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そりゃこうなるでしょうよ

 優雅に舞い華麗に打ち抜く、言葉にすれば簡単だけど……ぶっちゃけジャグリング必要なかったですはい。

 拳銃でのピンポイント射撃はそれなりに得意なのよ。

 クリスちゃんのおかげで虎の群れと戯れながらデザートイーグルぶっ放してたし、弾が届く距離なら眼球だって狙い打てる。

 というわけで遠巻きにしている魔法使いとかは片っ端から眼球打ち抜いていった。

 そしたらまずいと思ったのか、みんな近接戦の準備はじめて近寄ってきたから伊皿木家直伝の体術で千切っては喰い千切っては喰いと暴れてた。


 司馬さんは一陣の風となって吹き荒れてたわ。

 通った後には人型だったものの成れの果てが転がり、そして光の粒子になって消えていく。

 けれどバトル前に言っていた武士として挑むという言葉に嘘偽りはなかったのか、普段の司馬さんよりも落ち着いた感じだった。

 例えるならば普段の司馬さんは竜巻や台風、進路上にあるものを全てなぎ倒し、通った後にはぺんぺん草すら生えないほどに荒れた土地になる。

 彼の前にありとあらゆる物質が原形をとどめることなく、無残な姿となってしまう。

 だが今回はというと。


「いやぁ……急所を一撃、余計な損害を与えない、ピンポイントのかまいたちみたい」


 首をはねる、心臓を穿つ、脳髄を潰すといった最小限の攻撃で敵をなぎ倒していく様はまさに……バーサーカーね。

 あれを武士とか言ったら歴女の一会ちゃんにぶち殺される。


「む……?」


「おん?」


 壮大なファンファーレと共に空に花火が撃ちあがる。

 あ、これイベント終了のお知らせだわ。


「……まさかもう終わりか?」


「終わりですね。歯応えないなぁ」


「……つまらぬ! フィリアよ、一戦申し込む!」


「望むところ! あまりに手ごたえないから退屈だったんですよ!」


 構えをとる司馬さん、こちらもロストガンをその辺に投げ捨て、ついでにインベントリの中も減らして軽くする。


「……フィリアよ、その衣装だが」


「衣装……あ」


 間違えて封印指定コーナーからも投げ捨ててしまったらしい。

 悪魔王シリーズが二着地面に落ちている。


「これは違うんですよ、ダンジョンクリアの報酬で貰ったけど使い道ないから誰かに押し付けようと思ってた品で!」


「……早く仕舞うといい。あの二人に見られたら惨事だぞ」


「ですねぇ」


 そっと手を伸ばした瞬間だった。


「あるぇ? フィリアさんってそういう趣味あったんだ」


「意外でした。慎み深い服装を好む方だと思っていたのですが」


「げっ」


「いいじゃないセクシー路線! 歳のわりにきついとか言う人いないだろうし、フィリアさん肌つや20代後半のそれじゃないからさ! 誰にも言わないからちょっとそれ着てる所みせてよ、俺のこの軽口が滑る前にさぁ」


「見たいか見たくないかで言えば見たい。だがこれぞ禁断の果実のように甘く、しかしどこかほろ苦く、そして酸っぱい……つまり甘美ですね」


「よーし歯を食いしばってください。記憶が飛ぶまで殴りますから」


「えぇ……暴力反対。いーじゃん減るもんじゃないし」


「精神的な何かが減ります。SAN値的な何かが」


「そんなこと言ってるけどさぁ、ご丁寧にインベントリに入れてある辺り大切にしてるんじゃん」


「は? どういうことですか? 片方は誰かに押し付けようと思ってましたが、もう片方はユニークだから捨てられないですよ」


「あれ? 知らないの? このゲーム装備は壊れるし風化する、だから適当に日当たりのいいところに置いて野ざらしにしてればそのうち修復できないくらいに壊れてユニーク属性消えるよ」


「なん……だと……」


「まぁある種の裏技だし、そもそもユニーク装備を劣化させる意味なんて投影以外にないから滅多にやる人いないんだけどね。というかそもそもユニーク装備持ってる人が少ない」


「……なら、これをイシュタルさんとニーアさんに押し付けるとしましょう」


 あの二人なら喜んで着そうだ。

 イシュタルさんは自分の美貌に絶対の自信を持っているから、それを引き立てるセクシー衣装なら喜んで着る。

 なんならあの人ゲームの大会をファッションショーと勘違いしてる節があるからね。

 格ゲーの大会で見えそうで見えない、でもちょっと激しく動くとちらりと見える系衣装でタイムアップ勝利を狙ったりするから。

 故にネットでは「舐めプファッションショー」とかいう不名誉な呼び方されているけれど、アンチと同じくらいの数無駄のない動きにファンがついている。


 主に武闘家とダンサーから人気ね、極限まで鍛え上げた肉体に神が宿るなんてキャッチフレーズまでつけられてたわ。

 対するニーアさんはそういう意図はなく、むしろ相手がそれで視線を逸らしたりガン見したりしてきたらラッキーと言わんばかりにセクシー衣装を好む。

 見えそうでめっちゃ見える系のミニスカートキャラ作って蹴り技乱発したり、FPSの大会にビキニで参加したり。


 通称迷い込んだ一般人を装ったやべー奴。

 プロという言葉を意地でも使いたくなかった人たちがひねり出したキャッチフレーズだけど、気持ちはよくわかる。

 美人さんなんだけど、見てて気分が悪くなるくらい奇麗な顔してるのよ……。

 こう、精神的に何かがゴリゴリ削れていくような感覚の。

 そんな二人にこのゲームで最もセクシーと言っても過言ではない衣装を用意したら、そりゃ喜んで着るでしょうね。


「……闘争の空気ではなくなったな」


「……文句はこの二人に」


「あぁ、拳で語ってやるとしよう。俺の文句をな」


「拳だけに文句から転じてモンクですか? 面白いジョーク、100点あげちゃいます」


「いい度胸だお前も諸共に潰してくれる」


「喧嘩売ったことも気付かないなんて相変わらず脳筋ですね。私も少しどころか本気で暴れたかったんですよ!」


「ぶっ殺す……」


「まずはあの二人を無残な姿にしてから……」


 こうしてイベントバトルはどうでもいい戦いによって締めくくられた。

 ちなみに負けました、司馬さんと共同でヘルメスさんぼこぼこにしている間にルシさんにまとめて焼かれた。

 ……おのれ、この恨みはらさでおくか!

マスターデュエル難しいな……ゴールドⅤとⅣうろうろしてます。

HEROデッキの蒼井茜とマッチングしたらよろしくお願いします

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 途中で出てきた二人が最後に名前出て来て誰かわかったけど、それまでずっと誰?ってなってた。
[良い点] オセロットみたいなことをしおって・・・ [一言] お前ら人間じゃねぇ!(色々と)
[一言] >みんな近接戦の準備はじめて近寄ってきたから伊皿木家直伝の体術で千切っては喰い千切っては喰いと暴れてた。 捕食すんなしw >あれを武士とか言ったら歴女の一会ちゃんにぶち殺される。 先ず大和…
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