衝撃の告白一会ちゃん
遅れました!
「無事仲直りできたみたいね」
「一会ちゃん強引すぎよ」
お風呂上がりでホッカホカの私達、定番の牛乳でさっぱりする。
いやー、やっぱり風呂上りはこれよね!
さっきは祥子さんの看病で湯冷めしちゃったから飲む暇なかったけど。
「……相変わらず、その細い体のどこに入っているのやら」
「なにが?」
「牛乳をタンクで飲むのは刹姉くらいよ。お腹が膨れる様子もなし……どうなってるの?」
「どうって、貯蓄してるけど?」
ほら、流石に胃に入れたらお腹がポッコリして不格好だから即座に吸収させている。
やろうと思えば吸収した牛乳の成分だけ抜いて汗みたいに排出することもできるけどベタベタになるからやらない。
「……すごいわね、人体」
「そうね」
やろうと思ったことは大体できる、本当に人体の神秘ね。
「それで、刹姉はヤッたの?」
「なにを?」
「祥子さんといたした?」
「ごふっ」
「ちょ、なんで消化器官クッソ強いのにむせてるの?」
ゲホゲホと咳が止まらない。
一会ちゃんあけすけすぎだし、下品……お姉ちゃんそんな子に育てた覚えありませんよ!
「けほけほっ……するわけ、ないじゃない、けほっ」
「でものぼせるまで一緒に入ってるから」
「それは普通にお話ししてただけで……あ、辰兄さんがスペインで暴れてるらしいからお仕置きお願いしなきゃと思っていたんだ」
「……全身の骨曲げるだけじゃ足りなかったか。とりあえず頭蓋骨の形でも変えておく?」
「関節の可動域を倍にしてあげてもいいと思うけど」
「あの変態の脱走能力増やしてどうするのよ」
「それ言ったら頭蓋骨の変形なんて技覚えさせたらどこでも脱出するようになっちゃうわよ」
「……わかった、折衷案で球潰しておくわ。すぐに回復するでしょうけど数日は時間が稼げるはずだわ」
「あのさ、一会ちゃんさっきから発言がアウトよ? 放送コードに引っかかるレベルで、配信とかしてたらBANされるわ」
「この程度は大丈夫でしょ。そもそも私達の歳だとそのくらいの経験はあるのが普通だと思うけど?」
……待って、妹の性事情を知りたくなかった。
というか辰兄さんのアレで慣れた気でいたけど、一会ちゃんもそんな経験があるなんて思わなかった……。
「い、一会ちゃん……? いったい誰と……?」
「え? 羽磨」
「まさかの双子でプレイ⁉」
「嘘よ。まだおぼこ。キスは高校生くらいの時に済ませたけど、夜の営みに関してはまだね」
「あー、びっくりした……驚かさないでよ」
「でもまぁ、恋人ならいるから遠からず紹介することになるかもしれないわね。試練を乗り越えられたらだけど」
「いるの⁉」
「まぁいるわよ? 役所勤めの時からの知り合いで今は与党議員の秘書やってる。本人もそのうち出馬したいって言ってるけどまだまだ実力不足だからいろいろしごいてあげてる所」
「はえぇ……すごいわねぇ」
「刹姉が奥手すぎるだけよ。ぶっちゃけ探そうと思えばいくらでも相手いるでしょ?」
「いると思う?」
行く先々で男性に逃げられて、戦場で知り合った屈強な人達は私を女性ではなく戦友としてしか見ない、副業のお祓い関連で知り合った人はみんな恐怖の視線しか向けてこない状況。
自分で思い出していても悲しい恋愛事情。
「……紹介しようか?」
「……いい、私より永久姉に紹介してあげて。詐欺師に騙されそうになってたくらい焦ってるから」
「そう……」
なにが悲しくてお風呂上りにこんな話を……全部辰兄さんが悪いということにしておきましょう。
「ちなみに祥子さんとはキスくらいした?」
「もう! 一会ちゃん!」
なんだろう、どんどん伊皿木家兄妹の中で私のヒエラルキーが下がっていく気がする……。
二度あることは三度ある、明日もたぶん遅れる!
本当に申し訳ない……。




