表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

580/618

誕生日記念、祥子さん誕生日の様子

「祥子さん、誕生日おめでとうございます!」


「「「「「おめでとうございまーす」」」」」


 今日はめでたく祥子さん30歳の誕生日だ。

 本人はついに三十路に……と嘆いているものの、お祝いムードには喜びと困惑の表情である。


「あの、せっちゃん? お祝いしてくれるのは嬉しいんだけど……その、面子が……」


「何か問題有りますか?」


「ありすぎるというか、豪華すぎるというか……」


 テンショーさんこと天照様や三日月委員長こと月読様、各国首脳に各宗教の教皇陛下、あとゲリさんとか新しく地球に統合された各国のお偉いさんたちが顔を見せて握手して帰っていく。

 そんなアイドルの握手会みたいな誕生日パーティで軽く委縮しているようだ。

 ちなみに日本からは陛下も代表してきた。

 祥子さんは過去一動乱の時代と言われる統合後の世界で、過去一支持された総理として君臨している。

 後継者問題があるが、しばらくはその立場を続投する事だろう。


「相手が大御所すぎて……正直怖いわ」


「そんな玉じゃないでしょ」


「いうじゃない……」


「だって、私の奥さんですから」


「はぁ……そうやってまた口説く。今夜は寝かせないわよ?」


「……お手柔らかにお願いします」


 夜の祥子さんは阿修羅をも凌駕するバーサーカーになるのだ。

 少なくとも私が搾り取られて枯れる寸前になるくらいに。

 世界の二、三個くらいなら軽く滅ぼせるエネルギーを貯め込んでも全部吸い取られる。

 私が真の暴食悪魔王なんてあだ名付けられているが、祥子さんは裏の色欲悪魔王かもしれない。

 表の新色欲は辰兄さんで確定だけど。

 あの人今何人子供いるんだろう……たしか宇宙コロニー一個親族経営してたはず。


「さて、じゃあそろそろ私からもプレゼントですね」


「あら、夜は可愛らしい私の奥さんはなにをくれるのかしら?」


「大したものじゃないんですけどね」


 そう言って差し出したのは一輪の薔薇とネックレス。

 異世界でかき集めた貴重な宝石を小さくちりばめた、小ぶりなものを作ったのだ。

 知り合いのドワーフに頼んで鍛冶と彫金を教えてもらい、コツコツと作り上げた一品である。

 薔薇は品種改良により100年咲き続けるという代物であり、値段こそ1万円くらいで買えるが人気の品でなかなか手に入らないものだ。

 無理を言って生産者に頼み、品種改良の手伝いなどをして融通してもらった。


「素敵ね……意外な事に」


「意外とはなんですか意外とは」


「いや、だっててっきりローゲリウス王の尻尾とかそういうゲテモノ持ってくると思ってたから」


「さすがにそんなことは」


 身内以外にはしない。

 ゲリさんの誕生日の時は軌道エレベーターも支えられる超硬質リボンでふんじばったベルゼブブと、世界の珍味とシュールストレミング10年分プレゼントしたけど。


「つけてもらえる?」


「喜んで」


 正面から首に手を回して金具を止める。

 うん、花をモチーフにした彫金に小さな宝石がきらりと輝いて祥子さんによく似合っている。

 タンポポのように可憐で、薔薇のように美しく、ヒマワリのごとく天を仰ぐ祥子さんにはお似合いだ。


「いいわね、これ。気に入ったわ」


「ならよかったです」


「なんというか、温かみがあるしすごく嬉しい……誕生日っていいものだったのね」


「そうですね」


 しみじみと、眼のふちに涙を浮かべているのを見てハンカチを差し出す。

 かなり複雑な祥子さんの家庭環境に置いて、誕生日というのはただ年齢が一つ増えるだけのものに過ぎなかったそうだ。

 けれど施設に入ったり大人になって独り立ちしたりして、そしてようやく誕生日の素晴らしさを知ったと聞いた時は全力で奔走して毎年豪勢なプレゼントを贈るようにした。

 今年はこぢんまりとした形になったけどね。


「来年も、再来年も、その先もずっといい誕生日にしましょう」


「えぇ、そうね。そのためには今抱えてる問題をしらみつぶしにしないと!」


「その意気です! 私も微力ながら手伝いますからね」


「あー、せっちゃんはその、少し大人しくしてね? むしろ尽力しすぎて後始末が大変だから」


「……はい」


 なお、夜にリボン巻いて際どい所隠して寝室で待ってた私がプレゼントパート2ですって言ったら夜どころか翌日の昼まで寝かせてもらえなかった……この人、やっぱり裏ボスだわ……。

はい、私の誕生日なので祥子さんのまともなようでまともじゃない誕生日の様子をお届けです。

水曜日もちゃんと最終決戦の話更新するのでご安心を。

ちなみに性欲が強いのではなく、寂しがり屋ゆえに刹那さんにひたすら甘えているだけというのが祥子さん裏色欲の悪魔王の理由です。

辰兄さんこそが本物の色欲の悪魔王だけど、局地的にそれを凌駕するのが祥子さん。

某超コーディネイターを特定条件満たすと超えてくるザラ君みたいなものです。

なお祥子さんの支持率は90%を下回ったことがなく、野党からも人気者という「ぼくのかんがえた最強の総理大臣」な状況だと思ってください。

某めだかちゃんみたいなもん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ