厄種
情報とはいついかなる時どのようなものでも最大の武器となる、と第三次世界大戦の英雄は言った。
実際その言葉の通り、将校のティータイムを狙ったミサイル発射とかいい感じのダメージを与えたりしたのでこれは本当にその通りだと思う。
第二次世界大戦の時もそういうのあったらしいけど、あれは情報戦ではなく相手の落ち度というか……関係者がパーティに参加してて宣戦布告を見落としてたって話だっけ。
あまりその辺の情報残ってないのよね。
ともあれ、情報は何よりも強い武器になりうる。
いかなる暴力よりも情報を制したものが勝つのが常であり、実際私は砦イベントの時それで祥子さんに負けた。
……司馬さんとかテンショーさんを封印するまではどうにかなったんだけどね、クリスちゃんとの一騎打ちはもう暴力以外の手段がなかったけど、最後の最後に情報を制した祥子さんに負けたのよ。
ぶっちゃけあのイベントのMVPがいるとしたら祥子さん以外ありえないわ。
さて、話を戻して……。
「どうしようこれ」
とりあえず手に取ってみた眼薬、眼球にかけるだけで魔眼を取得できるという優れもの。
それがダース単位で手元にあり、しかもその全てが既存の情報にない魔眼。
なおかつ無茶苦茶強力だったりする。
例えば「傀儡の魔眼」というのだけど、これは私の種族にもある傀儡使いの能力を発展させるとはえてくるタイプの魔眼みたい。
それを無理やり開花させるというもので、そもそも傀儡系の種族持っていないと取得できないという条件付き故に強い物。
魔力を目に通して魔眼を発動させるイメージ、それだけで相手の自由を奪えるという凶悪なもの。
お次は「即死の魔眼」、名の通り見ただけで相手は死ぬ。
なおこれは発動に際して一定時間ランダムで四肢のどれかが動かなくなるというデメリットがあるので使いどころは難しいし、成功率も著しく低いので使い道は雑魚狩りくらいかしら。
それにしたってデメリットがあるからまともな運用は無理ね。
まともに使えそうなのは相手を痺れさせる「麻痺の魔眼」とか強制的に眠らせる「睡魔の魔眼」かしら。
状態異常系の魔眼はかなり使い勝手がいいけど、これはどの魔眼にも共通するデメリットでレジストされた場合効果が跳ね返ってくるのよね。
私の場合魔眼殺しがあるから反射されたのもレジスト出来るっぽいけど。
なおこの穢れた悪魔英雄の魔眼隠し、効果というかフレーバーテキストだけどこういう一文がある。
「この眼帯を身に着けた者は他者に魔眼の存在を悟られなくなる」
化けオンはフレーバーテキストにも効果を持たせるから、たぶん街に入れないデメリットはなくなったも同然なんだけど……まだ確証が持てないから使わないでおきましょう。
悪魔王シリーズが厳重に封印されている「封印コーナー」にボッシュートするべきかしらね。
……悪魔王シリーズね、何が問題かってユニーク装備じゃない事なのよ。
つまり他者への譲渡が可能、マリアンヌとかに渡したらたぶん殺されるし、祥子さんに着てほしいなと思う一方他人の前で着てほしくないという謎の葛藤もある。
だからうっかりをしないように封印指定した。
まぁ後々考えるという事でいったん机の上に置いておきましょう。
「そんでこれは……」
次に手に取ったのは大量の書物。
この世界の歴史、ゲーム的なフレーバー部分に始まり表世界の宗教が纏めて崩れ去りそうな厄ネタも満載のもの、更には読むだけで魔法を使えるようになる魔導書から、手に持っているだけで魔法の威力が上がるというものまで。
……装備は素手で十分って言ったけど、これ腰から下げておこうかしら。
ホルスターがあれば本を腰から下げるくらいできそうだし、厚さも広辞苑くらいあるから鈍器として優秀だし盾にもなる。
たぶんマリアンヌ経由で職人に任せたらそれなりに使い勝手のいいものができるんじゃないかしらね。
お金も余ってるし、魔法はなんだかんだ使い勝手がいいのよ。
それ以上にビームの方が楽というだけで。
それにしても……豊穣魔法ね。
これケリーにあげたら喜ぶかしら、あの街今どうなっているのかしらね。
ピコーン(変なフラグの立つ音)
さて、ちょっとした雑談なんですが……以前化けオンは運営による人類進化のシミュレーターという話を書きました。
つまるところゲームに出てくるアイテムというのは運営による「ぼくたちのつくりたい最強のアイテム」なわけです。
……はい。
あの、即死の魔眼は会得しても死にやすい線が見えるとかありませんからご安心を。
現代人には刺激が強すぎて使ったら死ぬだけです。




