そろそろ人外って認めてください
遅れました;つД`)
大山鳴動して鼠一匹なんて言葉がある。
言葉通り、山を揺り動かしてまで得た成果が鼠一匹にしかならなかったという言葉。
うん、今の私がそれ。
えーとね、あの後英雄プレイヤーPKしまくって全員が強制ログアウト措置食らうまで暴れ続けたの。
その直後だったわ。
「阿呆、やりすぎだ、死ね」
そんな声がして、気が付いたら首が落ちてたわ。
とりあえず拾い上げて繋ぎなおそうとしたけど、ゲームじゃ無理だったわね……。
さすがに3秒ルールは適用されてなかったか。
あの声は英雄さんだと思うけど……まぁ言葉通りやりすぎだったんでしょう。
ただそれでもこっちが全滅させるまで待ってた辺りいい性格しているわよねぇ。
まぁ1日の猶予を得た状態にしか持ち込めなかったという事で、あれだけ大暴れしたのに成果は小さいモノでしかありませんでしたと。
そしてそんなことがどうでもよくなるような問題がもう一つ。
『称号:新世代の暴食の悪魔王を取得しました。暴食系譜の悪魔があなたに忠誠を誓います』
『種族が進化しました。暴食の悪魔大公級が暴食の悪魔王に進化しました』
うん……なんかね、悪魔王になりました。
「へい、ベルゼブブ。どういうこと」
『ファッ⁉ どこから声が?』
「私フィリアさん、今あなたの脳みそに直接話しかけてるの」
『あ、これはこれは悪魔王様。私この度悪魔王の座を辞することにしまして、それでよければ私の知る最上の悪魔にその座をお譲りしようかなーと』
「返す」
『ン拒否するぅ』
「今からあなたを食べに行くわよ? 蠅入りの焼きそば食べたことあるんだから蠅一匹マルカジリでもいいのよ」
『すんません冗談っす。マジな話するとね、今回英雄を大量に食ったじゃないですか』
「そうね、あまり美味しくなかった」
『その結果というかなんというか、カルマが凄いことになってるんですよあなた。この世の全ての悪を煮詰めた何かに匹敵するくらい。そりゃもう悪魔王が木っ端者に見える程度には』
ほうほう、えーと英雄をキルするとカルマがどんどんマイナスになっていくのかしらね。
いや、一般人をキルしてもそうだけど……領主邸の人とか戦争で戦った悪魔とか、戦場にいた人とかを相手した感じ何か変化は感じられなかったからなぁ……。
明鏡止水とか使ったりもしてたけど、世界から嫌われる感覚みたいなのはなかったし。
「実力が伴ってないわ」
まぁまだまだ上位の大公級悪魔には勝てるか怪しい状態だし。
何なら相性次第では普通に負けかねない。
首の3秒ルールも適用されないとなるとねぇ……リアルならどうにでもなるんだけどさ。
『そのですね……今神々から信託が来まして、悪魔王の座に着けば色々便宜を図るとかなんとか』
「いらない、そういうの好きじゃない」
ゲームをやるならチートとかインチキはしない主義なのよ。
そりゃ抜け道は探すけどさ。
というかその神々ってたぶん運営よね、そんなことできる神様ってそのくらいじゃない。
『具体的には……え?』
「なによ」
『えーとですね、各種族の肉や危険食材……マンドラゴラを中心とした調理法。それと……あの……私の肉を腕一本分』
「よーし悪魔王になるわ」
『やめてえええええええええええええええええええ』
「先に譲渡したのあなた、便宜を図ると言った神様、受けた私、満場一致です。そして新たな悪魔王として命令、あなた蠅だから腕6本あるわよね。足2本と手1本残して残りよこしなさい。定期的に」
『……亜空間に引きこもらせていただきます!』
「引っ張り出すわ」
その後、しばらくの間亜空間に引きこもったベルゼブブと、それを捕まえるべく明鏡止水を駆使して空間に穴を穿ち蠅を捕まえようとする私との攻防戦が繰り広げられた。
どうにかこうにか、腕三本と羽をむしりとってやったわ。
『もうお嫁にいけない……』
……メスだったのね。
刹那さん「某国でムショにぶち込まれたときのご飯が蠅入り焼きそばだった。イギリスで殺されかけてばらされて並べられて揃えられて晒された時は3秒ルールでくっついた」
イギリスの殺人鬼「自分もアレだけど、人外を相手にできる実力はなかった」




