混ぜるな危険
「このマウスは通常個体だ。環境適応能力の高さを見込んでうちでは実験動物として扱っている」
しばらくの後用意されたのは大きさも見た目も普通のネズミ。
見たところ変わった部分はないけど……うん、まぁちょっとした実験なのよ。
リアルでやった時は大変な事になったからね、こっちでどうなるか見てみたいのよね。
「餌をちょうだい」
「これだ」
貰ったエサに血を一滴、茶色いドッグフードみたいなのが真っ赤に染まる。
さて、それを鼠の前に投げてと。
いざ暴れだしても結構頑丈そうな檻に入ってるし大丈夫でしょう。
「食べたな」
「えぇ、反応が楽しみだわ」
「悶え始めたぞ」
「早い反応ね」
「なんか生えてきたぞ」
「触手ね、蔦じゃないのはドライアドの種族を持っていないからかしら」
「苦しみ始めたぞ」
「5秒で限界かしら」
「破裂したぞ」
「一面血みどろね」
マウスに血を与えたら外見が変貌して、最後に破裂した。
うーむ、想定と違うわね。
もっとこう、熊を食い殺すような凶暴さを発揮するかと思ったんだけど……少なくともリアルではそうだったから。
「興味深いな……他の個体でも試してみよう」
「えぇ、やりましょう」
淡々と用意されていくネズミたち。
まず超小型ネズミだけど、即座に破裂した。
私の動体視力でどうにか追うことができたけど、さっきの鼠同様触手が生えて直後に破裂、これを0.001秒でやってのけた。
うむ、小さいとこうなるのね。
やはり毒に対する許容量とか違うのかしら。
あとは食事が通常のものじゃなくて魔力って言う点も関係していそう。
次に巨大マウス。
大きいから大丈夫かなーと思っていたら凄いことになった。
全身がバキバキと音を立てて、肋骨が飛び出してきた。
次に触手が生えてきて、更に翼が生えた。
牙が鋭くなって、パワフルになって、そして檻をぶち壊して壁をぶち抜いてどこかへ去っていった。
……あちゃー、逃げちゃった。
どこかで破裂してればいいんだけどなぁ。
「逃げたな」
「逃げたわね。よしつぎ」
「そうだな、被害は出るかもしれんが誰かが何とかするだろう」
「えぇ、英雄にでも任せましょう」
「それはいいアイデアだ。では次に各種属性マウスにいくか」
お兄さんの言葉通り各種属性マウスに投与。
ドライアド系列の鼠はやっぱりというか触手じゃなくて蔦が生えてきたけどそのまま大樹になった。
想定外もいいところだけど……ふと見ると果実がなっている。
黄金に輝くリンゴ……みたいななにか。
「これは、食えるのだろうか」
「食べてみる?」
「いや、こういう時のマウスだ」
通常個体のマウスにリンゴを一口齧らせたところ、先ほどと同じく5秒ほどで破裂した。
ただ悶え苦しむ様子はなく、触手も生えてくることなく、一瞬私達と見つめ合ってからパーンってなった。
……儚い犠牲だったわね。
「面白いな。加工したら使い物になるかもしれん」
「そう。じゃあ天井と床ぶち抜いたのは許して?」
「無論だ。建物などいくらでも替えが利くがこの実は他では手に入らないだろう。実に面白い」
「あ、じゃあ私の血とか蔦とか牙とか置いていってもいいようなものはあげるわ。好きに使っていいわよ」
「それは助かる。だが恩を返せないかもしれないぞ?」
「別にいいわよ。たまにマウスを分けてくれたらね。あと私にとってはいらない物でもあなた達なら有益な使い方ができるものもあるでしょ。それを引き取ってくれるだけでも十分だわ」
「ありがたい。今後終身名誉相談役として魔法学校は君を特別待遇でもてなそうではないか!」
……なんか話が大きくなってきた。
でもまぁ……うん、扱いが悪くなるわけじゃないしいいか!
読者にエスパーが多い問題。
この作品読んで明鏡止水の世界と合一覚えちゃった人いたりする?




