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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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SAN値の貯蔵は十分か

 さてさて、厄介なお客さんの収容は済んだ。

 ついでにマリッサさんは地上階で保護することにした。

 というのもお仲間から随分恨まれていた様子。

 曰く、さっさとケリをつけていればこんなへまはしなかったという責任転嫁からの八つ当たり。

 マヨヒガちゃんが防いでくれるとはいえ、あの状況はちょっとよろしくないなぁと思ったのでね。

 まぁもちろんマヨヒガちゃんによる監視の目がついている。

 具体的にはロボット作っている過程でできたチョーカー。

 マヨヒガちゃんの意思で電気が流れるという仕組みで、ちょっとチクッとした程度の物から人体が発火するレベルまで自由自在だとか。


 これ犯罪者に着けたらいいんじゃないかなって言ったら残念なことにマヨヒガちゃんから離れると使えないらしい。

 その対策としていま世界中にばらまかれている端末に自分の意識領域をコピーしようとしているって言ってたけど……相当な容量があるらしく普通のPCやVOTでは速攻でばれてしまうそうだ。

 そのうち世界中の土地をこの手で掌握してみせるとか物騒なこと言ってたから止めたけどね。

 私が望むなら何て言われたら……うん、ちょっと責任が重すぎるかな。

 魔王になる気はさらさらないのよ。

 ……ゲームでは悪魔王の座を簒奪したけどさ。

 どっちかというと押し付けられたって言うべきかしら。


「っと、もうこんな時間か」


 気が付けば時計の短針がてっぺんを超えて傾きかけていた。

 お昼ご飯の時間だ。

 カツ丼は食べたけど、あれはおやつだしなぁ……地下にいる人達の分も作ってあげたいけど、私の手料理一般人に食べさせることは祥子さん経由で公安から禁止されている。

 そして今家にいるのは私と、いつの間にか帰ってきてソファーで爆睡しているフレイヤさんと、地上階に避難させたマリッサさん、そしてマヨヒガちゃんのみ。


『お母さん、何かお困りのようですが』


「お昼ご飯どうしようかなって思ってたの。私だけなら自分で作れるけど、マリッサさんとか地下の人達がいるからね」


 ちなみに監禁場所に選んだのは平原エリアと呼んでいる場所。

 マヨヒガちゃんが今の実力を試したいということで無制限に広げていいと許可を出して、好きにしていいと言ったら人工太陽光を放つ謎の発光体を天井に取り付けて平原を再現した。

 夜になると暗くなっていくオプション付きで、家庭菜園に使っていたんだけど地下深くはミネラルとかが豊富なのかやたら成長する。

 具体的に言うとトマトが7日でできて、サイズがスイカくらいある。

 味も美味しかったし、公安の検査に回しても栄養価が通常のものより高く糖度がイチゴ並ということ以外は問題なしと太鼓判を押されて祥子さんやクリスちゃん、うずめさんがよく料理に使っている。

 他にも大根とか色々作っているけど、みんな口々に私がいてよかったというのはなんでかしらね……。


『そういうことであれば、私が作ってもいいですか?』


「できるの?」


『可能です。少々特殊な調理方法になりますが』


「ふむ……」


 特殊かぁ、想像する感じだとロボット作ってる時のアームと調理器具の組み合わせかしら。

 そのくらいなら問題ないわね。


「お願いしてもいい?」


『よろこんで』


 そういうとマヨヒガちゃんから、正確に言うなら台所の壁から手が生えてきた。

 え、なにこれ……。


『私を構成しているのは建築材とお母さんたちの細胞です。その細胞を用いて建築材の素材を変質させ、こうして料理を作っています。まさに手料理ですね』


 何か違う気がする……けどまぁいいか。

 というか細胞残ってたのね、塵になってたから細胞も粉々になってたと思ってたわ。

 そんなことを考えながら待っている間マヨヒガちゃんが用意してくれたモニター越しに見た地下の様子は平和だった。

 暇つぶしにと用意したテーブルゲームやトランプで遊ぶ人、家庭菜園は好きにしていいけれど滅茶苦茶にしないでね、食べ物粗末にしたら酷いことするからと言ったら家庭菜園を超えた畑を作り始めた人、疑似的とはいえ広々とした屋外風の場所にいるということではしゃぐ人とまぁみんな好き勝手やってたわ。

 これなら脱走の心配もないか。

 エレベーターは止めてあるというか、今はマヨヒガちゃんにお願いして埋めてあるからそこから脱出はできない。


 やるなら階段を上っていくしかないけど、途中にはモモがいる。

 あとうずめさんが捕まえてきたモモに負けない体格の狼とか、クリスちゃんが飼っていたという犬、臭いからお風呂にいれたら部屋の角っこに逃げて姿を消してしまったからびっくりしたわ。

 舌を伸ばしてきたり、噛みついてきたりと結構じゃれてたから人懐っこいのね。

 でも番犬としても猟犬としても優秀って言ってたから彼らを逃がすことはないでしょう。

 マヨヒガちゃん特製角のない球体の部屋でのんびり過ごしている。

 さすがにここまでくると私も逃げるのは一苦労だし、縁ちゃんも面倒くさがってやめるでしょう。

 せいぜい辰兄さんくらいのものね、ここから逃げようとするのは。


『お待たせしました、野菜のみで作ったハンバーグです。おかわりもあるので好きなだけどうぞ』


「ありがと、地下の人達にも振舞っておいて。パンはないけどご飯はあるんでしょ?」


『いえ、パンも焼きましたし好きな食べ方ができますよ』


「じゃあ両方出してあげてね。あとお水の他にジュースなんかもね」


『わかりました』


 こうしてようやくお昼御飯にありつけたけど、そのハンバーグは今まで食べたハンバーグよりも美味しかった。

 強いて言うなら祥子さんの作ったハンバーグがいい勝負できるかなというレベルだった。

 いやー、最高のマイハウスね!


うずめさん「オオカミのリル君です」

クリスちゃん「わんこのティン君です」

刹那さん「熊のモモです」

マヨヒガちゃん「ドーモ、マヨヒガです」

祥子さん「胃が痛い」

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― 新着の感想 ―
ティン君……ティンダロスだろ! 刹那さんやっぱり人外だってばよ
[一言] あれ? リルフェンさんの親戚か何かかな?
[一言] クリスちゃんが飼っていたという犬、臭いからお風呂にいれたら部屋の角っこに逃げて姿を消してしまったからびっくりしたわ。  舌を伸ばしてきたり、噛みついてきたりと結構じゃれてたから人懐っこいのね…
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