まーた進化しやがった……
「あー……酷い目にあった……」
「生きてたからいいじゃないですか。あのくらいのピンチは生きてれば毎日発生しますよ」
「いやしないっすよ姐さん……」
そういえば最近は割と落ち着いてたわね。
日刊命の危機だったのが今は隔日くらいのペースになってる。
ちょっと引きこもり気味だったのもあるけど、事故にあう機会が格段に減った。
あと狙撃される機会もかなり減ったから……癪だけど辰兄さんには感謝ね。
海外で注目集めてくれてるおかげで私の方に向けられる人員が減ったからこその安寧って感じかしら。
ただし感謝はしても外宇宙送りは決定しているし覆させないけどね……あの人は地球に置いておくには危ないから。
「んで、獲物は蜘蛛かぁ。味はいいんだけどちょっと人を選ぶ食材だから他にもほしいわね」
「他って……このクラスを? はっきり言うと姐さんじゃ手に余りますぜ? ステゴロじゃ厳しいっすよ」
「素手できついなら他を使えばいいじゃない」
「他って……呪いとかっすか? こっちはそういうのほとんど失われてるし未発達って聞いてますぜ。それこそナコトさんレベルのパワーか、自慢じゃないっすけど私並の魔法攻撃能力ないと相当きついっすよ」
「あー、そうじゃなくって……見せた方が早いか」
んーと……お、3時の方向に二足歩行の牛発見。
お肉が締まってて美味しいのよねあれ。
「カッ!」
久しぶりに口からビーム!
威力を抑えて、心臓に穴を穿つつもりで打ったんだけど……。
「あれぇ?」
牛の胸にぽっかりと開いた大きな穴、牛のサイズがお相撲さん5人分くらいだけど1人分減ってる。
威力が上がってるけど……なんで?
「え? いや、なんすかいまの……」
「なにって、ビームだけど? こう、体液をエネルギーに変換して射出してるの」
「……人間の可能性って、すげーなー」
なんか天井見ながら目を細め始めたルルイエさん。
何をしているのかしら……。
「とりあえず力試しにちょいちょいやってみますか。手始めに……ファンネル!」
「人間ってファンネル作り出せるんだなぁ……」
「人体の神秘ってやつだねルーちゃん」
「ナコトさん……いつの間に……と言うかあれって……」
「うん、私達の想像以上に化け物だったね。でもまぁ、あのくらいなら中の下にぎりぎり食い込めるかなくらいだね。人間ランキングでも上の中に届くかどうかかな」
「まぁ……強さ比べした場合上位陣は化け物ぞろいっすからね……。致命傷以外かすり傷どころか、残機が残ってればかすり傷ですからあの方々」
「ほんと、チートだよねぇ」
ケラケラと談笑をする二人の会話をBGMにファンネルの操作に集中する。
まず手始めに5個……10個……20個……30個……ここまでは今まで通り。
複雑な挙動させるならこの数が限界だったけど、今ならまだいける気がする……いや、それだけじゃない。
これなら考えていた新技もできるんじゃないかしら……。
「突撃!」
30個のファンネルを分裂させる。
一つ当り100個に、そして鋭い針に変換して操作する。
やはり3000個となるときついけど、不可能というほどじゃない。
これ以上は増やすのきついけどこのままなら……。
「爆ぜろ!」
突き刺した針を体内で爆発させた。
何本かは貫通させてみたけど……問題なさそうね。
拳サイズを分裂させたから極細の針になって視認しにくいし、使い勝手もいい。
うん、なかなか便利な技ね!
異世界ランキング
最下位人間:器用貧乏で一般的なサラリーマンとして活躍する機会が多いが、事故で死ぬ可能性が一番高い種族
最上位:邪神、ニャル様とかそう言うの
例外:ルルイエみたいな異世界から来た住民やナコトみたいなぶっ壊れたやつ、クリスのような邪神の子、通称亜神
詳しくはルルイエ探偵事務所読んで(ダイマ)
人類最強クラスならナコトやルルイエ相手に時間稼ぎできるし、刹那さんにも勝てるという世界です
逆に言えばそこまでしないと勝てない刹那さんという存在っていったい……




