被害者の会正式設立
こうして無事国への書状を届けるミッションは成功した。
子竜化したゲリさんに王冠が乗せられ、そして統治されることとなったのである。
まずは底をついた国庫をどうにかするべく私が所有しているベルゼブブ素材をはじめとしたあれこれを大量出品。
マーケットは一瞬の静寂を見せたものの、1時間とかからずにオークションの様相を呈したものに早変わり。
桁がみるみる間に上がっていき、気が付けば9桁にも及ぶ金額に達していたのである。
そのお金を使い、ゲリさんが背中に人を乗せて交易に出て、更に数時間で交易の話もまとまり国の再建のめどが立った。
この迅速な行動に喜び、そして私の用意した食材で炊き出しをしたところ国中の人が集まり化け物への偏見も減ってしまったのだからびっくりである。
うん……英雄プレイヤーへのヘイトがやばかったけど、一緒に炊き出し参加した人たちは軒並みカルマが回復していたみたいで普通に接して貰えてた。
参加しなかった人たちは拠点を別の場所に移して、ギルドも脱退したらしい。
もともとPvPを好む人たちは私達化け物プレイヤーを倒せるという話でやってたらしいし、英雄同士のバトルも楽しんでいたということでその機会が減ったと嘆きながら出て行った。
地下の闘技場はそのままに、プレイヤーもNPCも参加できるようにしたんだけどね……。
ついでに定期的に私がモンスターを提供することになった。
さすがに捕まえてくるのは面倒なので駆け出し錬金術士でも修復できるレベルのキメラを多数。
それでもレイドバトルみたいなものらしいけど、それは放置。
一度ログアウトしてから再度ログインして、交易が始まって色々な物資が運び込まれるようになって国の再建はもはや私達が手を出すまでもなくなった。
いやー、早いわ。
さすがにこの辺りはゲームだけあるわね。
ただ唯一問題があるとすればゲリさんがドラゴンであるということ。
こちらの大陸ではドラゴンと言えば破滅と崩壊の象徴らしくて、それを恐れた人や国が結構な数いた。
なので、キャシーとゲリさんの模擬戦を行ったところ……。
「無理無理無理無理無理!」
「まだまだぁ!」
「ひぃ!」
「よく避ける!」
「ひょえ!」
「そこお!」
「おぎゃああああああああああ!」
キャシーに防戦一方というか、もう一方的になぶられる様子が公開されたのである。
ゲリさんもちゃんと攻撃していたんだけど……。
「雷なんて斬り慣れてます」
「火球ごときで目くらましになるとでも!」
「こんな拘束は意味ありません!」
全部キャシーがずんばらりんしてた。
その光景が大衆の眼前で行われたことである程度の安全性というか、キャシーならなんとかできるということで国家間の関係も安定する方向に進んだのである。
つまりはあれね、あの阿保王の国……アリアンデル王国だっけ。
あそこの庇護下にこの国が入ることでゲリさんの暴走を抑止、見返りにベルゼブブとゲリさんの素材を提供するということでとんとん拍子で話が進んでいった。
ちなみに私とも手合わせしたんだけど……。
「はぁ!」
キャシーの横一閃、それをつかみ取り顔面を殴り飛ばそうとした瞬間剣を手放し後方へ飛びのかれ避けられる。
と思ったら急接近からの腹パンをくらわせようとしてきたので進路上に剣を突き立てて防ぎ、しかし剣を取り戻したキャシーがこちらの首を狙った突きを繰り出してきたので屈んで歯で噛み止める。
そのままぼりぼりと剣を食べながらキャシーの衣類を掴んで、動きを封じて勝利となった。
うん、技量とかそういう純粋な戦闘力を数値化したら私のが下かもしれないけど、ベルゼブブの言う通り実践慣れしていないキャシーならまだまだ負ける気はしないわ。
「さすがですね」
「もっと訓練すればキャシーもこのくらいできるようになるわよ」
「なれますか?」
「えぇ、約束する」
そう言って握手を交わす私達に国民は盛大な拍手を送ってくれた。
なぜか私も抑止力の一つに数えられているらしいけどそれはそれ。
こちらに害があるわけでもなし、放置しておくことにした。
そしてなぜかゲリさんとベルゼブブが仲良くなってた。
「あれがあんなになっちゃったら俺達どうなるんだろうね……」
「捕食者が増えるだけじゃないかな……」
「その時は一緒に逃げる? 封印、ぶっ壊すなら手伝うから」
「今日から友と呼んでいいかい? ドラゴンの君」
「こちらこそだよ。蠅の人」
ガシッと固い握手を交わしていたのを見た人物は多くない。
けれどこれもあってギルドも大盛り上がりだったらしい。
ちなみにゲリさんはタクシーギルドのリーダーなので、英雄たちのギルドのリーダーになることはできなかった。
けれど同盟として今後活動していくらしく、また飛行系化け物仲間を呼び寄せてここを拠点にするらしい。
今後はNPC相手にも商売をしていくので、その仲介には英雄プレイヤーを使うとかなんとか。
商魂たくましいわね……。
基本的なレベル帯
一般的化け物プレイヤーの平均:70~100
フィリアさんこと刹那のレベル:124
トッププレイヤー:210
英雄プレイヤーの平均:15~25
英雄プレイヤーの中で廃人と言われる人:35
英雄プレイヤーの中でトップ:41
英雄プレイヤーに紛れ込んだ検証班:誰にも姿を見られることないまま61レベルのため表沙汰になっていない模様
英雄プレイヤーはまだスタートから日が浅いので効率的なレベリングを知りません。
故に低レベル、戦い方も手探り状態です。
NPCは基本レベル100超えを想定していて国落としはまだ先だったけど、どっかの化け物が大暴れした際に戦争に参加してた有力NPCが全滅しました。
イッタイダレノシワザナンダー




