また髪の話してる……
しかし……なんというかねぇ。
「ひぃいいぃぃぃぃぃぃ」
「たす、たすけてぇ!」
「やだ……もうやだ……引退する……」
地獄絵図である。
ニュートラル、悪い事もいい事もする人とか、どっちもしなかった人が集まる場所。
増援のこない代わりに一番人数が多い場所。
そこにメイリンさんが突撃かましたらこうなるなという様相である。
もう酷いというかなんというか……手足が潰れて身動き取れず仲間に踏みつぶされていく人、逃げようとして転んだところを踏みつけられて頭を潰される人、鉄球の余波で壊れた砦の瓦礫に潰される人など様々だ。
「おーい、こっちの備蓄は全部潰したぞ。畑にも塩撒いてきた」
後ろから声がかかって少しびっくりしたけど、目の前の惨状見たら落ち着いたわ。
「じゃあ撤収。できる限り大声でロウは落とせなかったと言ってそっちに向かうように逃げて。追いかけてくる人たちは攻撃してこなければ放置。攻撃してきたらトラウマになるレベルで」
「おう、全員に伝えてくるわ」
なんか……大惨事女のせいで何もすることなく終わってしまった。
このまま私もロウについていくべきかどうするべきか……今こそダイスが必要だと思うのよね。
よし、コイントスしよう。
目をつむって、コインをはね上げて……………………落ちてこないわね。
ちょっと高く打ち上げすぎて大気圏突破しちゃったかしら。
……あ、落ちてきた。
「表だったら突撃、裏だったら引く」
ベルゼブブの脚を齧りながらその行方を見守る。
チャリンと音を立てて地面に落ちたコインは裏を示していた。
よーし、帰るか、そう思った瞬間だった。
「おーっほっほっほ、わたくしから逃げようなどと千年早いですわー!」
どっかーんという間抜けな音と共に壁がぶち抜かれ、地面に落ちていたコインがくるくると回って表向きに落ちた。
おのれ糞女……。
仕方ない、コインの結果は絶対だ。
嫌な予感しかしないけどまぁいいか。
「おん?」
ころころと転がっていく物体が見えた気がするけど……まぁいいか。
「撤収だ!」
誰かの叫びに乗じて砦の外壁をぶち抜いて脱出する。
いや、ここに穴あけておけばロウ陣営の人も入ってきやすいかなって思ってね。
そのまま全力疾走でロウ陣営に突撃。
「わーい、一番乗りー。そして殺す」
とりあえず目についたマーメイドの女性。
さすがロウ陣営というだけあってみんな和気あいあいほのぼのである。
水生化け物のために池とか作ってある。
……よし、ここに血を数滴。
「ぎゃあああああああああああああああ」
「身体が熱いいいいいいいい」
「いやああああああああああああ」
おぉう、阿鼻叫喚……リアルはともかくバーチャルなら平気かなって思ってたけど、どうやらこっちはこっちで私の血は有害な毒物らしい。
マーメイドさんの鱗がぽろぽろ落ちて、剥き出しになった皮膚が腐食していく。
ビタンビタンとのたうち回っている、何これ面白い。
「敵襲!」
おっと、遊んでばかりじゃダメね。
まだ味方も来ていない状況だし、全方位ビーム!
全身の毛穴から発するビームであり回避は不可能、問題点は装備の耐久値がゴリゴリ削られる事、そして頭部からは発していないので頭上は割と弾幕が薄い事くらいだろう。
うん、これやるとムダ毛処理になるからね、ゲームで坊主はちょっと……。
「あれ?」
ふと視線を向けた先に見知った顔があった。
「はーいゲリさん、英雄さん。そしてルリさんとレイラさん。お久しぶりね」
いつぞやの砦イベントで一緒のチームになった悪魔騎士団のお二人。
通称変態&ナマモノ被害者の会の会長と副会長。
その四人がゴミを見るような目でこちらを見ていた。
うーん、まだそんなに酷い事していないんだけどなぁ。




