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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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お姉さま!

「お姉さま!」


「待ちなさい、なんでお姉さま呼びなのかをまず教えなさい。諸々の、種族固有のあれこれから含めて」


 何故か悪魔っ子に滅茶苦茶懐かれてしまい抱き着かれている私。

 時折首筋を舐めようとしてきたりするのを力尽くで抑え込んでいるが……くっそ、パワーアップしているせいで押し返せない!

 その場にとどめるのが精いっぱいだ!


「えっとですね、色欲の悪魔は自分を鍛えてくれる同性を師として慕うのが習わしです。その際呼び方はお姉さまとするのが一般的で、男性の場合は兄貴と呼ぶそうです。ちなみに異性の場合女性が男性に師事してもらう場合はお兄さまと、男性が女性に師事してもらう場合は姉貴と呼ぶのです」


「うん、なんとなく理解した」


 つまり女子高のノリとヤンキーのノリなのね。


「それで私に力をくれたのでお姉さまなのです!」


「うん、却下」


「嫌です」


 却下を更に却下するだと……!?


「師弟となったら双方の合意なくては関係の解除はできません。悪魔は約束事は絶対守るのです!」


「いや、私そもそも師弟になる件に合意してないけど?」


「鍛えた時点で合意したとみなされていますので」


「不可抗力は?」


「結果第一主義ですから」


 ……うん、決めた。

 悪魔のこの糞みたいなルールぶち壊すわ。

 それでお姉さま呼びから逃げ出す!

 いや、私これでも次女だから姉と呼ばれ慣れているんだけどさ、その上で見ず知らずの他人からそう呼ばれるのは少し抵抗がある。

 正直縁ちゃんの恋人に関してもいきなりお義姉さんとか呼んできたらねぇ、お前どこの馬の骨だよ、どこの骨から折ってほしい? って聞いちゃいそうだし。

 少なくともそれなりに時間をかけて人となりを知ってからにしたいところではある。


「とーにーかーくー、お姉さまはお姉さまなんです!」


「あー……うん、面倒だからもう好きに呼んでいいわ。で、あなた名前は?」


「あっ、申し遅れました。リリエラ・ル・リラ・レノラ・ルルリア・ローレンです」


「長いからリリエラで」


「はい!」


 しかし妙な事になったなぁ……どうしようこの子。

 旅に連れていくとしても悪魔討伐の旅だし……。


「ねぇ、これから悪魔を討伐していくつもりなんだけどそれでもついてくる?」


「犬が猫を殺すのに何か問題がありますか?」


「あ、系統別で別種族みたいなもの?」


「遠縁と言った感じですが、正直同胞ですら近縁種程度にしか思っていないのが悪魔です。だから大型犬と小型犬くらいの感覚で強い方が弱い方を食い殺すのは悪魔として普通の事ですよ?」


 ……なんて物騒な種族なんだろう。

 お話の前にまず殺し合いになるパターン?

 ならまぁ、弱いリリエラがいじめられてたのも納得、というかよくその程度で済んでいたなと思わないでもない。


「アリヤは悪魔が同行することについて何か思う事はある?」


「悪魔みたいな女性との旅だったので今更どうでもいいかと」


「よーし、今日の訓練はいつもの三倍ね」


「やめてください死んでしまいます」


 まったく……もうちょっと言葉を選んでほしいものだわ。

 しかし悪魔ねぇ……。


「あ、リリエラ。最近悪魔が変なところに出かけたとかそういう話知らない?」


「そういえば傲慢と強欲が世界の壁を越えて遠征するとかいう話なら聞きましたよ」


「それ、いつのこと?」


「えっと、聞いたのは半年前くらいだったので……ここ数日の事かと」


「じゃあこの顔、見覚えある?」


 懐から取り出した端末、そこに映っているのは昨日ホラー映画試写会でよわよわになった祥子さんが鬱憤晴らしにどこからか出現した所属不明悪魔をぶちのめしまくった映像。

 そしてその際に逮捕された悪魔達の顔写真である。


「あー、こいつら色欲の悪魔の常連客です」


「常連客?」


「えぇ、色欲系譜は産まれたばかりだと弱いので力のある悪魔から精を分けてもらうんです。普段は同系譜の相手なのでお兄さまや姉貴が増えるのですが、同系譜同士では力を与える側にも余裕が必要になってきます。その際にお客様として他の系譜の悪魔からちょこっと力を頂く代わりに、楽しい一晩を提供するのが私達のやり方でした」


「でした?」


「地上に繋がったから国家公認色欲の悪魔による歓楽街があります。性犯罪防止のためにお安い値段で提供、病気の心配もなく護衛を雇う必要もなく治安維持もできている。安心安全な歓楽街! あ、優待チケット持たされてるのでよければどうぞ」


 そう言って手渡されたチケットを見て破ろうかと思ったが懐に仕舞いこむ。

 これはこれで、どこかで交渉に使えそうな気がするわね。

 ともあれ、悪魔が地球に攻め込んできている裏はとれた。

 やっぱり悪魔の根城に突撃するのが問題解決に一番近いか……この世界の神様は既に地球に移住しちゃって、こっちに帰ってくる暇がない位に作法とか仕込まれてるらしいから。

 伝言としては「世界が滅びるのはいいけど、できるだけその世界で生きている生き物は助けてほしい」とのことだった。

 なんだかんだ言って、優しい神様なのよね。

 糞野郎な一面もあるけどそれはご愛敬、ナイ神父に比べたら大したことないもの。


 ま、重要な手がかりも手に入ったし目標には一歩前進かな?

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― 新着の感想 ―
[一言] >そう言って手渡されたチケットを見て破ろうかと思ったが懐に仕舞いこむ。 >これはこれで、どこかで交渉に使えそうな気がするわね  祥子さんにそのチケットをみられて、騒動を起こす可能性。
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