エピローグ
それから世界が落ち着くまで半年ほどが経った。
ゲリさんと私が実行部隊として、祥子さんはマキナちゃんと裏方に徹して各国で連携をはかった。
まぁ……多少の問題はあったけど、実績がある人物を送り込もうかと提案するとみんな笑顔で応じてくれたわ。
辰兄さんを大使として送り込むぞ、と脅し……じゃなかった、提案したら快諾してくれたのよね。
伊達に国堕としの異名を与えられてないわ。
ナイ神父も裏方に徹するということだったけれど、祥子さん達とは別行動。
正直信用できないので見張りをつけようかと思ったけど、縁ちゃんくらいしか対処できないでしょうし、彼女には祥子さんの護衛という重要な役割があるから泣く泣く泳がせることにした。
一応の問題は片付いたが、最大のトラブルは太陽系の肥大だった。
まず太陽系の惑星間距離が開き、次に太陽が肥大化して、最後に他の惑星も大きくなった。
何が起こったのか調査したところ、まず地球には未知の大陸がいくつも現れた。
どうやら化けオンをはじめとした顕現の影響の中で大きな物は後回しになっていたらしい。
つまり国とか島とか、人が住んでる場所のことね。
そしてどの国が権利を持つかと争っていたコロニーにもいつの間にか住民がいて、もともとコロニーに住んでいたという。
なんと驚くべきことにその人達は国籍を持っており、ちゃんと公安保管の書類にも名前が記されていた……というか勝手に増えていた。
こう、地球に関していい感情を抱いていなかった人たちもいるんだけど、とりあえず平等条約を結んであれこれして、水星の資源採掘コロニーとかの人達は安全な場所に移動してもらって新しい仕事を用意する形に落ち着いた。
この辺の宇宙関連は全てマキナちゃんが何とかしてくれて、祥子さんは顕現大陸の対処に大忙しだった。
威嚇目的ならゲリさん、外交目的なら私が出向くことで「比較的」平和にお話ができた。
……まぁ、平和的にね。
いきなり襲い掛かってくるような人たちはいませんでした。
いなかったことになりました。
死んでないからセーフということにしておくとして……他に発生したトラブルはエルフとかドワーフまで顕現してきたこと。
機械文明である現代社会、それを蛇蝎のごとく嫌ったエルフ。
数こそ少ないけれど、顕現大陸のいくつかでは奴隷として囚われている人たちもいた。
そういう人たちは集落に帰る事もできないなんて話があったので日本で保護することになり、居住区どうしようかとなった時にマヨヒガちゃんダンジョンのワンフロアをプレゼントした。
逆にドワーフは機械文明に超心惹かれて、今じゃ世界各国でその手腕を披露している。
……たまにとんでもない事やらかすけどね。
こちらも奴隷として酷い境遇に置かれていた人たちがいたので、それも保護。
なお日本ばかりずるいぞ、という内容をオブラート100枚くらいで包んだ抗議文が届いたので先んじて行動しなかったお前らが悪いと直球で伝えておいた。
あとはそうね……小人族や巨人族、獣人族に鳥人族なんかも続々と集まってきて、悪魔や鬼なんかも地獄が大陸として顕現した際に現れたのでマキナちゃんに対処してもらった。
……マリアンヌに「たまに顔出したと思ったら何してんだ馬鹿野郎」と思いっきりぶん殴られたと言われて申し訳ない気分になったわ。
ちなみにその際、義体のベルゼブブもこちらに現れたのでゲリさんとは正式に結婚することになったらしい。
あの国も健在で、今は各国の英雄大陸拠点として使われている。
またテセウス号も顕現したんだけど……厄介だった。
なんか軍事的なあれこれで個人所有はどうのこうの言ってきたから「魔法使えるお前らが言うか」と反論しちゃったのよね。
祥子さんに後先考えなさいと怒られたけど、殴り合いに発展する前にマキナちゃんが洗脳……じゃなくて説得して事なきを得た。
そして最大の権限と言えば……。
「お母さん! 姉さん!」
「黒助君、今日はどうだった?」
「司馬おじちゃんに色々教えてもらった! 壊しちゃいけない物を見分ける方法と、狙った物だけを壊す方法!」
「いい子ですね黒助。この調子でいろいろ学んで行きましょう」
「そうね。あと学校にもちゃんと通うのよ。VOT通学ができない以上大変かもしれないけれどね」
「うん!」
そう、黒助君が表に出てこられるようになったのだ。
うずめさんや、司馬さん、マキナちゃんにナイ神父、三日月委員長にテンショーさんといろんな神様があれこれ教え込んでいるけど、普通の学友も作ってほしいからね。
VOTに関しては一応使えるけど、地球の肥大によって通信衛星が足りなくなって回線状況が悪化しているのよね。
改善のために各国で慌てて衛星打ち上げようとしているけど、未知の金属とかが見つかるようになって検証を重ねているためなかなか進まないらしい。
ということで未だ地球は混乱の渦中にいるわけだけど、更に半年もすれば諸々落ち着くことでしょう。
旧来のやり方が今に生かされる形にもなっているわけだし、今回の一件で貧困問題や食糧問題、人口増加などがある程度片付いたからね。
次の問題はぞろぞろ行列を作っているけど、それも順番に片付けていけばいつかは平穏が訪れる、私達はそう信じている。
「そういえば祥子さんは?」
「旧化けオン運営との打ち合わせです。彼らの技術力なくして今の世界を支える事はできませんから……業腹ですけどね」
「ははっ、それはそうね。しっかし……あの人たちの技術力も謎よね。神仏妖怪の類じゃないでしょ」
「えぇ、間違いなく純粋な人間……でした」
「今はあっちの世界の神様アバターとして顕現しちゃったからね……コンソールとかそういうのは使えないみたいだけど」
「まさか【化け物になろうオンライン】なんてゲームを作っていた人たちが神様になってしまうとは思いませんでしたね」
「そうね。しかも世界中でみんな人外になっちゃったわけだしね」
「はい。でも一番最初に化け物になったのはやっぱりお母さんですね」
「あ、ひっどーい」
「事実を言ったまでですよ。ふふっ」
にこにこと笑うマヨヒガちゃんは、近くに置いてあったお茶を手に取り喉を潤す。
しばらく縁側でのんびりしていると不意に携帯端末が振動した。
おぉ、今日は電波が立ってる日だったか。
「はい、刹那です」
「せっちゃん? 悪いけど今すぐ公安に来て。ローゲリウスさんと一緒に対処してもらいたい問題があるの」
「わかりました。迎えをお願いします」
「またお仕事ですか?」
「うん、行ってくるね」
「はい、行ってらっしゃいお母さん。ほら、黒助も」
「いってらっしゃーい」
「行ってきます!」
さて、これからもバリバリ働かないと!
……あ、余談としてネカマで姫プで貢がせていた総理は当然だけど辞任することになったわ。
辞任会見の時、画面端でダイスが壁すり抜けてどこかに転がっていった時は「あれも顕現してるのかぁ……」と感慨深くなったから元総理に対する印象は薄いけど。
今の総理大臣はね……。
「伊皿木刹那様ですね。三根総理がお待ちです」
「えぇ、出してちょうだい」
そういうこと、ふふっ。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
本編は一応の完結を迎えまして、今後宣言していた通り週1回の更新を目安に融合前後の話を書いていく予定です。
次回は融合後の掲示板回です。
最終回(最終回とは言っていない)なので、人によっては503話が最終回だろとか、いや504話だろとか、次の掲示板回だろとか、いろいろあると思いますがコンゴトモヨロシク。
あと予定書いておきます。
・融合前後の掲示板回
・融合してエピローグ時点での掲示板回
・とかげ、融合世界での受難
・ネカマ総理、歴史書に名を遺す
・ネカマ総理の尋問会
・勇者召喚は誘拐事件として扱います
・百合コーン!
・とかげの結婚式
・刹那さん、更に化け物になる
異常の(誤字にあらず)3本でお送りいたします。
来週もまた見てくださいね、じゃんけんぽん!
僕の勝ち、なんで負けたか来週までに考えておいてください。
セツナサン、オマエ、マルカジリ。




