらどうかしら。

 せっかくだからお夕飯の時かお風呂の時に聞いてみよう。


本作品はスターシステムに浸食されています。

クリスは「ルルイエ探偵事務所」の主人公ですが、読まなくても問題ないです。

どういう人物かは今後を読んで行けばわかりますが、人外版刹那みたいな性格の子です。


そろそろ主人公の相棒ポジションが欲しかったので、リアルは祥子さんで固定しつつゲーム内で固定の相方を用意しようと思った結果手持ちのキャラで一番相性が良かった子を出した次第でした。

次回:クリス&祥子さん、化けオンに立つ。

お楽しみに。






注意:有名人のオンラインゲーム配信などでたまにシャウトチャットを飛ばす人がいますが、迷惑行為なのでやめましょうマジで

ついでに、ヘリコプターは帰りに海中から出てきた触手に叩き落とされて墜落しました

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― 新着の感想 ―
ヘリコプター「解せぬ」
[一言] アメリカ……出身はアーカムかな?
[一言] 〉そろそろ主人公の相棒ポジションが欲しかった と、とかげの立場はおやつで固定?!
感想一覧
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