ファイルナンバーEX2:伊皿木永久
ファイルナンバーEX2:伊皿木永久
執筆者:猪瀬雄二
当該ナンバーのデータをまとめる。
肉体的頑強性、その他物理的な戦闘能力は非常に低いと言わざるを得ない。
一般人を比較対象としても貧弱の一言である。
握力を計測したところ左右共に12㎏、腕立て伏せは1回もできずに姿勢をとった瞬間腕が震えはじめ、そのまま経過観察をしていたところ10秒で崩れ落ちた。
【追記報告】
統合後の計測では握力は両手共に8㎏、腕立て伏せは3秒で崩れ落ちる結果となった。
弱体化している。
ナンバー3やナンバー5のように武器の扱いに関して調べてみた。
ナイフを持った瞬間腕が震えはじめた。
そっとそれを下ろし、「重い」と言い放つ当該ナンバー。
貧弱ここに極まれり、戦闘向きではないのだろう。
ようやくではあるが、当該ナンバーの異常性を発揮するポイントの調査に移る。
特筆するべき能力、それは霊能力である。
既存の技術体系の中でも疑問視する声が多いものだが、超心理学の観点から確認するにESP能力の一つだと考えられた。
しかし当該ナンバーの保有するそれはPKと呼ばれる、対外的な物質に影響を与える能力も保有しているようだ。
過去の文献を漁ってみてもESPとPKを同時に保有する存在を確認できなかったため相当なレアケースだと思われる。
先述のナイフに呪いをかける実験を行った。
曰く、手にしている間不幸に見舞われるというざっくばらんな内容の物である。
死刑囚職員に持たせてみたところ天井が崩落、下敷きになり両足を複雑骨折した。
以後死刑囚職員をENDグループ、略称EGとして末尾に実験ナンバーを記す。
EG1の再起不能を確認、処理を行ったためEG2が実験を引き継ぐ。
EG2がナイフを手にした直後どこからともなく現れたナンバー3と遭遇、目があった際に狂乱状態に陥ったEG2が切りかかり制圧された。
EG2は軽傷だったため実験を継続、偶然鉢合わせたナンバー7を人質に脱走を図ろうとした模様。
顎の骨を砕かれ、会話が不可能となったため処理。
EG3に引き継ぎを行いナイフを持たせたところ徹夜明けのナンバー4と遭遇、詳細は省くがセクハラ発言をしたため全身の穴から出血しのたうち回ることになった。
EG3を処理。
EG4に口枷と手錠をした状態でナイフを持たせたところ地震が発生、その際に手を滑らせ落としたナイフが足に刺さった。
以上を持ってナイフを使った実験を終了とする。
偶然性が高すぎるとはいえ、間違いなく全員が不幸な結果に陥っているといえるだろう。
実証のために実験の継続とEGの補充を求む。
【要請を承認】
追加で補充されたEGの5~20に同様の呪いを施したボールペンを支給。
詳細は別レポートにて提出するが、3日以内に全員が死亡、あるいは処理せざるを得ない状況に陥ったことを記述しておく。
また呪いとは裏返せば祝福にもなるという事もありそちらの方面の実験も当該ナンバーに要請。
快諾されたため職員5人に祝福されたボールペンを持たせ、各々宝くじやギャンブルなどをさせてみた。
職員A:宝くじを購入した結果、5億円当選
職員B:208戦208敗の大穴レーサーに一点賭け、他のレーサーの装備に不調発生により勝利を収め3億円相当の金額を入手
職員C:パチンコにて店の球を全て出し尽くした模様
職員D:街中で偶然初恋の相手に再会、談笑の後恋人となったらしい なお本人はギャンブルを好まないためどうしたものかと散歩していた結果とのこと
職員E:職員D同様ギャンブルを好まないため福引をしようと日用品を買いに家電量販店に入ったところオープンから5000万人目という記念で欲しがっていた最新式VOTがプレゼントされた
上記の結果から祝福は間違いなく存在すると認定できる。
だがあまり祝福に頼りすぎるとよくないことも起こるという当該ナンバーの忠告に従いボールペンを回収。
間違いなく祝福が施されたものであると確認がとれたのでEG4に5本同時に持たせてみたい。
経過観察を続けるため許可を求める。
【要請を許可する】
EG4の経過観察
1日目:ナンバー3とナンバー4、ナンバー7の喧嘩が発生、実験施設が半壊するがEG4だけが無傷で生還
EG5~18が負傷につき処理、追加人員を求む。
2日目:EG4を危険地帯での調査に送り出す、数日かけた実験となるだろう
3日目:EG4との通信が途絶、GPSは位置を示さなくなった
4日目:EG4との通信は依然途絶したまま
5日目:EG4からの通信が回復、GPSは依然として位置を示さないがEG4は無事であるとのこと
6日目:EG4が帰還、記録映像からいわゆる怪獣と呼ぶべき存在数百体に囲まれた環境にいた模様
ナンバー8の内部構造確認のために送り出したが、生還者0の環境から生還した唯一の存在として表彰されることとなった
この機会に恩赦を得てEGから職員待遇へと昇格
その際に当人の申し出でボールペンの返却を受けた
なおボールペンはくすんだように黒くなっており、当該ナンバー曰くこれ以上の使用は反動が出るという。
残っていたEG20に持たせてみたところナンバー7の持つぬいぐるみを土足で踏んでしまい、重傷を負った。
処理。
恐らく反動とはこのことだろう、祝福が呪いの裏返しならば誰かが得た幸福の代わりに他の誰かの不幸を背負い込んだ結果、再び裏返って呪いとなったと見るべきである。
当該ナンバーも何かを考えながらおおよそあっていると回答。
【追記報告】
当該ナンバーが統合後魔法を使用可能になったと報告。
実践を求めたところ50㎝の鉄板を溶かす炎、避雷針を破壊する雷、燃え盛る家屋を凍結させる氷などの能力が確認された。
これ以上の実験には専用のスペースが必要であると考えられるため上層部に一考を求む。
【検討する】
【当該ナンバーの実験結果から、魔法を中心とした実験を継続せよ】
【なお以後はナンバー8の内部にて行われる】
【実験担当者、ならびに執筆者にはEGを使用】
【以後別ファクターにて新たな実験を始めてほしい】
承認、次の実験に移る。
【ところでオチは?】
【レポートにオチを求めた責任者は名乗り出るようにby三根】
ふと思ったが新年一発目の更新が辰兄さんだったのはいかがなものか……性欲の権化使っちゃったよ、三が日終わった直後に




