よかった、闇に葬られたアンチはいなかったんだね
「というわけでVR解禁するよー」
『なにがどういうわけなんだ』
『マネージャーからやめとけと言われてたのに……』
『フィジカルモンスターの本領発揮か』
配信を始めて数日、とりあえずアンチは駆逐した。
残っているのはファンというよりも珍獣を見に来ている人たちである。
あと見知った名前がちらほら……「竹味カズノコさん」って間違いなく武美加津地さんだよなぁ。
最近暇だからネットサーフィンしまくってるって言ってたし。
「あ、今回も視聴者参加型ね。ちなみに私VRゲームは好きだから色々やってるよ」
『詳しく』
『同じゲームやってみたい』
『VRが体質に合わないからできない悲しみ』
「あらら、それは可哀そうに」
VRゲームは適性がある。
適正と言ってもそんな大層なものじゃなくて、車酔いしやすいかどうかみたいな話。
例えばそうね、この適性が低い人は普段の自分の移動速度と違うとかそういう些細な事で目を回したりする。
もちろん開発側もそう言った事態を避けるために日々ハードやソフトの改良に勤しんでいるけど、慣れないうちは結構苦労したりするらしい。
私の場合そういうのは無かったけどね。
「今はまっているのは化け物になろうオンラインかな、化け物プレイヤーで遊んでるよ」
『まさかの化けオンで草』
『最初からモンスターなのにこれ以上化け物になるってどういうこと?』
『化け物に化け物をぶつけようとしたら化け物が進化した』
「こらこらこらこら、人を人外みたいに言わない。か弱い女の子に対してその言いざまは酷いよ?」
『か弱い? ハッ』
『女の子? ハッ』
『人外だろお前』
「人間ですー! あとか弱いと女の子の部分を鼻で笑った奴、今夜お前の夢に出てやるからな。地獄の果てまで追い回して四肢を食われる夢にうなされろ」
『ひえっ』
『そういう発言が人外なんやで』
『化けオンはやべーゲームみたいに言われてるが面白いよな』
「お、同志がいた。あのゲームはいいゲームよ。味覚再現とか最新技術使ってるから未知の味を存分に楽しんでるわ」
英雄さんの血は美味しかったなぁ……。
その後に食べたゲリさんの鱗とかも美味しかったし、人間パーツで作ったスープも美味しかった。
最近だと黄金林檎ね。
あの濃厚な味は忘れられないわ……。
今マヨヒガちゃんにお願いして再現してもらおうとしているんだけど、今ある肥料で作ろうとすると東京の土地が死滅するって言われて肥料から作っているところ。
無理をすれば地下ダンジョンの土壌がちょっと危なくなる程度で作れるらしいけど、それでも小さな実を一つ作れるかどうか……あ、その実を肥料にすればいいのでは?
後で聞いてみよう。
「それで今回やるのはこちら、リアルファイター3!」
『リアファイか、この人にはぴったりなゲームだな』
『さっき視聴者参加型って言ってなかった?』
『つまり俺達の死刑宣告……』
「ちゃんと手加減するわよ? 本音を言うならまだアンチの人達が裏でぐちぐち言ってるから、じゃあ正面からどうぞって感じでやろうと思ったの。殴り合いから芽生える青春みたいな?」
『青春って歳じゃないだろいい加減にしろ』
「お? 年齢に触れたな? 一番手はお前だ」
コメント欄がヒエッなどで埋め尽くされる。
ちょっとした小粋なジョークなのに……。
「あ、一応ゲーム説明と権利関係について。まず権利はカプンコ社から正式に取ってあるから大丈夫。収益に関しては広告収入だけOKでスーパーチャットはNG」
いわゆる投げ銭システムね。
配信者にお金をプレゼントできるシステムだけど、今回は権利関係でだめですって話になった。
私もその辺りはジャーナリスト時代にいろいろ学んだからね。
きっちり理解してスーパーチャット、通称スパチャはオフにしてある。
というかオンにしたことないわね。
「それでゲームシステムだけど、完全RFBのゲーム。リアルでできるならなんでも再現可能。RFBって言うのはリアルフィードバックの略称で現実の肉体をトレースするシステム。つまりRPGみたいにレベルを上げて強くなるなんてことはなく、リアルで鍛えなければ強くなれないってものよ。それを使っての格闘ゲームだからほぼリアルファイトね、よくプロの選手が異種格闘技戦とかやってるわ」
『ほうほう』
『化け物が集合するな』
『お前の先輩配信者もよくやってるけどあいつら本当に人間か疑わしい』
「それは同意するわ。というわけで、今から部屋のIDとパスワードをアンチの人達集めたルームに貼ります。それが終わったらみんなと遊ぶ番だからね」
『遊ぶ(死刑宣告)』
『アンチを集めたルームとかただの蠱毒で草』
『心も身体も奇麗に折れるんだろうなぁ……』
なんか悲壮感漂ってるけど、気にすることないわね!
バトルファイッ!
宣伝コーナー
今週土曜13日、コミケ参加予定です。
東N48aで色々頒布しますが、コロナ情勢から新刊ではなく合同誌の表紙フルカラーコレクションなどを用意する予定、だそうです!
私午前チケット入場予定だからいつ頃になるかな……挨拶回りとかするからお昼前後ならたぶんいます。




