表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

256/618

復活! オンライン復活!

 やってまいりました港町、の外の平原。

 あの街名前とか知らないけどいいや。

 言ってたかもしれないけど覚えてない。

 1時間くらいぶらぶらして何もなかったから外に出た。

 うん、あのね、私この前運営さんに言われたのよ。


「伊皿木さんはよくもまぁフラグを踏みますよね、磁力でも発しててフラグ引き寄せてるんじゃないかってくらいにイベントの中心にいますよ。だからプロモーションビデオのお願いしたんですけどね」


 なんてね。

 そりゃまあ……やろうと思えば磁力くらい出すことできるわよ?

 というか生体電気を外部に放出してスタンガンの代りに使うこともできるけど、あれ頑張っても象を気絶させるのが精いっぱいだから使い道あんまりないのよね。

 うずめさん脅かすのに使うくらいかしら。

 あ、あと山奥でスマホとかの充電切れた時。

 それにその程度でイベントフラグ引き寄せるとか無理でしょ、どう考えても。

 というわけで1時間ぶらぶらしてても何もなかったという事は、大きなイベントは無いとみなして出てきたんだけど……。


「うーん、これまた何もない」


 平原は殺風景だった。

 整備された道、モンスターはおらず、とても平和に見える。

 しばらく歩いてもそれは変わりなく、しかし一つだけ変化が起きた。


「おや、珍しい。あんた魔の者か」


 街道を進んでいると前方から馬車に乗ったおじさんが近づいてきたのだ。

 幌馬車……日差し除けをしているという事はお酒とかの荷物かしらね。

 あとは野菜やお肉?

 もしかしたら人を運んでいる可能性もあるけど、それはどうでもいい。


「はい、港町から来ました。トラブルとかもなさそうなので適当に他の街を見に行こうかなと思いまして」


「なるほどなるほど。あの街は平和だからね。辺境とはいえ王様の意向で厳重に警戒されているからね、トラブルなんか起こらないだろうさ」


「へぇ、王様ですか」


「あぁ、あそこは国の玄関口の一つでね。海賊なりモンスターなりに頭を悩まされていたが代替わりしてからはめっきり落ち着いたのさ」


「そんなことがあったんですね」


「他国からの侵略なんかもあったが、まだ俺が子供の頃だったからなぁ……今じゃ国境付近で睨み合いしてるだけだって聞くね。おかげで他の大陸に売る物も用意できて俺達は安心して暮らせてるのさ」


「国境付近……面白そうですね」


 ちょっとつついたら爆発しそうな辺りがたまらない。

 膨らみ続ける風船を周りに投げ渡していくゲームあるじゃない?

 あれをダイナマイトでやったことあるけどスリリングで楽しかったわ。

 結局負けちゃって髪の毛が焦げちゃったのよね……一時期ショートカットにしてたけど、理由話したら祥子さんにひっぱたかれたわ。

 ダーウィン賞でも欲しいのかって言われて調べたけど、欲しいとは思えなかったわね。


「面白いか……やっぱり魔の者は俺達とは違う感性しているんだな」


「そうかもしれませんね」


「ただこっから国境付近に行くにゃだいぶかかるぞ。領地をいくつも跨いでようやくだし、隣の領地……一番近い街に行くにしても徒歩じゃ10日はかかる。途中に村とかはあるけどな」


「そんなにですか……飛んで行くにしてもちょっと面倒な距離ですね」


「あー、空はやめた方がいいぞ。雲の上は竜の縄張りだ。今の王様が相互不可侵を決めたから大人しくしているが、近づけばあっという間に黒焦げにされるか丸呑みだ」


「ドラゴン……」


「おう、ありゃ本物の化け物だ。お前さんが魔の者とはいえうかつに手出しすればあっという間に1000を超える数が飛んでくるだろうさ」


 1000体のドラゴンか……思えばゲリさん以外のドラゴンと戦ったことないわね。

 ゲーム始めたばかりの頃だったから苦戦したけど、今だとどうなるかしら……相性は悪いけれど勝てない相手じゃない。

 でもそれが1000体いて、しかもゲリさんのようなデメリットがない個体だったら……うん、面倒。

 となると地道に街道を進むしかないか。


「地上を行こうと思います」


「そうしときな。俺らも巻き添えはごめんだし、何より王様怒らせたらこの国にはいられねえぞ」


 王様ねぇ……港町の防備を固めて、戦争を膠着状態に持ちこんで、化け物筆頭のドラゴンと不可侵条約を交わす。

 随分と都合のいい、というかなんというか。

 からからと音を立てて去っていく馬車を見ながら考えるけれど、想像でしか語れない以上行動あるのみかしら。

 ただ行動と言ってもひたすら歩くだけ……走ってもいいけど、下手に力を入れると地面踏み抜いて整備された街道をぐちゃぐちゃにしちゃいそうだし、さっきみたいにすれ違ったときに衝撃波で吹っ飛ばしちゃいかねない。

 それは危ないからなぁ……あ、なら足を用意すればいいのか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 足を用意……増やして生やすの?(真顔)
[一言] せっちゃんであればドラゴンの踊り食いなんかサラッとやってのけそうだけどね  まあ、言葉を理解して発する事が出来るならばせっちゃんが如何に異様な存在か分かるだろうから戦う事もないだろうけど
[一言] 悪魔の街の入り口が、そういえば港街だったな。 大分前だからすっかり忘れてた。 他のプレイヤーは、他のルートでの魔界入りっぽいが、 そもそも魔界入りのルートってどんなだっけ? リアル側の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ