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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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港町だった場所!

 森に突撃して30分ほど経った。

 私は失念していたのだ、ドライアドの性質が無いから迷子になるという事を。

 そしてこの森の奥にあるかもしれない港町が残っているとは限らないという事を。

 いやぁ……うっかりしてたわ。

 見切り発車でご飯食べられる森の中って考えで動くのはよくなかったわね。


「とうっ」


 というわけで、なんとなく身につけた飛行術を行使。

 魔力とか気を練って身体を包み込んで浮かせるんだけど結構扱い難しいのよね。

 よく小学生男子が失敗して頭にこぶ作ってる。

 私も最初うっかり月まで飛んでしまって、その後落下してくるコロニーに掴まりながら帰還する羽目になったから大変だったわ。

 まだ住民が生きてるコロニーだったからね、軌道衛星上に乗るように微調整しつつ地球に降り立つの、結構気を使う作業だったから海を狙って降りて、そんでそのまま潜ってよくわからない蛸みたいなの踊り食いしてから日本に帰った。

 以後地下で練習するようになったけど、まともに使いこなせるようになったのは出産直後だったわね。


「んー、お、あれかな?」


 遠くに海が見えたので視線を動かしてみると開けた場所があった。

 人工物っぽい何かがあるから多分間違いない。


「ゆっくりゆっくり……」


 まだ飛行に関しては補助輪付きみたいなものなのでそろーっと、時速120㎞くらいでしか動けない。

 それ以上をとなると制御できなくて吹っ飛ぶから。


「よっし、危なげなくとうちゃ……く……?」


 そこは廃墟だった。

 ゲーム時代に見た港町とはまるで違う、ボロボロの建物に人骨、更には苔などが生い茂っている様子から随分と長いこと放置されていたのだろう。

 ただ普通の廃墟とは違う点が一つ、街に張り巡らされた血管のような根。

 触れてみると脈動しており妙に熱い。


「ていっ」


 試しに手刀で切ってみると血のようなものが出てきたが、すぐに修復されてしまった……手についた液体はそのままだけど。

 ぺろりと舐めてみると酸味が強い。

 同時に舌先がピリピリするから有毒なのもわかる。

 んー、トリカブトとベニテングダケと……テトロドトキシンにヒ素?

 海の毒もあれば森の毒もある。

 綯い交ぜにしたようなこれら、めっちゃ濃縮されてるから一般人なら皮膚に触れただけでも即死だろう。

 というかたぶんこの廃墟に入り込んだだけでも死ぬかもしれない。

 呼吸一回でぽっくり逝くだろうなぁ。


 さてさて、情報を集めるべきか、問答無用で消し炭にするべきか……。

 私としては消し炭でもいいんだけど、そうなると報告書を提出した時に突かれるのよね。

 だとしたらちゃんと調べておいた方がいいとは思うんだけど……非常に面倒くさい。

 ならばこういう時に便利な技を使うしかあるまい!


「明鏡止水!」


 世界との合一、それにより情報を読み取る。

 ……というかステータスの出し方とかもこれでわかるから最初からやればよかった。

 まぁ疲れるしお腹減るからやらないけど。

 それはさておきだ……あぁ、なるほど。

 大体理解できた。


 ゲーム時代はここに悪魔が住んでて、天使が囚われてて、森には精霊王がいた。

 その二人を放置した結果精霊対悪魔の戦争になって、その際に精霊女王が悪魔に吸収され、ガチギレした精霊王が全力で呪いをかけた。

 そしたら呪いが天使に押し付けられて……というところまで読んだ瞬間にバチッと頭の中で雷光がはじけた。

 強制的に明鏡止水をとかれた。

 こんな力を持っている相手がいるとすれば……。


「初めまして、かな? この世界の神様、ぱくり野郎」


「随分な挨拶だ人間風情が。我が世界をどうするつもりか聞いておこう……殺す前にな」


「壊す、さもなくば次元の果てに廃棄する。そうしなければ私達の世界とぶつかって大惨事になるから」


「そうはさせん……あの男に復讐するためにはこうするしかないのだ!」


 怒気を放つ神様、なかなかどうして強い。

 世界をパクる必要なんてないくらいには強力な力を持っているように見えるが……復讐?

 男……復讐相手……地球にいる……もしかしてだけどさぁ。


「その男ってナイ神父って呼ばれてない?」


「知っているのか……やはりその身に沁みついた臭いは奴のものか!」


「復讐するなら手伝うけど?」


「なに?」


「あの人には世話になってるけど、同時に酷く迷惑しているからね。殺せはしないでしょうけど嫌がらせくらいならなんとかなるかな……」


「具体的な方法があるならば聞いてやろう」


「退屈が嫌いな人だからコンクリートで物理的に、結界で世界的に隔離した場所に5億年くらいの時間加速かけて放置。いないと困るけど、少しは懲りるんじゃない?」


「それができるだけの力などどこにある!」


「他の神様に手伝ってもらう。時間の神様とか、空間の神様とか、そういう専門家に手伝ってもらえばできるでしょ」


 クロノスさんとかならできそうだなぁと思うけどね。

 五億年ボタンは運営が悪ふざけで作ったからその応用でいけるはず。

 私も押したけど、最初の10年で飽きたから残りの時間は冬眠してた。

 なによりご飯が無かったのが辛かったからねぇ……。


「いいだろう。だが失敗した場合は……」


「私はしばらくこの世界を探索するけど、その間に紹介状持って地球に行ってくればいいわ。そうしたら誰かしらがお出迎えしてくれるから」


 懐から取り出したるは祥子さん印の紹介状、そこに私のサインとちょっとした伝言を書き加えて手渡す。

 これで一件落着かもしれないけど、万が一に備えてまだ探索は続けるけどね。

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― 新着の感想 ―
[一言] >「他の神様に手伝ってもらう。時間の神様とか、空間の神様とか、そういう専門家に手伝ってもらえばできるでしょ」  ニャル様は基本なんでも出来るからなぁ……。  空間に干渉は普通にしてくるし、…
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