オンラインすぐ死ぬ
なんか、うん、なんか色々疲れたのでログアウトしてブログ更新して寝た。
久しぶりにどっと疲れた感じがするけど……たぶんギルドホームが原因ね。
戦闘はそんなに疲れなかったし、観戦中に料理売るのも結構楽しかった。
久しぶりに腕や足が浮かんでくるスープ売ったけど、最近は皆慣れてきたのか鍋を見かけたら逃げていく。
そしてなぜか初心者さんぽい人も誰かに耳打ちされると同時に逃げ出す。
解せぬ……。
あ、でもポテチとポップコーンは結構売れた。
そしてスープは私と司馬さんで飲んだ。
リルフェンさんとテスカトリさんも飲んでたけどなかなか好評だったわね。
うーん、こんなに美味しいのに何でみんな嫌がるのかしら。
材料に人間素材使ってるだけなんだけど……と言っても今回は人間素材がなかったから倒した悪魔のパーツで作った。
そろそろパーツの数が凄いことになってきてるから錬金術辺りでキメラでも作ろうかしら……。
「おはようございます……」
そんなこんなで寝起き。
リビングでご飯を待とうと思いクリスちゃんらしき影の隣に腰を下ろした瞬間だった。
「ごふっ」
首を掴まれた、クリスちゃん朝から好戦的すぎない?
「おはよう刹姉」
「……一会ちゃん?」
「うん、あなたのかわいい妹一会よ。お話ししないといけないことがあるからわざわざここまで来たの、お邪魔してるけどいいわよね、悪いとは言わせないわ」
「あ、はい」
あるぇ……?
なんか一会ちゃんが朝から凄く不機嫌だぞ……生理かな?
「ぐぎっ」
「今失礼なこと考えた?」
「ぞんなごどはげっじで……かふっ、ひゅー、ひゅー」
「ならいいけど、刹姉。ブログいつも楽しく拝見してるわ」
「そ、それはありがたいけど……」
「うん、それで気になったことがあるのよ」
「気になったこと? 一会ちゃんゲームあまりやらないよね」
「ゲームも気になり始めてるけど、それ以上に気になることが二つ……いえ、三つかしら」
「な、なんでしょう」
一会ちゃん、何気に怒らせると一番怖い。
一番厄介なのが永久姉で、一番面倒なのが縁ちゃんだとしての話だけど、本当に怖いのよ……。
なお男性陣は怒ってもそんなに怖くないし面倒じゃないし厄介でもない。
辰兄さんはうざい、あざとい仕草で同情を誘ってきて泣きながら女性の家に駆け込んで翌日には何でもないような顔で居間にいる。
刀君は大体いつも怒ってるから慣れた。
羽磨君はしょんぼりして部屋に引きこもるから罪悪感はあるけど謝れば許してくれるいい子。
そんな兄妹の中で一番怖い一会ちゃんが怒っているのはなぜか……残念なことに心当たりがない。
一会ちゃんが怒るのは……歴女故に間違った歴史的解釈した時か、彼女の大切にしているフィギュアに勝手に触った時、あとはなんだろ……口だけは達者だけど努力しない人を見た時かしら。
私最近結構努力してるし、実家に帰ってもフィギュアに触ったりしてない。
となると歴史関連か?
何か間違ったこと言ったかしら……。
「まず第一に、刹姉みたいな大食い女が自らを大和撫子と呼んだこと」
「え? おしとやかでしょぐべっ」
喉が……喉が絞まる……
「リピート」
「おしとやかでしょべぶっ」
言われたままに繰り返したのに……ひっぱたかれた。
「いい、復唱しなさい。伊皿木刹那はおしとやかでもなければ大和撫子ではありません」
「い、伊皿木刹那はおしとやかな大和撫子ですごふっ!」
ぐ、ぐーぱんはダメでしょ!
嫁入り前の女の顔をグーで殴るのはさすがに!
「このまま締め上げようかしら……それとも動物園で猛獣の檻に投げ込む?」
「食べ放題?」
「その発想が出てくる時点で大和撫子を自称してはいけない。今度やったら……」
きらりと手元に光る何か……あれは諸事情でうちに預けられた国宝認定されている包丁村正……の模造品?
あれはまずい……さすがに壊したら怒られる程度じゃすまないし、模造品とはいえちゃんと刃がついているもの。
歴史も古く、お父さんや刀君がお祓いの時に守り刀として持っていくことがある、いわば対幽霊妖怪用の最終兵器だ。
鬼の血を継いでいるという伊皿木家の人間にとっても猛毒となる刀……そんなもので切られたらさすがに回復に時間がかかってしまう……!
お腹なんか刺されたらそりゃ1週間は入院しなきゃいけないし、その間食べ物も制限されてしまう。
ここは同意の一手……!
「わかってくれてうれしいわ。二つ目、巴御前は武士、その間違った歴史認識を正すまで刹姉にはここにある教本を全て暗記してもらいます」
「わぁ、段ボールが沢山。寝ぼけてて気づかなかった」
「およそ100冊、古今東西の歴史書を厳選した私のコレクションよ」
「暗記? 全部?」
「全部」
「……やだぁ」
「……………………」
「あ、やらせていただきますはい」
無言で包丁村正構えられたらね……怖いのよ。
「それで最後の一つは?」
「それが一番重要。ねぇ刹姉……」
「はい……」
ごくりと生唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
一会ちゃんの手元で光る刃が恐ろしく、そしてハイライトの消えていた瞳が怖い。
その瞳が今はめちゃくちゃ輝いているのが一番怖い。
「ロッキー様とリルフェン様のお知り合い?」
「……え、そこ?」




