全部まとめて怒られた
「さーて、あたしゃもうひと眠りするかねぇ。温泉とお酒のコンボは徹夜明けによく効いたわ」
「あれ、フレイヤさん徹夜だったんですか? また糞映画でも見てたんですかね」
「んにゃ、あたしだってたまにゃお仕事するよー。昨日はため込んでた仕事を片付けて公安に行こうって準備してたんだけどにゃー」
「ほうほう、ちなみにどんなお仕事をため込んでたんです? 手伝えることなら声かけてくれたらよかったのに」
「いやいや、同衾を邪魔するような真似をさせないでよ。……以前邪魔されて酷い目に遭ったからさ」
「え? 同衾中に乱入されたんですか?」
「あー、まぁ……いろいろあったのよ。ほら、秘密は女を美しくするって言うあれ!」
ほーん、そんなもんなのか……。
フレイヤさん男性関係結構だらしないという噂を聞いてたけど、これは勘違いかもしれないわね。
こんど謝っておこう。
そして情報源のロッキーさんぶん殴っとこう。
「おや?」
インターホンが鳴った。
なんだろう、こんな時間に……世間一般だともう勤務時間内になってるはず。
宅配とか頼んだかしら……。
「はいはーい」
寝室に向かっていくフレイヤさんと、食器を洗ってくれているマリッサさんを横目に玄関に向かう。
そしてドアを開けた瞬間、足をドアの隙間にねじ込まれた。
「はろー、まいしすたー」
「ふん!」
ドアをおもいっきり閉めた。
なぜここにいる……いや、理由は何となくわかるけれども、なぜこんなタイミングで現れたのか!
「痛いじゃないか刹那。足の骨が折れたよ」
「千切らなかっただけましだと思ってもらえるかしら、辰兄さん?」
色欲の権化、参戦!
「まったく、ハーレムが作れる……もとい、可愛い妹の頼みだからとんできたというのにこの仕打ち。まったくもってぞくぞくしてしまう!」
「くたばれ変態」
思わず冷ややかな視線を向けてしまう。
眼孔から飛び出すあらゆる熱を奪う光線、ビームを通して遠距離にあるものを食べられないか実験している最中に会得したそれがつい発生してしまった。
まぁ結局物質から熱を奪うことしかできなかったんだけど、一般人なら瞬間冷凍できる便利技。
だというのに……。
「おぉ、冷たい……まるで氷を使ったプレイのようだ」
この変態、無駄に耐久力が高く体温も高いせいで効きやしない……。
「マヨヒガちゃん、地下87階にボッシュート」
『はいお母さん』
「む、母子というなかなか奥深い性癖の香りがぁあぁぁぁああぁぁぁ……」
地面に開けられた落とし穴、そこに落下していく辰兄さんが妙なことを口走っていたので胃酸を穴に向かって吐き出しておいた。
これくらいじゃ怪我もしないでしょうけどね、さっきの骨折も即座に治ってたし。
まったくあの化け物は……。
『しかしよかったのですかお母さん。地下87階は……』
「絶対零度を再現したトレーニング施設でしょ。辰兄さんなら問題ないわ」
『いえ、そちらではなくあそこは寒さを利用したサーバールームにもなっています』
「……大丈夫だと思う」
うん、辰兄さんだからね。
刀君とかみたいな短気な子はイライラして殴り壊しかねないけど、辰兄さんなら……。
「ちょっと、サーバールーム隔離とあの階層から他の階層への移動ができないようにしておいてちょうだい」
『はい、既に実施済みです。食糧などは定期的に?』
「復元させたマンモスがいるでしょ。それに木も生えているし洞窟も作ってもらったんだから平気よ。それより問題は……」
『実兄の生存より気にするべきことがあるのですか?』
「あれは殺しても死なないから大丈夫。問題があるとすれば、どうやって公安に送り付けるかなのよ……妙なお願い事なんかするんじゃなかったわ」
『それでしたら、地下87階を公安の直下につなげる通路を作っておきます。既に日本国内であれば地下からどこへでも行けるルートを用意してあり、許可が下りるならば専用の車両なども設置しようとしていました』
「そう、じゃあ公安への道だけ作っておいて。他は保留、さすがに勝手に決めると祥子さんの雷が怖いから」
『はい』
なおこの後、公安の地下から出てきた辰兄さんが女性職員を片端から口説こうとしていたのを一会ちゃんと縁ちゃん、そして永久姉が全力で阻止して私は3人の姉妹と祥子さん、そして葉山部長と総理大臣に滅茶苦茶怒られた。
くすん……。
やっと本格的に参戦!
まぁすぐに退場するけど、あと2話くらいの間に色々引っ掻き回すやべー奴!
こいつを出すために日常会が長引いたんだから責任取ってよね辰兄さん!




