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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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ホウレンソウのだめな例

 お説教は乗り越えられなかったよ……。

 あれから72時間お説教をくらうことになりかけた。

 それどころじゃないということで濃縮5分バージョンで心をぽっきり折られかけました…あと5分続いたら明鏡止水の影響で世界諸共死んでたかもしれないわ。

 ラスボスは祥子さんだったか……。


「というわけで、今度はちゃんとホウレンソウをすること!」


「ほう、練習したのか、そうはならんやろの略ですか?」


「まだお説教が足りない?」


「すみませんでした!」


「よろしい。しかしどうしようかしらこれ……慣れると気にならないけど邪魔なのはたしかなのよね」


「こうぎゅっとしてすーっって感じでしまえないですか?」


 化けオンの時蔦を引っ込める時はそうしてた。

 あれ、伸ばしっぱなしにしてると邪魔だからね。


「わけわからないし無理ね。亀みたいに腕を引っ込められる?」


「やろうと思えばできますけど、関節外さなきゃいけないから見てても聞いてても気持ちのいいものじゃないですよ」


「きいた私が馬鹿だったわ。まったく、一人でめちゃくちゃやってる分にはいいけど世界をこんなにしちゃうなんてね」


 外に出て一服することにした祥子さん。

 隣でお汁粉を飲みながら護衛している縁ちゃんと並んで私もコーヒーを飲む。

 幸いというか、普通に電子マネーなどは使えたし電気も問題なし。

 インターネットも使えたし、テレビも見る事が出来た。

 そこには大量の速報が流れており、世界各国で人間が異形の姿になったとか、モンスターや空想上の生物が出現したというものばかり。

 ニューヨークでグリフォンが暴れて、近くにいた剣士とエルフがそれを退治したとか、東京上空に赤いドラゴンが現れてスクランブル発進した自衛隊がミサイルで撃ち落とした結果東京タワーに突き刺さったとか、そんなのがずらり。

 そして今もなお人類は姿を変えて、本来人間には存在しない部位や魔法の存在が確認されつつあるという。


「なーんでこんな事になっちゃったんですかねぇ」


「せっちゃんがやり過ぎたんでしょ。一会さん達は?」


「もうすぐ帰ってくるみたいです」


 まだ世界が不安定なので、明鏡止水による合一を続けている。

 相も変わらず狭間とも呼ぶべき謎空間で兄妹とナイ神父、そしてマヨヒガちゃんあらためマキナちゃん、妲己に英雄さん、ハデスにノーデンスの勝負が……あれ、終わってる?

 なんか既に談笑ムードに入ってる。


「すみません祥子さん、ちょっと行ってきます」


「え? どこに?」


「謎の空間」


 そう告げてからぴょんっとひと飛び、狭間に侵入。


「仲良さげね」


「お、刹姉。やっと戻ってきたか、早く俺達を連れ出してくれよ」


 開口一番刀君にそんなことを言われた。

 連れ出すって……なんのことかしら。


「お母さん、私はここの維持で精いっぱいでして……」


「マキナちゃん!」


「マキナ……それが今の私の名……ふふっ、いいですね。マヨヒガよりも人間らしい名前です」


「あ、ごめんね。私ネーミングセンスが無くて……」


「TRPGのランダム命名表からつけられるよりもよい名でしたので。どうぞマキナでもマヨヒガでもお好きなように呼んでください。それよりもこの空間は不安定で、どうにか安定させなければいけません」


 言われてみれば確かに、安定性に欠けるというか文字通りぐにゃぐにゃで不安定というか……。

 上も下も右も左もわからない空間。


「お前のせいだからな」


「え?」


 ハデスににらまれた。

 なに、私が悪いのこれ。


「お前があんな無茶をしたせいでこんな淀みが生まれた。放置しておけばいずれ世界を侵食して喰らい尽くすだろう。それを抑え込むのに四人の神が力を合わせてどうにかしている状態だ」


「四人……ハデスに、ノーデンスに、ナイ神父にマキナちゃん?」


「そうだ。問題はこの空間を消し去るには内側からしかできず、かといってそれだけの力を神が使うことは許されていないということだ」


「つまり私がぶち壊せばいいのね!」


「そうなるな。やれるか……とは聞かん。やれ」


「まったく、随分上から言ってくれるじゃないの。でもやってみせるわよ。私の平穏のためにもね!」


 ちゃちゃっと、片付けちゃいますかこの空間。


「ではお母さん、壊しやすいように空間の在り方を変化させます。多少の衝撃があるかと思いますので……」


「遠慮なくやってちょうだい」


「はい、いきます!」


 マキナちゃんの掛け声と共に再び世界がねじれた。

 眼前には広大な海、そこに浮上したかのようなずぶ濡れの大陸上空から落下する私達と、黒いスライム状の何か。

 それがあの淀みであるというのは一目でわかったし、徐々に姿を変えていっていることも理解できた。

 そしてその姿は……ナイ神父と辰兄さんにそっくりなものになった。


「ぶん殴りやすいように姿を変えておきました」


「ナイスマキナちゃん!」


 親指を立てて褒め称えた。

 これなら遠慮なくぶっ飛ばせるわ。

 なんか辰兄さんとナイ神父が渋い顔してたけど気にしないし、うっかり間違えても仕方ないわよね!


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― 新着の感想 ―
[一言] 食うなよ!?絶対に食うなよ!?これ以上変なもん取り込んだらなんかビックバンとかおきそうだから!!
[一言] うっかり間違えて本物の辰兄とナイ神父を殴りまくっても大丈夫なはず
[一言] 別世界から侵食受けてない? レプリカントでオートマタにはならなそうな世界だから安心だけど
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