伊皿木家の新年(旧時代バージョン)
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
1日はコミケ疲れで寝てたので今日更新となりました。
伊皿木家の年末年始は忙しい。
主に親戚の集まり関係でだ。
というのも、伊皿木家は親せき付き合いが広く深い家なのである。
長い年月の中でいくつもの分家が生まれ、宗家と呼ばれた家が何度も変わっているくらいには生き死にの激しい家だったりするのだ。
つまり何かあれば「次の宗家はお前のところな」という話題もこういった機会に話す事になっている。
なおお盆はお祓いの仕事で忙しいので基本的にみんな顔を合わせない。
「刹那、栗きんとんできた?」
「もう少しー。永久姉は海老どう?」
「ゆで上がったから盛り付けてる。黒豆はもう少しよ」
「縁、お餅はどうなってる?」
「刀兄達が外で作ってる」
「いくつか貰ってくるわ、その間ハッシュドビーフ見ておいて」
「ん」
私達姉妹は次期宗家主力組として色々仕事もやらされているのだが、毎年おせち作りとなると死ぬほど忙しい目にあっている。
餅つきなんかの力仕事は刀君が主導で行っているのだが、正直私もそっちに行きたい。
なお臼が割れるからダメと言われているので悲しい……。
あー、祥子さんに抱き着いてアルハラとセクハラして癒されたいわ。
「しかしあんたらいつになったら結婚するのかしらねぇ」
「お母さん、それは言わない約束でしょ」
「あんたが一番心配なんだよ永久。一会なんかは心配ないけど、あんたダメな男ばっかり引っかかってるじゃないか」
「だってぇ……」
「だっても糞もない! 最初から諦めてる縁と刹那はいいけどあんたは長女なんだからね!」
「それ、普通は長男の辰兄に言うべきよね?」
「あれは早い段階で処分したいくらいだから。刀祢がいい人捕まえてきて本当良かったわ」
「……あれ、いい人なの?」
「うちの家系的にはピッタリでしょ?」
「それは……そうね」
なおおせち作りの間は基本的にこうしてお母さんによる問い詰めも発生する。
私は諦められているので問題ないのだが、やらかしの多い永久姉が基本やり玉に挙げられるのだ。
男子会の方では刀君の冷やかしと、辰兄さんへの問い詰めが行われるのも恒例であり、時には餅の代わりに辰兄さんの頭を臼に押し込むことになるらしい。
ちなみに過去のあれこれを数えると私が一番優等生だという不思議な状況に陥るのだ。
みんなやらかしすぎである。
「あ、刹那。今回はキサラギ家も来るから柔軟してきなさい、一会も一緒にね」
「はーい」
「うげ、面倒な奴らが……」
キサラギ家、うちの分家だけど暗殺とか剣呑な事やってる人たちだ。
うちに来る時は大体腕試しとか、武芸関係で来ることが多い。
たまに一緒に仕事をしたりもするが、方向性の違いでいさかいになることも多いのだ。
「ちなみに次代頭首のお披露目もあるから刀祢と一会には頑張ってもらう事になるから。今年は振袖じゃなくて道着で出てね」
「あ、それは楽でいいわ」
一会ちゃん、この手のイベントは楽しみたい側の人だから堅苦しい格好は苦手なのである。
毎年振袖を選ぶのも着るのも面倒と顔をしかめていたのだ。
「刹那は振袖でいいわよね、制限付いても問題ないでしょ?」
「まぁ、大丈夫だと思うけど……」
「なら頑張ってね? とりあえず次代頭首くらいは軽くひねっておいて」
「了解、腕の二、三本くらいはいいわよね」
「脚も五六本くらい持って行っていいわよ」
「じゃあ軽く片付けるわ。おせちいっぱい食べたいしね」
「……ほどほどにね?」
なお新年会は基本的に各家で作ったおせちを持ち寄るのだが、現代の宗家であるうちが一番豪勢にしないといけないので年始はお金の計算が大変なのだ。
確定申告もしないといけないのでなおさらである。
まだまだその辺アナログなところがあるからうちは面倒なのよね……。
あー、もっとデジタルになってほしいわ。
時系列的には本編中頃です。
祥子さんはよわよわになるから来られなかった新年会。
明日時間と体力に余裕あればもう一本新時代バージョン書きます。
過労で熱出てるので……。




