英雄プレイヤーはみんな低レベル
そこからは連戦だった。
うん、キャシーを出すわけにはいかないような面子がね……これでもかって出てきたの。
まずオーク、なんか前口上で「30人の英雄を投入して捕まえた群れ」とか言ってたけど……化け物プレイヤーとしてはゴブリンレベリングの次に挑む相手なのよね。
群れと言っても10体程度だったから全部脊髄引き抜いて食べた。
お腹が減ってたからね。
その次はオーガ1匹、これは化け物プレイヤーにとっての登竜門。
ソロ討伐できたら一人前と言われる辺りで、基本的には大振りの攻撃しかしてこないからやろうと思えば低レベルでも行ける。
ただしワンパンどころか地面殴って爆散した石の欠片にも当たれないというオワタ式だけど。
ただまぁ、うん、肉は筋張ってて美味しくないから頭かち割って脳みそだけ美味しくいただいた。
4番目になってようやくというか、キャシーに任せてもいいかなって相手が出てきた。
「へっ、NPCのガキ一人なら楽勝だぜ!」
はい、英雄プレイヤー。
どうやらここは闘技場としてちゃんと意味があるらしく、私達みたいに強制ダンジョンアタックに巻き込まれた化け物プレイヤーやNPC以外にも英雄プレイヤーが参加しているらしい。
つまりさっきまでのは前哨戦……と思いきや。
「なぜだ……なぜ……」
キャシーが一太刀で終わらせた。
よっわ……、そしてつっよ……。
「弱すぎません? あれならお母さんの方がよっぽど強いですよ」
「いやリリーを判断基準にするのは間違ってるからね? あれ剣聖だから、そこら辺の英雄ごときじゃ逆立ちしても勝てないわよ」
「そんなもんですか? 飽きてきました」
まぁ……気持ちはよくわかる。
さすがにこうも弱いと、どうしてもいじめてるような気になってしまってね。
「残りは私とゲリさんでやろうか?」
「んー、それもそれで面白くないんですよね。何かいいアイデアありませんか?」
「素手で戦ってみるっていうのは? 何かしらのハンデがある状態で戦うといざという時の訓練になるわよ」
ザ・実体験。
両手足拘束された状態でマヨヒガちゃんダンジョンで恐竜と戯れたりしてるのよ。
そうでなくても過去に似たような状況になったからね。
あの時はたしか……あぁ、そうだ、無人島に漂着した時恐竜と戦ったんだ。
群れだったけどお腹減ってたから全部食べつくして、ティラノサウルス出てきたけど正面からぶちのめしてやったわ。
お腹が減ってて力が出なかったから似たような状況を再現してのトレーニングだけど、両手足にビーム封印だと結構苦労するわね。
まだまだ修行が足りないわ……。
「武器使わない程度でハンデになりますか?」
「たしかに……」
言われてみればキャシーも相当な強さだ。
今更武器縛りくらいじゃどうということはない。
となると……うん、こうしましょう。
「キャシー、おんぶして?」
「は?」
「だから私をおんぶして戦うの。私がダメージ受けたらアウト、キャシーが怪我してもアウト、敵の攻撃はしっかり避けつつ反撃して倒す、どう?」
「面白そうですね……やります!」
「そう、じゃあ私は重りに徹するからね。一切動かない、全身脱力して50㎏の体重を維持した羽毛になるわ」
「はい! お願いします!」
元気よく笑顔で答えたキャシーは私を軽々と持ち上げて闘技場に下り立った。
そして……。
「さぁ! ラストバトルだ! これに勝てばチャレンジャーの勝利となる! 我らが英雄軍! どうかあの悪魔みたいな二人を倒してくれ! いやマジで頼む、今後ギルドの維持費がやばいから」
軽々と5人抜きしてラストバトルとなった。
この子、大概化け物ね。
「あのぉ……俺の出番は?」
「「ない!」」
「そっすか……」
1人しょんぼりと地面に座り込んでるゲリさんにはあとで何かしてあげよう。
とーてつさんに食べられた尻尾が再生したらしく、それをさすっているけど……ちょっとお腹すいてきたしあとで食べさせてもらうけどそれはそれとしてね。
なにが喜ぶかしらね……。
刹那さん「忙しかったので2㎏ほど痩せました」
祥子さん「ぐぎぎぎぎぎ……」




