次回ぶっ壊れます
そうと決まれば話は早い。
とはいえ私、一応精霊の種族持ってるから木材は採取してないしドワーフの国に行くことなかったから鉱石も持っていない。
あるのは宝石と……骨や食料、あとは肉体のパーツ……いや待った、せっかくだからあれ作ったらいいんじゃないか?
うんうん、ちょうどいい具合に素材もあるしずっとインベントリの肥やしになってたものもある。
そろそろ出番を用意してあげないといけないものね。
というわけで、キメラを作ります。
戦闘用ではなく移動用のキメラだからそこまでの強さは求めていない。
求めるのは乗った時の快適性とスピードと安定感、あとは事故を起こした時の耐久力やらね。
ふむ……今回必要なのは地上を進むことのできる騎乗キメラだから、これは最初のイベントで手に入れた下級キメラのレシピを応用すればいけそう。
空を飛べるとか、海を渡れるとなるとそこそこのレシピが必要だけどそれも持っているのよね。
あれ、だとすれば陸海空で分けるよりも変形させた方が浪漫あるのかしら……。
でもそうなるとパーツが足りなさそうだし、変形機構は耐久力の低下につながるからなぁ。
今回は純粋に地上移動用の簡単なものにしておきましょう。
まず用意しますは戦争の時に手に入れた大量の悪魔の頭部。
これを錬金術によってリング状にくっつけます。
続きまして、それを4つ作ります。
大きさは揃えて作る必要があるけど、少しくらいなら許容範囲という事にしましょう。
いざとなったら適当な頭部の鼻でも削ればいいわ。
そして合体!
四つの車輪ができた。
さてさて……あとはもう簡単なんだけどふと悪いことを思いついてしまった。
インベントリに入っている魂系アイテム、主に呪魂摘出のスキルで手に入れるかNPCからのレアドロップなんだけど、これが1000個くらいあるのよ。
戦争でめちゃくちゃ手に入ったうえに、司馬さん達からいらないって押し付けられた。
せっかくなのでこの魂をパーツの一つ一つに注入していくことにした。
まず車輪だけどそれぞれにいれたとき妙な動きをされると面倒なので四つに対して一つの魂を注入。
続けてせっかくなので馬車を作ってみようと思い、ゲリさんやら適当な悪魔からドロップした骨を組み合わせていく。
これが本当の骨組みってね!
……冗談はさておき、そうして出来上がった車体のパーツそれぞれにも魂を注入。
錬金術でパーツ同士を接合して、車体が10数体のキメラで作られた馬車が出来上がった。
このまま自走可能だけどせっかくの馬車、馬がいなければ面白くないのでちょいちょい手を加えていく。
まずさっき考えて一度はボツにした変形機構だけど昔見た映画に出てきた車をモチーフに考える。
車体が破損した時、ボディの一部をパージすることでバイクに変形するんだけど似たような機構を組み込んでみる。
まぁさすがにバイクに変形することはないけど、簡単操作で馬キメラだけを切り離してどっちでも逃げられるようにするのよ。
今回の場合耐久力に自信のある車体を囮にして馬に乗って逃げる感じだけど……馬キメラ、2体は作りたいのよね。
あまり芸術関連には自信がないけれど持ち前のパーツで馬キメラのパーツを作っていて気づいてしまった事が一つ。
蹄の部分はどうしても用意できない。
一番重要なところなのよ。
地面を踏みしめるし、衝撃をやわらげなければ脚が壊れる。
なんなら耐久力の問題もあるからね。
というわけで、ここにも悪魔の頭部を使うことにした。
頭蓋骨は体で最も分厚く頑丈、中身の脳みそはシェイクされるかもしれないけど死体だから問題なし。
眼球とか潰れたとしてももともとそこは飾りだからいいや。
という事で骨と悪魔素材によって作り上げた馬車キメラが完成!
ひじ掛けには本物の腕を使ってみました。
女性悪魔の手だからしなやかな肌触りでひんやりしてて硬くない。
……一歩間違えたらマリアンヌかケリーの手を使ってたかもしれないわね。
最後に馬キメラに魂を注入して、車体に繋いで完成。
「さぁ、行きなさい! 新たに生まれ変わったモモ!」
ふっ、このキメラ……実は最初に相棒にした狼の魂を核にしてある。
いやぁ、なかなかあの子のボディ作ってあげられなかったけれどようやくね。
私の命令に答えるようにがたんと馬車が動き出し……。
「ぎゃあああああああああああああああああああああ!」
絶叫をあげた。
あー、うん。
まぁ顔面を車輪にされたらさすがに痛いわよね。
今更作り直すのも面倒だからこのままいくけど、しばらくはBGMと思っておきましょう。
そのうち削れて声も出なくなるでしょうから。
まともな移動方法だと思ってた人いる?
ちなみに前回頂いたコメントで「そういや港だったね」という話がありましたが、刹那さんは悪魔の大公を倒したけどその時手に入れた町を奪われ海を渡って追放されたという形をとり、その際に地獄への入り口になっている倉庫を貰いました。
そこから地獄に行きましたが、現在一般的な地獄へのルートは最初の方で弟の刀君と出会った砦の黒い方にいる悪魔や、その他各地で目撃されている悪魔にお願いして道を作ってもらう事です。
親切な対応をしてもらえた場合は比較的安全なところに送り込まれますが、機嫌を損ねたりしていたらマグマダイブ不可避です。




