当然だよなぁ
とりあえず魔法学園とやらに向かう前にゲリさんとベルゼブブの素材を確保した。
うん、完了形。
サクッといってサクッと剥いで、サクッと元の場所に戻ってきた。
面倒だったから英雄さんが使ってた影に潜らないほうの転移を真似して。
せっかくの機会だからとやってみたけど結構難しいわね。
座標の固定に、転移先の障害物の確認、それから転移の方法。
全身を微粒子化して世界と合一して同時多発的に存在するとか言う訳の分からない方法から、無理やり空間を捻じ曲げて移動するなんて力技まで。
結構いろんな方法があったけど、私は力業の方が楽だった。
そして取り出したるはキメラ馬車改。
イベントでは使わなかったけど、イベント中に倒した高レベルプレイヤーの素材がいくつかあったので混ぜてみた。
結果、もっとかっこよくなった。
悲鳴を上げ続ける車輪からは炎を吐き続け自身を焼きながらも修復するように、車体は常に帯電して魔法攻撃に高い防御力を発揮するようになって、触れたら感電するようになった。
端的に言うならすごく強くてかっこよくなった。
……だめね、なんか祥子さん事変があってからIQが溶けてる。
語彙力が全部溶けた気がする。
あの人、たまに突拍子もないことするから恐ろしいのよね……そこに一会ちゃんというパワーキャラが加わるともう歯止めが利かない。
まったく誰かしら、あの二人組み合わせたの、私だったわ。
さてさて、道中だけどとんがり帽子の女の子やら、魔法でゴブリンの群れと戦っている人やら、パーティでレベリングしているであろう人達を馬車で轢きながらまっすぐに魔法学校とやらを目指した。
なかなかどうして、街道というには多少荒れた道だけど問題なく走れる。
何かを轢くたびにがっこんと揺れるけど誤差、なかなかいいスプリング材ねベルゼブブの腕。
食べるだけじゃなくてキメラ馬車の部品としても有用だし、今度もうちょっと貯蓄しておこうかしら。
とか考えていたら魔法が飛んできたのでドリフトで躱して射出元へと突撃させる。
お尻の下で何かがミンチになる感覚を堪能しながら、ゲリさんの素材はぎ取るついでに買ったお弁当を食べるのだ。
「んー、英雄プレイヤーの料理スキルもなかなかのものね!」
マニュアルで作られた料理は実際の腕前が関わってくるため、プロが作ったであろうそれはとても美味しい。
彩はもちろんのこと、味もしっかり堪能して空箱を山積みにしつつ、たまに飛んでくる魔法を迎撃するのに使っては突撃をかましてを繰り返した。
うん、流石に魔法学校というだけあって近づくにつれてどんどん魔法使いが増えていく。
ただ、近づくにつれてどんどんその精度が落ちていくのはあれかしらね。
実力を認められない限り遠出は許されないとかそういうの。
うちも実家がかなりの田舎だから子供の遠出は禁止されてたなぁ……まぁ私達には関係なかったけど。
皆の高校生時代の話になるけど、辰兄さんはヒモみたいなことやってお金手に入れては都心まで行って夜遊びしていたし、永久姉はよく当たる占いと裏家業としての呪い屋で大儲けしては同じく都心まで買い物に行ってた。
私は私で毎日アルバイトしてお金貯めて、自転車で日本一周の旅に勝手に出たし、一会ちゃんと羽磨君はお母さんの訓練によって千葉までマラソンさせられてた。
刀君はもうなんかわからない。
喧嘩があるたびにふらっといなくなって、返り血まみれになって帰ってくるのが日常だった。
多分そういう意味で一番大人しかったのは縁ちゃん。
もちにゃんグッズを買うために新宿まで足伸ばしたくらいで、それ以外は家でゴロゴロしてたからね。
まぁみんなオチがあるとすれば、辰兄さんは当然のごとく、そしていつも通り刺されて入院。
永久姉は裏家業がばれて家族総出でお説教耐久一週間コース、頭の上から1秒に1滴ずつ水を垂らされてた。
一会ちゃんと羽磨君は「まだまだ時間がかかりすぎている」とお母さんに怒られて訓練内容が倍になっていた。
私は旅の途中で自転車がバラバラになってしまったので途中から徒歩で移動していた。
面倒になって時速80㎞で走ってたらおまわりさんに捕まって家に強制送還されて、正確には一周というよりも縦断になったのよね。
刀君は返り血が本人の血と見分け付かなくなるくらいお母さんにぶん投げられて、縁ちゃんはもちにゃんグッズだと思って買ったものがパチにゃんというパチモンでぶちぎれてそのメーカー潰しにかかった。
みんな問題児だったわねぇ……とか懐かしい事考えてたら見えてきたわ。
ほうきにまたがって飛ぶ人達、禍々しい暗いお城、学校というには明らかにおぞましいそれ。
「魔法学校よ、私はやってきた!」
高らかに叫ぶと同時に魔法の集中砲火を受けた。
解せぬ。




