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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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大勝

 カジノと言えばカードゲームよね、と軽い気持ちで選んだブラックジャック。

 普通のカジノだとカードデックを複数使って、更に仕切りをつけていかさま防止をするんだけどなぜかここはそういう措置をとってなかった。

 結論から言うといかさまし放題だったのよ。

 それも基本的に立証の難しいいかさまなんだけど、カードカウンティングって方法。

 簡単に言うとカードにポイントを割り振って、それを計算していくの。

 そうすると次に何のカードが来るか大体予想できるという事で、一番レートの高い最大1万チップをかけられる席で荒稼ぎ。

 200万枚までチップをためたところで黒服の人に声をかけられた。


「お客様、随分と稼いでいらっしゃるようすで……良ければもっと稼げる場所に移動しませんか?」


 はい、お約束。

 リアルではこんな呼び出し無いんだけど、ゲームだから用意されていたのでしょうね。

 フラグという意味で考えるなら換金ではなく、ゲームでどれだけチップを稼いだかというのがポイントなんでしょう。


「喜んで」


 そう一言つたえて黒服のあとについていく。

 通されたのはVIPと書かれた扉の前。

 そこで一枚のカードを手渡される。


「このカードを使えば中に好きに入れます。同伴者は1名までですが、中では高レートの賭けを楽しむことができますよ」


 そう言われて受け取ったカードは銀色に光っていた。

 ふむ、こういうのは普通金なんだけどわざわざ銀色にしているのはこのゲームにおいて金よりも銀の方が価値が高いという事なのかしら。

 それともミスリルの色?

 手を近づけた感じ銀やミスリル特有のピリピリする感じもないから受け取るけど、やっぱり大丈夫だった。


「ではごゆるりと……」


 そう言って中に通される。

 置いてあるのは外と変わらないスロットやルーレット、ポーカーなどのゲームね。

 ただ、お客さんが随分と……なんて言うのかしら、見るからに上流階級って感じの人が多い。


「こちらでチップを交換できます」


 周囲を見渡しているとバニー姿のお姉さんに声をかけられた。


「チップの交換?」


「はい、ここでのチップは最低10万枚からディールします。なのでお客様の手持ちのチップを10万枚でこのシルバーチップ1枚と交換です」


「10万より上のチップは?」


「100万枚がプラチナ、1000万でミスリルでそれ以上はありません、ここで使うのは基本的にこの二つだけです」


 なるほど、10万チップが外での1チップと同等ね……。


「いいわ、20枚のシルバーに交換をお願い」


「かしこまりました」


 私の言葉に周囲からひそひそと声が聞こえる。

 中には嘲りを含めた笑いも。

 へぇ、そういう場所なんだ。

 10万チップは小銭みたいな扱いなんでしょうね。

 普通に遊ぶならプラチナ、更に高レートならミスリルチップってことなんでしょう。


「一応聞いておくけど、このチップは本物の銀やミスリルだったりする?」


「いいえ、盗難防止なども含めて貴金属を使っていないものです。ただしこれらも盗難防止の魔術が仕掛けられていますのでご注意ください」


 それを聞いて一安心。

 銀とかミスリルだったら触れなかったわ。


「さて……これを効率的に稼ぐにはどうするべきかしらね」


 スロット台に目を向けるけれど、出そうなのは席が埋まってしまっている。

 ブラックジャックは外と違い、ちゃんといかさま防止がされている。

 それでもルール的に勝つ確率は高いんだけどね。

 ブラックジャックは唯一賭場、胴元やディーラーが不利なゲームだから。

 まぁそれはさておき……せっかくだからこういう場ではそれに見合った勝負と行きましょうか。


「ここ、いいかしら」


 そう言って空いた席を見つけて腰を下ろす。

 ポーカーの席だ。

 基本的にポーカーは胴元が関係ない、カードを配るだけのゲームだ。

 席に着いたプレイヤー同士の勝負になる。

 まぁディーラーを丸め込んでいる人がいる場合はちょっと違ってくるけれど。


「おや、可愛らしいお客さんだ」


「見た目だけよ。中身はここの領主よりも恐ろしい存在かもしれないわ」


「ふふふ、強がりも可愛らしいものだ」


 そんな風に笑う席の人たち。


「せっかくだから教えてあげよう。ここの席は1回のゲームでシルバー5枚、賭けの上限はなしだ」


「あらそう、じゃあさっそく始めましょうか」


「せっかちですなぁ、まぁ話が早い。ゲームで語るというのは我々としても望むところです」


 老紳士っぽい人がそんな風に笑って見せる。

 その後ろには大量のミスリルチップ……ふむ、じゃあとりあえずあれを全部むしり取るとしましょうか。

 配られたカードを手に、にやりと頬を吊り上げる。


「いけませんな、ポーカーフェイスも知らないとは。それでは勝てる勝負も勝てませんよ?」


「あら失礼、ついつい」


 そう言いながらシルバーチップを5枚場に出して他の人を待つ。


「チェンジオアフォールド」


 ディーラーがカードを交換するか、ここでゲームを下りるか聞いてくる。


「このままでいいわ」


 そう言って私は再び頬を吊り上げる。


「ほう、かなりいい手だと見ましたな」


「ならばこちらはチェンジじゃ」


 他の人も我先にと手札を交換していく。

 まぁ、私の持っているチップなどはした金。

 小娘のお遊びに付き合ってくれる感じなんでしょうね。


「レイズオアフォール」


 さて、ここで掛け金を追加するか下りるかの判断を問われる。


「レイズ、シルバー15枚上乗せよ」


 これで持ち金全部使うことになるけど問題ない。

 この手札ならね。


「ほっほっ、怖い怖い。フォールドです」


 老紳士のその言葉にみんな声を合わせてフォールド、ゲームを下りる。


「オープン」


 ディーラーの掛け声に合わせて手札を公開。


「ブタよ」


 なんの役もない手札、どんなに弱い手でも役があれば勝てるというのに全員が下りた。

 そう、ポーカーは心理戦なのよ。


「ブタ手におびえて下りるなんて、可愛らしいわね」


 くすっ、と笑って見せるとその場にいた人たちの表情が一瞬変わった。

 いや、表情というより雰囲気ね。

 さっきまでのお遊びとは違う、こちらを叩き潰すつもりの表情になったのよ。


「さぁ、続けましょう」


 シルバーチップを5枚出して開始を告げる。

 配られたカードを手に、再び笑みを見せる。


「くっ……」


「チェンジオアフォールド」


「チェンジだ!」


「私もだ!」


「こちらもチェンジ!」


 みな意気揚々とチェンジを叫ぶけれど、ふふっ無様ね。

 勝負は焦った方が負けるのよ。


「私はこのままでいいわ」


 にこりと、カードをその場に伏せて微笑んで見せる。


「ベッティングラウンド」


「レイズ、シルバー50枚」


 さっき手に入れたチップを含めて持ち金全部出す。


「その手には乗りませんぞ、レイズ、ミスリル100枚!」


「こちらもミスリルを100枚」


「ミスリル200枚じゃ」


 ほう、いい感じに乗ってくれたわ。


「おやおや、困りましたな。これでは掛け金が釣り合いませんぞ」


「じゃあこんなのはどうかしら」


 そう言ってインベントリから塔で手に入れた銀やミスリルを出していく。

 ちなみに邪悪結界使わずとも取り出すだけならできる。

 こう、空中から落ちてくる感じだからね。

 触れなければいいのよ。


「ここにある銀と人工ミスリル、ゴーレムの素体。そして私の身体と知り合いのドラゴンの身体と魂をかけるわ」


 勝手にゲリさんの事をかけるけれど、これでいい。


「……吐いた唾は呑めませぬぞ?」


「それはこちらの台詞よ。それにあなた方の掛け金程度じゃこちらに釣り合わないと思わない?」


「……いいでしょう、ここにあるミスリルチップを全てかけましょう」


 山と積まれたチップを賭けると豪語した老紳士。

 それに合わせて他の人たちも目をギラギラさせてチップを上乗せしていく。

 こういう現物をかけるというのはカジノではご法度なんだけど、ディーラーは無心でそれを見ている。

 おそらくそういう風に教育されているんでしょうね。

 もしかしたら国の土地すらここでは賭けの対象になっているのかもしれないわ。


「オープン」


 ディーラーの掛け声に合わせてまず老紳士が手札を見せる。


「ストレート!」


 勝ち誇ったように見せた手は奇麗なストレートだった。


「フルハウス」


「くっ、フラッシュです」


 それに対して、相手が私だけではないと失念していた男性が悔し気に手を見せる。


「ふっ、ワイルド入りですがロイヤルストレートです」


 最期に手を開いた人は赤いジョーカーが混ざったロイヤルストレートフラッシュだった。

 その表情は勝ちを確信し、そしてこれ以上ない下卑た笑みを浮かべている。

 これからどうやって楽しむか、そんなことを思わせる表情だ。


「ねぇ、勝ち誇っているところ悪いけれどこのポーカーはワイルドカードを入れた54枚で構成されているわ」


 ワイルドカードとはジョーカーのこと。

 あらゆる札と同じ扱いをできるため、彼のようにスペードのAとして利用しスペードのKQJ10の四枚と合わせてロイヤルストレートフラッシュにすることもできる。

 ワイルドカードの有り無しで高得点の手が出るかどうか、確率がかなり変わってくるけれどここはそういう場所。

 高レートで楽しむ場であり、純粋なギャンブルではない、社交界みたいな場でもある。

 だからこその勝負、そして勝負はこのカードが配られたときに決まっていた。


「ふんっ、せいぜいがストレートフラッシュだろう。早く手を見せるんだな。今夜は可愛がってやるぞ?」


「あらそう? でもね、今夜は貴方が悔し涙を流すだけよ」


 そう言ってカードをオープン。

 パタパタと開いていくカードの最後に笑うのは黒いジョーカー。

 そして並んだエースのカード。


「ファイブカードよ。ジョーカー入りのロイヤルよりもこちらのが上、そうでしょ?」


 私の言葉にディーラーは胸に手を当てて深く頷く。


「私の総どりね」


「いかさまだ!」


「あら、偶然よ? 相手の表情を読み切れず、こちらのブラフに二回も引っかかったあなたがどうこう言えるのかしら? なんならデックを確認してもいいわ。ディーラー」


 私の言葉に男はうろたえ始め、デックに触れるディーラーに制止を掛けようとしたが無視したディーラーがデックを広げるが、そこには赤いジョーカーが一枚。

 エースと黒いジョーカーは存在しなかった。


「あら、本当にいかさまだわ。あなたがね……こういう時の対処はどうなるのかしら」


 その質問に無言のまま黒服たちがやってきた。

 ここにいるのは各国の重鎮や、相当なお金持ち。

 そんな相手にいかさまをしたとなれば……ねぇ?

 現物に目がくらんだとはいえ、その姿はあまりにも惨めだったわ。

 これから彼は信頼をはじめ全てを失うでしょう。


「興覚めね、もう帰っていいかしら」


 ディーラーは決して喋らず、私の言葉に深くお辞儀をしただけだった。

 他の方々はしてやられたとか、けしからん若造が紛れていたとか、すごい運の持ち主だと私をほめたり、いろいろ談笑していたわ。

 まぁ彼らにとっては月のおこづかいを使いきったようなものなんでしょうね。

 もとよりむきになるほどの金額ではないけど、私が出した銀やミスリルが魅力的だったというだけの話で。

 お金に興味がないからこその勝負だったんでしょう。

 だから私の誘いにも乗った。


 ……ちなみにだけど、ファイブカードが初手できたのは本当に偶然よ。

 ワイルドカード入りなんて普段やらないから。

 まぁベガスではロイヤルとか、ストレートフラッシュとか連発してカジノで荒稼ぎしたけど……あのくらいなら結構来るのよね。

 フォーカードくらいなら普通に手に来るし、そこにジョーカーが加わっただけのこと。

 そもそもいかさまするならばれないようにやるわよ、あんなカードパームなんて古典的でばれやすい方法はとらないわ。

 純粋に運の問題だから、永久姉みたいに競馬で馬に呪いかけて順位を決めるなんてことはしないわ。

 あれはさすがに卑怯だし、馬も可哀そう。

 そう言ったら「体調を崩す呪いじゃなくて、ポテンシャルをあげる呪いよ」とのこと。

 それはそれでどうかと思うけどね……。


主人公ですが、無自覚な豪運です。

母親譲りで二人でベガス旅行行ったときにカジノが傾きかけたり、その旅行も母親が福引であてたりでした。


明日はワクチン接種2回目なので体調を崩すと予想されます。

明日投稿分は既に作ってありますので、明後日以降更新が途切れたら発熱したなと思ってください。


次回、開かれるパンドラの箱

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― 新着の感想 ―
そこまでの豪運じゃないけど彼女が中々の強運なんですよね…… 宝くじ引けば高額当選はしなくても最低5000くらいは当てるし、パチンコ行けば大体掛け金5倍くらいにして帰ってくるし、ガチャを引かせれば7割の…
[一言] やわらかとかげ、最初の印象やらイベントで集中砲火されたりやら主人公に食われたりやらで残念なイメージがあるけど、一般的にはドラゴンってレア素材なんだろうなぁ…
[一言] 豪運ですむレベルじゃないんだよなぁ… パンドラは何が入ってるかな?
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