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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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ホーリーグレネード

 次の敵に備えて階段を上った先は弾薬庫でした。

 ……なんか色々保管されているわね、ゴーレム用の銃火器やら剣やら。

 さっきドロップアイテムで手に入れた巨大剣とかもある。

 私には装備できないから関係ないけど、巨人系の種族選んだ人の武器かしら。

 まぁ装備できなくても振り回すことはできるんだけど。


「もっちゃもっちゃ」


「あの……フィリアさん?」


「ふぁふぃ?」


「人の尻尾イカゲソみたいに食べるのやめていただけますか?」


「おいふぃいのよ」


「そっすか……」


 実際ゲリさんの尻尾は食べ応えがあっていい。

 弾力があって歯を押し返す感覚が絶妙で、骨はコリコリとしている。

 鱗のサクサク感もアクセントになって、肉汁が染み出てくるから味もいい。

 いやほんと、定期的に食べたくなる味ね。

 お酒と一緒に楽しみたいけれど……私あまり強くないのよね。

 飲めても17合くらいかしら。

 お父さんとかは樽から直に飲んでたけど、真似したら二日酔い間違いなしね。


「そういえばゲリさん、この世界にお酒ってある?」


「一応あるけど、俺達が想像しているようなのは少ないんじゃないかな」


「というと?」


「中世の酒を想像してみて?」


 中世……たしか薬草のお酒とかあったわよね。

 ジンの原点だったかしら。

 薬屋さんで売られていたって話だったわ。

 あとは蒸留酒、これはメソポタミアの時代からあったはず。

 それ以外で有名なのはエールかしら。

 ビールとは違う製法で作られた麦酒。

 日本酒は中世段階だとまだ濁り酒かしら。

 ワインは詳しくないけどあったはず、キリスト教関連の書物で読んだ。

 だからブランデーとかもあるんじゃないかしら。


「想像したわ」


「大体そんな感じ」


「じゃあカクテル作れるわね」


 ブランデーのウォッカ割とか結構好き。

 あのガツンとくる感じがたまらないのよね。


「……ビール、ないっすよ?」


「ビールだけがお酒じゃないわよ? でもこの尻尾に一番合うのはビールじゃないかしら」


 ごくんと飲み込んでから答えるとゲリさんがげんなりした顔をしていた。


「俺、ビール無くてよかったと思ったの初めてだわ」


「そう? 私もそれなりにたしなむけれど、お酒が無くて困ることって少ないわよ? あ、でも料理の時にお酒が無いのは困るかも」


「あ、はい。やっぱそっちなんですね」


「それ以外に何かあるの?」


「普通飲む方を想像すると……」


「まぁ……私はお酒はこだわりないから」


 ロシアに行ったときは靴用のクリームをパンに塗って食べたりしたわね。

 あれは酷い味だったけど、まぁ何とかなるレベルだった。

 香水を飲まされた時は本気で吹き出しかけたけど。


「ちなみにゲリさんはお酒好きなの?」


「あまり強くないからビール一杯飲んだらジュースにシフトするけどね。でも仕事上がりのビールはたまらんよ」


「それはわかる、夏場に汗だくになって帰ってきてからのむキンキンのビールとかね。神様でもあらがえないと思うわ」


 私の友達も「夏場に冷えたビール出されたら神と崇めてもいい」なんて言ってる人もいるし。

 たしかフレイヤさんなんかが夏場に日本に遊びに来た時、温泉連れていってビール奢ってあげたら「このお礼は必ずするわ」なんて大げさなこと言ってたかしら。

 あの人結構真剣な目で言ってたのが印象的だったわね。


「それよりここ、どうする?」


「どうって……爆破でもしておく?」


 ゲリさんの答えに少し悩む。

 うん、まぁそう考えたくなる気持ちもわかるんだけどね。

 こんなあからさまに「準備した方がいいよ」みたいに用意されていると気になるのよね……。


「ちょっと拝借して、あとは地面にばらまいておきましょう。すぐに使えなくなるし、いざとなったら燃やしやすいわ」


「じゃあそうしよっか。なに持っていく?」


「んー、ハンドガンとここの人たちが持っていたリボルバー式ライフルとか浪漫があっていいかなと思うからその二つ。あと爆弾になりそうなのいくつか」


「ほうほう、じゃあ俺も爆弾で。銃はどのみち使えないからパス」


 よしよし、いろいろ手に入ったぞ。

 これで少し楽になる……と、考えるのは素人ね。

 この先絶対難関が待っているわ。


「ゲリさん、今日はここで終わりにしない? こんだけ準備させるってことはこの先は……」


「万全の状態じゃないときつい相手がいるってことかな? 確かに俺も本気出せないならフィリアさんに全部任せることになるし……そうだね、ちょうどこの階層がリスポン地点になってるみたいだしいいかも」


「じゃあ予定変更してここでおやすみなさいね。次は何時にログインする?」


「んー、今ならまだ少し眠れるから普通に出社するとして……午後7時かな。残業と上司張り倒してでも定時帰宅する」


「そう、なら私もそれまではリアルの仕事どうにかしておくわ。余裕を見て明日の午後7時半集合で」


「了解、それじゃあ今日はお疲れ」


「おつかれさまー」


 そう言ってログアウトしていくゲリさんを見て、ふと気になったのでそこら辺に落ちているものを片っ端から確認していく。

 ふむふむ、設計図をいくつかゲット。

 まぁこれは捨ててもいい部類なんでしょうね、こんな階層にあるという事は塔にとって重要度が低いという事だろうから。

 それと手に入れた爆弾、これの生成法も書いてあったけど驚くべきことにニトログリセリン式ね。

 よくもまぁ……さすがに細かい製法は載っていないわね。

 リアルで試す人がいたら危ないもの。

 まぁ義務教育で習う範疇だけど。

 私の知識と照らし合わせると……ちょっとおかしな項目があるのよね。


 聖なる力にて浄化の能力を与えた炎を閉じ込める。

 まぁ魔法的。

 だからこの爆弾の名前は「聖なる手榴弾」なのかしら。

 やっぱりネーミングセンスが足りてないわね。

 もうちょっと啓蒙高めたほうがいいんじゃないかしら。


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― 新着の感想 ―
[一言] アッティラの聖なる手榴弾……主の御心にに従いピンを抜いて2でも4でもましてや5でもなく、3つ数えねば。
[一言] 聖なる手榴弾(ダイナマイト)、ノーベルさん激おこですわw
[一言] その内気付けばゲリさんが食べらてる状況に、ゲリさん本人ですら違和感なく受け入れてる状態になるだろう。食べらているのが当たり前であるかのように。
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