騎士団長だよこの人
「私は何を……」
「剣に飲まれてたのよ、これ危険だから使い手が未熟だとそうなるの」
「なんということか……」
「で、あなたの心ってそれが原因で一回壊れたから再構築したんだけど不具合とかある?」
「いえ、今までの行いを恥じるのみです……可能ならばこの首を斬り落としてしまいたい!」
あー、メンタルダメージ受けてるわ。
よっぽどやらかしが多かったのね。
「ちなみに領主様は既にお亡くなりよ、悪魔と共謀してよからぬことに手を貸しているうちに身体の一部が徐々に悪魔化していたみたい」
「なんと、それは……まぁ自業自得では?」
「え、それで終わっちゃう話なの?」
本当はもっと反論とかしてきて、それでもただ結果のみが真実って突きつけてやりたかったのに……。
「実際かなりあくどい事をしていましたから。裏社会の住民や虜囚を使って悪魔と交渉など茶飯事、酷い時は子供達だけでも避難させるという名目で悪魔の居住地に突撃させるなどなど」
「わぁ……悪魔より悪魔してる人間だぁ」
「所詮悪魔など最初から決められた量しか欲を持たぬ存在、無限の欲望を持つ人間にはかないますまい」
それは……まぁそうか。
色欲の悪魔を何体集めようと濃縮しようと辰兄さんに勝てると思えないのと同じだ。
暴食に関しても私やとーてつさんに勝つことができる存在がどれだけいるか……ベルゼブブはこの前懇神会の焼肉食べ放題でリバース寸前になってたから私達より小食みたいだけど。
「じゃあとりあえず、ここでの面倒ごとは全部丸投げしちゃっていい? 私達騒ぎになる前に出ていくから」
「そうは言いますが、領主様が呼びつけたという事実が残っておりますれば」
「領主を乗っ取った悪魔が呼びつけたんでしょ。私達を殺そうとして」
「なるほど、しかし市民にはどのように説明するべきか……」
「領主邸にしか悪魔用の結界が無い理由とか含めて、適当に歴史書を改竄したらいいんじゃない? こう、元は砦だったとかそういう感じで、そこに邸宅を立てていざという時は悪魔をおびき寄せて決戦場にするという仕組みだったのだーみたいな。だけど領主様は負けて悪魔に飲まれちゃったというオチで」
「ふむ、悪くありませんな。各自、すぐに行動するように! これは最重要命令である! また第三騎兵団は王都へ早馬を! 現状の説明をするのだ!」
「ど、どのような説明をすればよろしいのですか?」
「そこのご婦人が真実を教えてくれただろう? そのままお伝えすればいい」
「かしこまりました!」
うーん、上がまともだと動きやすくていいわ。
まぁまともに成型したんだけどね、こうぎゅっと。
ただこの方法だと従順な相手を作るのは難しいし、ロジック的にちゃんと理のある言葉を選ばないと敵対しそうだから今後やることはないでしょうね。
インフルエンザにつき短い話で失礼します。
メンソール吸ったら盛大にむせてヤニネコにはなれないと悟った……




