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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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刹那さん「毒は美味しい」

「えー、思わぬところでカスが邪魔をしてきたがこれにて終戦ということだ。こちらからの賠償金請求は後日行う」


「それはかまわんがアルフレッド王よ。その程度でいいのか」


「その程度とは?」


 阿呆王が首をかしげる。

 アルフレッドって名前だったのね、どうでもいいから知ろうともしなかった。


「此度の戦、そちらが仕向けたとはいえ実際に仕掛けたのはこちら。それにより多くの死者が出た。こういういい方は好ましくないが金などで解決していいのか」


「逆に問おう。金銭以外の何で解決するつもりだ」


「この命でよければ差し出そう。当然加担した貴族も……と言いたいところだが既に英雄の裁きを受け神のもとへ旅立った」


「傑物と聞いていたがただの馬鹿だったか」


「む……」


 阿呆王の言葉に……えーとアルデヒド王が言葉を詰まらせる。

 まぁね、それは私も同じこと思うわ。


「何百、何千、何万の死者が出た。それを貴殿の首一つで許せというのか。あえて言わせてもらうがその首にそんな価値はない」


 ガチャリと、アルデヒド王のそばにいた騎士っぽい人が体を揺らす。

 顔を見るまでもなく怒りの感情が表に出ているのがわかるわ。

 けど、これに関しては阿呆王の言うとおりね。


「まったくだわ。戦争で死んだ人が全員生き返るならその首を差し出すのはありかもしれない。けどそんな奇跡……というか夢物語は成立しないわ。あとのことは全部任せて逃げるようなものね」


「……化け物、珍しく意見があったな」


「不本意ながらね」


 戦場はさんざん見てきたつもりだったけど、今回のは本当に酷い物だったわ。

 やむに已まれぬ事情とかそう言うのじゃなく、私利私欲で起こったものだしね。

 まったく凄惨な戦いだったわ。


「それに死者というがな、一番殺したのはこの化け物だぞ」


「え?」


「約二万の兵士をうちから派兵していた。そちらも英雄の素質を持つ者がいたとはいえ、この地に住まう者を同程度は導入していただろう。他の二国も同じ量を投入していたと考え、そのうえでうちの屑共は無能だが戦闘力はある。故に基本的には膠着状態に持ちこんでいた」


 ほうほう、3倍以上の敵を相手にそれだけ頑張っていたのね。

 大したものだわ。


「戦争中の死者が2割としてだ、残りの8割を消し飛ばしたのはそこの化け物だ」


「うっ……」


「こいつの首を落として、それで解決するような問題でもない。貴殿に関しても同様、そんな首いらんからさっさと国に帰って立て直しを始めろ。賠償金に関してもある時払いの催促なしにしてやる」


「……かたじけない。しかし俺は国王として民からの裁きを受けるつもりでいる。その事に関して、いざとなったら次の王が先代との約定など知ったことかと反故にするかもしれんぞ」


「その時はうちの最終兵器が出るだけだ」


 ちらりと向けられた視線の先にはリリー、切り札の使いどころを知っている相手って言うのは厄介よね……。


「剣聖か。さしもの英雄……素質を開花させたものであろうとも勝てぬだろうな」


「少なくともそこの化け物に対抗できないようではどうにもならんな」


「そうか……息子にはよく言って聞かせよう。それでもだめならば、親子揃って首と国土全てを差し出そう」


「だから首はいらん。国土は受け取るがその時は適当な爵位を用意してやるからその地を纏めろ」


「……恐ろしいものだな。鳩がドラゴンを産むか、貴国の先代ならばこの話に飛びついたであろうに」


「あれは何も考えていない。女のことしか頭にない愚物だ。同列に語るな」


「ふっ、失礼した。では首の代りにこれを置いていこう」


 ぱさりとおかれたのは一枚の紙、何かの契約書ね。


「……本気か」


「本気だ。俺は国王、民のためならばどのような事でもする。故に、貴殿の靴でも喜んで舐めよう」


「そうか。相分かった、今回は戦でこそ勝ったが最終的に勝利したのは貴殿だな。まったく、俺程度の平凡な男で勝てるはずも無しか」


「平凡だからこそ、非凡な才能を秘めているものよ」


「くくっ、そう褒められると背中がかゆくなるな。ならばこちらもこれを用意した甲斐があった。受け取れ」


「これは……」


「戦争の原因は我が国の財政難と港の独占。それを同時に解決する方法はあった。我が国を通して貴国の特産品を海向こうに運ぼう。手数料は頂くがな」


「ふっ、こんなものを用意しておいて平凡とは謙遜が過ぎるぞ」


「貴殿のよこした鉱山の権利書ほどではない。まったく不器用な男だ」


「不器用だが、交渉は得意でな。腹の探り合いもだ」


「ふはっ、面白い男だ。どうだ、一杯終戦を祝って」


「ありがたい申し出だ。転移魔法を用いて方々を渡り歩いてきたが、帰りの脚のことを考えていたところだ。迎えが来るまでは安宿で済まそうと思っていたがな」


「……やはり、狸だな」


「よく言われる。せっかくだ、貴様も飲んでいけ英雄」


 突然話を振られた私びっくり。

 しかし英雄ねぇ……前に言われたけど人柱の別名じゃない。

 褒めてないのはわかるんだけどさ……。


「その女には毒でも飲ませておけばいい」


 ゲームだと死んじゃうわよ……どうせならリアルでほしいわ。


刹那さんの服毒経歴

幼稚園入園前、祖父の吸っていた煙草をお茶と勘違いして水に溶かして飲む

幼稚園の時家を探検してて地下に入ってしまい呪いをしこたま吸収するも無事

翌日これでもかというほど怒られて家出、山に入りマムシに噛まれたがマムシが三日三晩苦しんで死んだ

お腹が減ったので近くに生えていたドクツルタケとカエンタケを生で齧るが美味しかったと供述

その後大体有害と言われる物体は口にした

最後に口にした毒物はフレイヤさんから貰ったニーズヘッグの毒液

なお硫酸や硝酸塩酸はモーニングコーヒー感覚で飲んでいる模様

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― 新着の感想 ―
[一言] 毒物の基準が刹那さんに侵されている・・・
[一言] いやー、本当何でこんな下手物()食いで味覚を維持できてるんだ…………いや一般的な味覚と同じでは無いか。
[一言] 刹那さんがゲームに求める体験が分からな…ああいや食事体験だったわ。 ……普通の人と求めるものが違いすぎるw 普通食事を求めて気がついたら2万の命は平らげないw あんたはお菓子好きの七武海かと…
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