だからアレの妹だよ?
「刹那ちゃーん、調子はどう?」
「あ、ナコトさん。悪くはないですよ、形はできました。でも……」
「実際の使い勝手がわからない、かな?」
「えぇ、格下相手なら余裕なんですけどね」
「なるほどなるほど、なら私が一肌脱ごうかな」
「え?」
ナコトさんが一肌脱ぐだと?
わ、私には祥子さんという心に決めた人が……いや、それ以上にナコトさんの体型だと……ありだな。
見た目は子供だし、だぼっとした服装だからわかりにくいけど結構身体は女性らしい。
手のひらサイズでありながら生意気に突き出される胸部、すらりとしたお尻にくびれのあるお腹。
私の好みから少しずれるけれど悪くない……。
「うん、なんか変なこと想像しているみたいだけどそうじゃないからね。ちょっと組手でもしようかなって」
「組手ですか?」
つまりくんずほぐれつ?
「どつきあいでもしたらどんなもんかわかるんじゃないかなって」
「なるほど」
それは悪くない、というか願ってもない提案なんだけど……。
「大丈夫ですか? 殺意の高い戦い方ですけど」
「そこはナコトさんを信じなさいな」
むふんと胸を張ってみせる姿は……頼りになるというより可愛らしい。
うん、まぁ……大丈夫かな?
今までの戦い方とか見た限りナコトさんならそう簡単に死ぬことはないでしょ。
ルルイエさんなら当たり所が悪かったらあるいは、と思うけどあの人も底知れないのよね……。
なんていうか、常に本気を出していない感じ。
もう異世界に帰っちゃったけど、一度本気で手合わせしたら他にも技増やせたりしたのかなぁ……まぁいいけど。
「じゃ、お願いします」
「いいよ、せっかくだからそちらからどうぞ?」
途端にナコトさんの雰囲気が変わった。
ゾクッとする底知れない感覚、ズンッとのしかかるようなプレッシャー。
やっぱり……戦いは楽しいわね!
「では! 初手より奥義で仕る! 影分身!」
リアルファイターでギャラ姉さんから教わった式神、それを私の姿に似せて召喚する。
同時にレッドクイーンさんから学んだ炎を操る能力で体温を私に合わせる事でぱっと見ごまかしができる。
けどそれだけだ。
所詮は数を増やして真似させたに過ぎない。
戦闘力は、はっきり言って低い。
だから……こうする!
「はぁ!」
無数の影分身と共に四方八方から突撃する。
空気を足場に、距離を詰めて手のひらをナコトさんに向け……。
「残念だけど、見えてるよ」
背後から近づいたのに!
というかそのぐりんと動く首こわっ!
「でもっ!」
手のひらからビーム、拡散させて殺傷力を落とすことで目つぶしとして使う。
「おっとと」
あ、これやばっ、確実に目つぶし決まったと思ったのに意にも介してない……式神!
「おぉ、今の避けるとはなかなかやるねぇ」
「格上と戦うための方法なので」
式神に足を掴ませることで軌道を変えた。
少し無茶をしたから足が痛いけど、まだ大丈夫……この程度ならいける。
けど少し回復に時間が欲しい……だから武器を使う。
「おぉ、ニンジャソードにクナイ! わびさびだね!」
「えぇ、行きますよ」
切りかかると同時に忍者刀を伸ばす。
目の良さが命取り、紙一重で避けたナコトさんの頭部に振り下ろされた刀は……ぱきんと音を立てて砕けた。
とっさに操作しようとするも爆発させることはできず、というかこちらの命令を聞かないまま地面に落ちた。
「……降参です。無理だこれ!」
「ははは、まぁよくやった方だよ。うん、クリスちゃんもルーちゃんも私に一撃当てるまで結構時間かかったからね。普通に見てもかなりの成長速度だし、悪くない戦い方だったよ。強いて言うならそうだなぁ……影分身を目くらましや回避以外にも使った方がいいかな」
「精進します」
うーむ、縁ちゃん以外にこんな人がいると思わなかった。
世界は広いわね……いや、この人異世界人か。




