人外ほいほい
愉快な子供達が辰兄さんからよろしくない情報を色々聞いている横で私は今後について考えていた。
まず私の現状、祥子さんが帰ってきたら死ぬのは仕方ないとしてもこのハーレムはあまりよろしくない。
実のところそれに目をつけてか各国からハニトラ要因というか、私にお近づきになろうという人が結構送られてくるようになった。
以前のような暗殺者とか、そういう人たちじゃなくて酔い潰してお持ち帰りを狙ってくる人たちが。
まぁ……逆に酔いつぶれるし、薬盛られたくらいじゃどうにもならないんだけどね。
そしてそれでは意味がないとわかると今度は別の手段に訴えてくる。
正攻法ともいうべき手段だが、ちゃんと国の上の人達を通してお薬の治験とかそう言うお願いが。
最悪極まるのは祥子さんの支持率はとても高いのだが、現在の与党の支持率は30%前後で推移しているという事。
総理大臣は信頼されているが取り巻きがアウトという事ですはい。
一会ちゃんや縁ちゃんがいながらどうして、と思われるかもしれないけれど、これは逆に調整した結果らしい。
ようするに全面的に信頼されている政治家よりも、多少脛に傷のある輩の方が使い勝手がいいらしい。
統合前から政治に携わってきたこともあって多少のノウハウもあるらしいので今の立場に置いているというのが表向きの理由。
本当の理由は『いざという時は使い捨てにできて、タンクとして人々のヘイトを向ける矛先』という物らしい。
そういう人たちがね、独断でその手の実験とかをねじ込んでくるのよ。
結果的に私はそれを引き受ける事になるのだけど、以前その流れで伊皿木家の細胞データが流出しかけたことがあった。
通称i細胞と言われるそれは人類を新しい境地へ送り出すとかなんとか……まぁ、とりあえず空輸中に私が飛行機諸共消滅させた。
パイロットは救出したけど、今もうちの地下で監禁生活という名のスローライフをおくっている。
海洋の方は一会ちゃんが対応して、大本は刀君と永久姉が対処した。
というか処理したというのが正しいのか……問題は太平洋のど真ん中でi細胞の一部が流出、近隣の生物が死滅したという結果が出たのである。
その情報から各国が渡した私たちの遺伝子を狙う事は無くなったものの、基本的に何かしらのちょっかいはかけられ続けているのだ。
「そろそろ、大掃除かしら」
ふと呟いた一言に皆の眼が集まる。
久しぶりに家に帰っていたうずめさんはキラキラと目を輝かせている。
あなたの出番無いです、ステイ。
一会ちゃんは少し考えてからPCを立ち上げて何かをリストアップし始めた。
普通に怖いけど、頼もしくもある。
妲己は無関心に台所に向かっていった。
彼女の料理も美味しいのよね……。
リリエラは首をかしげてきょとんとしている。
本来ハニトラ要因ならこの子が一番適正あるけど、やりたがらないだろうし却下で。
アリヤは掃除機を片手にこっちを見ている。
うん、そういう意味じゃない。
「とりあえずこの辺りかしら」
一会ちゃんが見せてきたリストには汚職政治家の名前がずらり。
日本以外にも結構な数の人名が並んでいるので目が滑る……。
「知らない名前がいっぱい……」
「刹姉が知ったら即刻殺しに行きそうな人達だから伏せてた」
「ぐぐるわ」
「……ダークウェブで検索するといいわよ?」
「え? そっち系?」
「表向きの情報は操作されてるから。本来の情報はこっちで握って隠してたし」
「じゃあそれみせて?」
「後で印刷しておく。それより掃除するならこの辺の人員を情報戦で削った方がいいと思うわ。少なくとも一人一人、刹姉が潰して回るよりは楽だし後腐れ無いから。適当な所に情報流せば簡単に自滅してくれるでしょうし」
「でも祥子さんに責任が行かないようにね?」
「それは大丈夫、同じ与党の人もいるけど個人のやらかしか、あるいは派閥からして縁遠い場所の……まぁ末席にいる人だから。これを理由に叩こうとしたらその人が不利になるように仕組んであるし」
我が妹ながら恐ろしい……まぁ祥子さんが人外ほいほいなのが悪い。
あの人の支持率が高い理由、人類の大半が人外になったことにあるからね……。
異世界から来た人間たちからはどうしてそこまで支持されてるかわからないらしいけれど、偉い人だから拝んでおこうくらいな感じになっているらしい。
ファンタジーな世界だけでなくSF世界からもそんな扱い受けてる人がトップにいるとか、まぁある意味安心ね。




