先輩でオーバーレイネットワークを構築!
「えー、この度はサーバー破壊に対する謝罪動画となります。誠に申し訳ございませんでした」
『草』
『この人マジで人間なの?』
『先輩たちも大概だがこいつだけレベル違うんだが』
『星4に対してこいつだけ星10、社長は12』
うん、あのね……昨今のゲームサーバーって結構脆いの。
化けオンは自社製の特別なサーバーと演算システムでどうにかしているらしいけど、他社は市販品だからね。
その数段上を行く旧化けオンサーバーですら私の明鏡止水には耐えられなかった。
つまり……その……うん、サーバーが物理的に火を噴いたらしい。
「ビーム、超高速移動、ファンネルなどで既に多大な負荷をかけていたようですが、そこに隕石落としでサーバーが限界に達し、直後の自爆で全てのエリアを崩壊させたことでダウンさせてしまいました」
『やっぱり化け物やんけ!』
『損害賠償いくら?』
『というか社長どうなったん?』
「あ、あの人はまだライフ残ってたらしいので私の負けです。次はぶち殺します」
なーんで生きてるのかしらね、ナイ神父。
多少のダメージは与えられたみたいだけど、それでもぴんぴんしてた。
しかもあのバトルダメージ変換率100%だから私の自爆をもろに受けたことになる。
それで生きているって……あ、私も結構痛かった。
箪笥の角に足の小指ぶつけた時くらいの痛み。
やっぱり使いたくないわね、自爆は。
『化け物多すぎ問題』
『お前らみたいなのがいるから俺らの仕事ブラックになるんだよぉ!』
『というか人間に自爆装置ってついているんだな……』
「あの自爆は自前の能力だけど? ビームの応用で体内エネルギーを解放してどかーんって」
『ますます人間辞めてて草』
『人間に自爆機能って存在するん?』
『そんな風に作った覚えはない』
「えー、このくらいは軽いでしょ」
『あのファンネルは?』
「血液を飛ばして、なんやかんやして空中機動させてビーム撃ったり自爆させたりする。結構コントロール難しいからそうね……今だと3ダースが限界かな」
それ以上になるとちょっとコントロール間違える。
具体的にはビームで同士討ちとか、うっかりぶつけて合体させたりとか。
ちなみに一番困るのはこっちの制御外れて明後日の方向にすっ飛んで行った場合。
自爆させようにもどこに被害が出るかわからず、こっちの制御を解くとただの血になって落ちる。
この前コンクリートの部屋でやった時は床に落としたら地面が溶けた。
以後祥子さんから禁止にされてしまっているのよね……。
『オーバーキルで草』
『そもそもそんなにいらんだろ』
『ミサイル機能とビーム砲を併せ持つファンネルとかもうわからねえな……』
『あの赤く光ったのとか、頭が消えたように見えたのは?』
「トランスアームと霧化のことかな? 自爆と同じでビームとして放っていたエネルギーを体内循環させて戦闘力をあげる技よ。霧化は説明が難しいんだけど……突き詰めたら人間の身体も世界も小さな原子、つまり極小の粒子よね。その結合をほどいて、でも血液リンクで相互関係を繋いだままにして意識を保つ技。頭部じゃなければもっと長時間使えるし腕を伸ばしたりもできるよ」
『人間にそんなシステムはねえ』
『おいなんだこの化け物』
『スターライブはついに人外を手中に収めたか……』
失礼な、私はれっきとした人間よ?
うずめさんに人外判定された時も頑張って人間という範囲に戻ってきたし。
『損害賠償どうなったん?』
「社長が全部払うことになったわ。サーバー強化とその間ゲーム休止に対する補填。ついでにうまく交渉された、というより社長の道楽でいろんな機能を盛り込むらしいから楽しみにしててねだってよ」
『草』
『社長の道楽が一番怖い界隈なんですが』
『バーチャル世界も魔の手に落ちるか……』
うん、私も絶望しているところなのでお仲間がいてよかったわ……はぁ。




