表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
261/618

イベント厳選疑惑

 あれから村の近くで獣を狩ることを条件にスパイスとレシピを売ってもらえることになった。

 正しく言うなら金銭による交換ではなく、依頼達成による報酬という扱いなのかしらね。

 お爺さんやおかみさんに聞いた話だとこの村は街道から離れているせいで人があまり立ち寄らないらしい。

 結果として商人なんかも滅多に来ないからお金はそれほど価値がないとかなんとか。

 食料に関しても自給自足で、商人からは塩などを中心に購入しているという。

 驚くべきことにスパイスの産地でもあるんだけど、王家直轄の土地らしくて下手な盗賊は手出しできず、それなりの人数を揃えた連中はお爺さんにすっぱりと切られるとかなんとか。

 ……直轄地なのに商人来ないのね、村で使う以外は国が全部買っていくから商人は得るものがないってところかしら。


 そんなこんなで獣狩りも終えて、一晩宿を借り、使わない骨やらを貰ってキメラを直してから街道に戻ってばく進し続けた。

 ちょっと揺れるしBGMがまた復活したけど、村で貰ったお弁当がまた美味しいのよ……。

 スパイシーな卵焼きのサンドイッチに、特製のハーブジャムを塗りたくったトースト、他にもよくわからない動物やモンスターの肉を香草で包んで蒸し焼きにしたものとか最高だった。

 そうしてお爺さんに教わった街にたどり着くまではいたって平和に、道中なんかイベントらしきものを見かけてもまとめて轢いて行ったけど、たどり着くことができた。


「ひっ、な、なんだそれ! お前何者だ!」


「このやり取り前にもやったなぁ……あ、魔の者フィリアです。これは移動用のキメラ」


「魔の者……初めて見たがなんておぞましいキメラなんだ……さぞやいかれた女に違いない」


「失礼な物言いですね。これでも美的センスは抜群なんですよ」


 こう見えてジャーナリストの私、審美眼などは結構自信あるのだ。

 幼い頃から様々な骨とう品を見続け、大人になってからは芸術にも触れる機会が多かった。

 おかげで目利きの腕は上がったし、古い絵画とかの鑑定を頼まれたこともある。

 刀剣の部類も何度も鑑定したけど……正直実家の村正とかうちにあるnewカリバーンの方が優れた刃物だったわ。

 それでも銘やらつくりやらでおおよその時代を特定して、たまに憑りついてる霊や怨念から時代背景を聞き出して、正確な鑑定ができる人材として裏界隈では重宝されていたりするのはひそかな自慢だ。


「……これで美的センスが良いというなら魔の者は皆悪趣味なのだろうな」


「失礼な。見てわかりませんかこの素晴らしさ! 歩くたびに悲鳴を上げ、車輪の回転に嘆く頭部! ひじ掛けには美女の腕を使い、全体を骨と肉で作ることで恐怖心を煽る! 見た目だけで相手を威圧できるパーフェクトな仕上がりじゃないですか」


「いや恐怖心より敵対心とかを煽られるんだが」


「え、でも殺されたらこうなるって思ったら怖くないですか?」


「……戦いで殺された後のこと考えろというのが無茶ではないか?」


「あー、そういえば普通殺す事ばかり考えて殺された後のことって考えないか」


 たしかに、今までリアルであった人達も殺される前に殺すって考えの人が多かったかな。

 強いて言うなら新兵なんかはまだその辺の感覚に慣れてなかったように思える。

 んー、でもうずめさん達と修行した山近辺の住民はみんなその辺の覚悟できてたわよね。

 殺さなければ食われる、それを理解したうえで装備を整えて猛獣たち相手に立ち向かってた。

 いやー、手押し車のお婆さんに軽トラサイズの猪が突進したと思ったら手押し車からバルカン砲が出てくるとは思わなかったわ。

 あの村大概生態系とか狂ってるけど、住んでる人の価値観も結構おかしいわよね。


「あ、これ紹介状持ってきたんです。キメラはここでしまうので中に入れてもらえませんか?」


「紹介状? 誰だよそんな酔狂なこ……と……?」


「どうしました?」


「お、おまっ、お前マジか⁉ え、これマジもん⁉ いやサインと捺印見る限りマジもんなんだけどさ! なんで!」


「美味しそうな匂いに釣られてふらふらとたどり着いた村で仲良くなりました」


「えー……いや、えー」


「美味しいご飯を御馳走してもらい、森の獣狩りの報酬としてレシピとスパイスも譲ってもらいましたよ。いやぁ、いい村ですねあそこ」


「うん……そだね。でもよく切り殺されなかったな」


「最初切られそうになったんですけどね。誠実な態度が実を結んだのです」


「……お前さんが誠実なら世の中の全てが誠実なんじゃないかなって思えてきたよ。ともかく、紹介状は預かる。お相手はかなり高位の立場だからな、おいそれと時間を用意できるわけじゃねえんだ」


「それは仕方ない事です。ゆっくり待たせてもらいますよ。で、入っても?」


「ダメとは言えん。ただ問題を起こしたら……」


「その時はキメラに乗って逃げます」


「……問題起こしたらあの村に早馬出して二度と飯出さないように話とおすぞ」


「絶対に問題起こしません!」


 人生で初めて神様に誓いを立てた瞬間だったと思う。


少し私事を語らせていただきます。

本作品にそのものへの否定意見をいただきました。

先人に倣いコメント削除とブロックさせていただきました。

今後同様の事例があった場合、同じようにコメント削除と共にブロック対応をさせていただきます。

ご了承ください。


批判批評はともかく、感想欄で否定されるとモチベーションがね……感想書こうと思ってくださった方にも水を差してしまうことになりますから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 門番さん冴えてるゥ!
[一言] それは審美眼じゃなくて、性能測定と由来の鑑定であって美の観点ゼロやん…w 有能な門番だwww まぁね。そういうこともあるさ。見えなくしてスルーは正解。 でも「おう、この作品もアンチが付く…
[一言] たまに憑りついてる霊や怨念から時代背景を聞き出して、 カンニングじゃん何が審美眼だ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ