捥ぎ捥ぎフルーツ(意味深)
こうして無事円香ちゃんが木皿儀家の長老会とやらの長になったのだけど、一つ問題が発生した。
「長老会って言うには面子が若いわね」
円香ちゃんをトップに、他六人が長老として座に君臨したのだ。
外にいた鬼とか、円香ちゃんの推薦によってその席に座った人達。
曰く、暗殺の腕で見れば下の下だが諜報や謀に長けた人たちだという。
「彼等は六呪天と言いまして、私達七死天の裏に当たります。私達が物理的に殺す側だとすれば彼等は社会的に殺す者達ですね。どちらも最近代替わりしたばかりですから」
「なるほど。うん、やっぱり長老って名前は似合わないわよね」
「……会の名前はどうでもいいんで適当なのにしておきます?」
円香ちゃんが不安げにこちらを見てくるが、上座に座っているのだからもう少しドンとしていてほしい。
そして六呪天とやらの皆さんはそんなに怯えないでいただきたい。
こちとらか弱い乙女三人ですし……縁ちゃんはか弱くないか。
「その辺りはお任せするとして今後の方針だけど。そうね……会の誰かを公安に派遣してもらえないかしら。あるいはすぐに連絡のつく補佐的な人をよこしてもらえると助かるわ」
祥子さんが割って入るようにきりだした。
なんだよ、せっかく私のハイパーネーミングセンス大爆発な名前を用意しようと思ったのに……。
「そうですね。では長老会改め、十三階段の一員として木皿儀涼香を送りたいと思います」
「十三階段? 絞首刑のあれ?」
「えぇ、七死天と六呪天を合わせて十三。今後七死天の入れ替えも起こるでしょうし、刹那さん達が戦った七死天の中には長老会ごり押しの人材もいましたのでそういった手合いを切り捨てて暗殺特化の人物をこの会に迎え入れようと思います」
「それは裏でも表でも殺すという意気込みもありで?」
「殺しをしない暗殺者などゴミにも劣ります。私達は指令を出すだけでなく、実働部隊としても活動を続けたいと思っていますからね」
死刑執行台から歩み寄ってくる……なるほど、確かに十三階段という名はしっくりくる……のかな?
まぁこれで引退とならないのであれば問題ないでしょ。
「じゃあその十三人が引退したら長老会を再建する?」
「いえ、頭が二つあれば現場が混乱しますから私達が引退する時は後釜を据えて隠居ですね。とはいえアドバイザーくらいはやります。丸投げして終わりというのはさすがに……えぇ、我が祖父のように丸投げすると調子に乗った馬鹿が何かやらかすかもしれませんので!」
おっと、円香ちゃんお怒りモードだ。
だが私は関与しない。
もとより伊皿木と木皿儀は関わらないようにしていくのが良しとされており、そして今後もソーシャルディスタンスが必要だろう。
無論時間を、あるいは世代をかけて歩み寄っていく必要があるのは間違いないが、それでも一族の在り方に口を挟むつもりはない。
「何かあれば私達も協力するけど、そういうのがない限りは見守るつもりよ。ただ……」
ゴクリと、十三階段の皆さんが唾をのむ音が響いた。
「祥子さんに手出ししたら縁ちゃん送り付けてボコボコにしてもらうからね? 私も所かまわずビームぶっぱするし、自爆もするから」
「あ、絶対に逆らいません。一族の掟に書き加えておきます」
円香ちゃん……降伏が早いわ。
「あとナイ神父とか、ロキさんとか、あの手の厄介な神様も送り込んでこの駅周辺に別荘建てさせたりとかの嫌がらせも考えているからね? とりあえず国に仕えてもらうから、裏切った際には相応の罰が必要でしょ」
「マジで勘弁してください、絶対に逆らいませんから!」
「うん、これくらい脅せばいいかしら。じゃあ祥子さん、細かい手続きとかあればお願いします。私はちょっとこの里見て回ってきますので。縁ちゃんは引き続き祥子さんの護衛をお願い。暇だったら昼寝しててもいいけど、絶対に守ってあげてね?」
「わかったわ。あとで報告書よろしく」
「ん……祥姉に手を出させない……手を出したら捥ぐ……」
んー、何を捥がれるのかは聞かないでおこう!
ただ一つ言える事は、縁ちゃんが幼児体型な事を除いても円香ちゃんのソレは体格にあったたわわであるという事かな。
あと公安に派遣される涼香さんっていう人はそりゃもう凄いぼいんである。
ぼいんでたわわで、まさにスイカと言った感じだ。
ハニートラップ系の諜報かな……辰兄さんに引き合わせたらダメなタイプね。
その辺も注意しておきましょう。
男性陣は知らない、首でもちんちんでも捥ぎ捥ぎされればいいんじゃないかしら。
ま、祥子さんに何かあれば私もただじゃ済まさないけどね。




