作戦会議
ともあれ悪魔のいる場所を目指すという目標は変わらない、変わったのは殲滅から捕獲になっただけだ。
……まぁ、アリヤにとっては微妙な気分になるかもしれないけどね。
「アリヤ、リリエラ、作戦会議よ」
「はぁ、何についてですか? この悪魔の処分?」
「わたし、わるいあくまじゃないよ……」
ぷるぷる震えてる姿はよわよわの祥子さんを思い出す。
だがまるで別物、あの人は普段凛としているがいざという時にそうなるから可愛いのだ。
最初から可愛い系のリリエラがやったところであざといだけで、なんならちょっとムカつく。
「悪魔の処分についてというのはあってるけどリリエラは同行させるわ。何かあっても私は問題ないでしょうし」
「こちらとしては悪魔連れでの旅というのがもう問題なんですが」
「でも戦力としてはそれなりよ? ついでにリリエラとの模擬戦と私との模擬戦だったら前者の方が学びが多いし、うっかり死ぬ可能性も低いわ」
「よし、連れていきましょう」
うむ、アリヤがちょろくて助かったわ。
しかしそうね……リリエラの処遇も考えておく必要があるというのは間違いない。
後回しにしてもいいとは思うけど、向こうに連れて帰った場合祥子さんがどういう態度をとるか……うん、殺されかねないわ。
あの人浮気する人は捥いでから殲滅という性格で、まぁそれもご家庭の事情というやつから来るものだから。
私自身、浮気は嫌いだし。
主に辰兄さんの起こした事件のせいで。
なので生涯祥子さん一筋を決めた私はリリエラと何かをする気はない!
……誓って本当だよ?
「で、悪魔の処遇ってなんです?」
あ、リリエラ復活した。
彼女の意見はもう聞いてるからいいけど、アリヤを説得するためには仲間は多い方がいいだろう。
いくらちょろい彼女と言えど殺さない、という手段はそれ相応に理由を付けなければ難しいからね。
「えっとね、まずこの世界が崩壊するかもしれないという話から始まるんだけど」
「はぁ!? 崩壊!?」
「はいストップ、まずその原因は私。私がいた世界に有った娯楽とこの世界は酷似しているの。まぁ違う点も多々あるけど、おおよそ同じ。それが原因で弐つの世界がぶつかり合って、下手したら両方とも消滅しそうになっています。はい問題です、対処法は?」
「……どちらか片方をさきに崩壊させる」
「正解、そのために私が送り込まれて来たけど上からは人的被害は最小限にとどめるように言われてます」
嘘だけど。
「で、この世界の人を私達の世界に移住させるという方法を探していたわけだけどね。リリエラの話と向こうでの事件で悪魔は世界間を渡れるという事が判明しました。それも大規模な人数で」
「つまり……悪魔を捕まえてその方法を吐かせる?」
「惜しい、木っ端な悪魔はそんな方法も作戦も聞いてないでしょうからそういうのを知ってそうな親玉に近づき情報を集める。情報さえ聞き出せたらあとは殲滅しても問題ないんだけど、私達の世界基準だと悪魔も人権が認められてるから極力そういう物騒なのは無しで」
「むぅ……しかし世界中の人類の命と天秤にかければ多少の悪魔くらいなら……」
「あれ、先んじて私達の世界を滅ぼすって考えにはいかないんだ」
「あなたに勝てない時点でそれは諦めてます。そもそも世界間を渡る方法もありませんし、できたとして向こうの世界を破壊する方法も見当が付きません」
まぁ確かに。
私も世界を滅ぼしてこいと言われて困ったのはそれだ。
惑星一つくらいならなんとでもなる。
宇宙を一つというのもなんとかできる。
ただ世界という、宇宙よりも広大なスケールのものをどうやってぶち壊せばいいやら……。
「あ、ちなみに私向こうの世界だと中堅よりちょっと上くらいよ」
上位陣は基本神様とか、クリスちゃんの故郷の人達である。
人間って鍛えたらどうなるかの好例として、生身で私と取っ組み合いできる人とかいたから。
まぁ最終的には勝ったし、その人が人類最強だったらしいけど。
「……そんな世界で我々は生きていけますか?」
「大丈夫、安全な国もあるから。ドラゴンと蠅の王が国王と王妃してる国とか」
ゲリさんの国は戦闘力差別が無い国の一つだ。
かなり珍しいけれど、そのゲリさんが上位陣に食い込みつつあるからね。
単独では私より弱いけど、数の暴力で攻め込んでくる。
街中にカラス感覚で出てくるドラゴンなんか雑魚同然、世界が世界なら竜王とか呼ばれるレベルの最強種ドラゴンを数百万という単位で揃えている。
完全な人外魔境となり、世界最強の戦闘力を持つ日本ですら敵対したら人口が半分になると言われているだけの戦力を指先一つで動かせる人だから。
まぁ、あの人も日本の公安に勤めてるんだけどね。
「そんな国が……ん? 蠅の王? 悪魔王のベルゼブブ?」
「正解、上が強すぎて力がどうのとかどうでもよくなってる国。その国王してるのが最強種のドラゴン、その最上位という頭のおかしな国よ」
「それは……はい、戦闘力とか考えるだけ馬鹿らしいですね」
「そういうこと。というわけでこの世界の住民を私の世界に送るため悪魔を捕まえて拷問……じゃなかった、尋問します。異議は?」
「ありません」
「同じくないです!」
「そ、じゃあ今後の方針が決まったところでご飯食べて寝ましょうか!」
「さっき食べたばかりじゃないですか……それも店一軒分」
「あんなのおやつよ」
「……異世界、怖いなぁ」
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