ファイルナンバーEX6:伊皿木刀祢
ファイルナンバーEX6:伊皿木刀祢
執筆者:伊藤誠
当該ナンバーの異常性は筋力である。
握力をはじめとした腕力、脚力はナンバー3を凌駕するものであり、オリンピックに出場すれば間違いなく記録を大幅に更新して金メダルを並べてくれるだろう。
問題は当人の気質にある。
まずルールを守るという点を教え込むことが難しい。
短気という言葉以外に浮かばないほどだ。
例えばマラソンをさせてみたところ「で、妨害はどのくらいまでしていいんだ」と聞かれた執筆者の気持ちを考えてほしい。
妨害行為はダメだと答えたところ胸倉を掴まれた。
猛獣に脅される気分を味わったのは久しぶりである。
ナンバー1と共にナンパに出て後日刺された時以上の恐怖を味わった。
流石に生首で鞄に詰められるのはもうごめんだと思い「とりあえず走ってゴール目指すだけです」と説明をしたら「先に言え」と殴られ首が360度回転した。
理不尽ここに極まれり。
【執筆者をEXナンバーに加えるべきか議題にあげておいた】
握力の測定の際ナンバー3でも問題なく測定可能なt単位の物を使用。
紙くずを丸めるかのように握りつぶした。
推定だが100tは超えている。
パンチングマシーンを用意したところサンドバッグを拳が貫通した。
まともな測定器具では使い物にならない。
上層部へ新機材の導入を打診。
【受諾、また執筆者のEXβナンバーへの参入が確定した】
【後日βナンバーとして測定に参加せよ】
【手始めにその頑強製を調べるところから始める】
給料の増額を打診。
【検討する】
武術の心得について確認をとったところ一切ないことが判明。
曰く「相手が動かなくなるまで殴ればいいだろう」とのこと。
難しいルールを覚えさせるのは不可能である。
このことから知能指数の検査をしてみた。
結果的にT大を一発で合格できるだけの知識と、200を超えるIQの持ち主であることが判明。
その知識と知数を戦闘のみに使っていると思われる。
無駄遣いもいい所だ。
合わせて他ナンバーの検査結果も記す。
手始めに全員がT大、または海外の有名大学であるH大学やミスカトニック大学に即座に入学できるだけの知識を持っていることが判明。
IQに関しては以下を参照。
ナンバー2、4、5の常識的な思考の持ち主たちは150前後であった。
まごうことなき天才ではあるが、当該ナンバーを前にすると霞むのは気のせいだろうか。
続けて非常識な思考の持ち主であるナンバー1、3、7だが軒並み300に迫る勢いだった。
特に7が異常値であったことを記す。
以上の点から当該ナンバーを境に分けることができると思われる。
【ナンバーズにこのレポートが見つかった】
【せっかくなのでデータをとるために執筆者を確保】
【以後別の執筆者に引き継ぐ】
【前任者の儚い犠牲を忘れないように】
【彼は悲しみの向こう側へと行ったのだ】
交代執筆者:井土桜子
新たに執筆者に任命されたはいいが調べることが無い。
なのでここ最近は談笑、あるいは雑談という名のカウンセリングが中心である。
聞くところによると奥様の嫉妬が怖いとのこと。
他の女性に目を奪われると躊躇わずに眼球を潰しにかかるそうだ。
持ち前の頑強性から無事とのことだが五寸釘が眼球に触れるのはさすがに恐ろしいらしい。
その際に頑強性の実験を申し込んだところ許諾を得た。
方法を確認したが「任せる」という事なので遠慮なく万力で腕を潰そうとした。
万力に腕の型がついただけだった。
仕方ないので5tのプレスマシンを使用、プレスマシンが壊れた。
ナンバー3の所持していたデザートイーグルを使用。
服に穴をあけてしまったので弁償することになった。
費用を提出する。
【許諾を得ない実験での損傷に出す金はない】
自腹で諸々の修繕をしたところ懐が涼しくなってしまった。
仕方がないので安全な実験を行う事に。
前執筆者曰くパワーが凄いとのことなので加減の方についての実験を実施。
一般的な握力計で50㎏の力を加えてほしいと頼んだところ、ぴったり50㎏を記録。
続けざまに30㎏、80㎏、10㎏と要請して全て誤差0.1kgにおさめられた。
【執筆者はフォントなどを統一して書くこと】
【それはそれとして面白い着眼点である】
【今後も実験を続けられたし】
筋肉を触らせてもらったところ非常に柔軟であった。
うむ、お姫様抱っことは心地いいものである。
【遊ぶな】
最近心臓が痛い。
当該ナンバーには謝罪をされ、何やら仰々しいお祓いをされた結果、彼の奥様に呪われていたらしい。
すみませんもうあそびませんからゆるしてください
あ、ついでに彼の霊能力について記しておく。
一般的なお祓いとは違い基本的に彼のやり方は拳である。
普通であれば呪詛をそらしたり、相手に返したりするが彼の場合は拳で殴る。
幽霊も呪いも等しく、殴ることで霧散させる。
儀式をするのは相手に返してはいけない場合のみであり、私が受けたものがそれだったようだ。
他の場合は殴るだけでほぼ解決、どうしてもとなった時家宝の刀を使うらしいが一般人ならば見ただけで死ぬような危険な物品という事で確認させてもらえなかったのが残念である。
なお奥様から「特別に見せてもらえるかもしれない」というお話が来たが、高級菓子だけ送って丁重にお断りした。
ついでに迷惑をかけたという事から本気の謝罪をして許してもらえた。
寿命が縮まった思いである。
【危機察知能力の高さを認める】
【以後当該ナンバー、およびナンバー1、ナンバー5の執筆者に任命する】
ゆるして




