同居人会議
「私はかまいませんけど……化けオンにかまってる時間ないですよ?」
「私はパス、公安の人間として顔が割れるのは避けたいから」
「ですよねー、とりあえず先方にはそう伝えておきます」
朝一番で二人に話を持ち掛けてみたところ、こんな感じの返事が返ってきた。
となるとまぁ私が矢面に立つことになるわね。
それでクリスちゃんと私だけとなると……まぁ順当に考えるなら砦イベントの一騎打ちとかでしょ。
他は司馬さんとかテンショーさんのあれこれかしらね。
化け物らしく動いているのはその辺だから……あ、ゲリさんもそれにあたるか。
目立って化け物らしいプレイヤーって結構少ないわね、普通のオンラインゲームと変わらない気がしてきた。
「ねぇねぇせっちん。あたしもそれ参加できないかな」
「うずめさんがですか? まだキャラクター作ってないですよね」
「うん、今から参戦してPVに間に合うかなーと思って」
「難しいと思いますよ。やるなら第二陣で参加して、そこからPVに出られるようにするのが早いと思います」
「そっかー、なんか聞き覚えのある連中もやってるからあたしも遊んでみようかなと思ったんだけどね。今から始めるよりも後追いの方が面白そうかぁ」
「ちなみに種族選ぶとしたら何がいいですか?」
「んー、順当に英雄かなぁ。せっかく第二陣から用意されている種族なんだし、面白そうじゃない?」
「何か混ぜる予定は?」
「種族を混ぜられるんだっけ。だったら……うーむ、なにか神様系のないかな」
「そういうのは基本的に後付け種族になってきますね。最初から選ぼうとするとポイントが足りないので」
「なるほどねぇ。インストールだけしておくかな」
「それなら公安から借りた筐体にはプリインストールされてますよ。化けオンとVGOVR版」
正しくは化けオン運営が関わっている作品はプリインストールされている。
そして今後彼らが関わってくる作品もピックアップされて順次勝手にインストールされるようになってる。
私達が個人的に好きなゲームとかインストールすることもできるけど、公安から外部操作でインストールできるようにもなってるのよ。
便利な世の中だけど、これよく考えると結構怖いのよね……。
その気になればスリーサイズとか簡単にスキャンできるし、それこそ犯罪に使おうと思ったら何でもできちゃうわ。
ちなみに一般企業はその辺の外部操作を利用して社員にVOTを支給、了承を得たうえで健康診断とかやってるところもある。
もちろん拒否権あるから自前のVOT使って、会社に費用だしてもらって個人的に健康診断受けている人もいるけどね。
女性には結構多いみたい、上司が同性であっても結果を見られたくない人って。
私の場合面倒くさいのもあるけど、公安の方針で常にバイタルチェックされるようにしてるし肉体的な異常があれば常に報告されるようになってる。
……なぜかいつも異常値がでるのよね、筋密度とか骨密度とかその辺で。
この前データ見たら肝臓が弱ってるって出たから最近はお酒と毒物は控えてる。
思い出したら久しぶりにフグの踊り食いしたくなってきたわね……。
「うーん、国から借りるのはちょっとなぁ……」
「じゃあ最新鋭の機器でも買います? うずめさんなら化けオン運営に掛け合えば融通してもらえるかもしれませんが、あそこ妙なもの仕込むから」
「んー、いや。なら運営から支給品貰おうかな。あまり無駄遣いしたくないし、かといって国に貸しを作りたくない、これだけわがまま通用するなんて滅多にないからね」
「そうですか。ならあとで連絡入れておきますね」
「よろしくー」
さてさて、これでうずめさんも化けオン参戦か。
せっかくだからあれも誘っておこうかな。
「そういえば司馬さん達とギルド結成することになったんですよ。うずめさん達もどうですか?」
「あたしはパスかな。しばらく一人でぶらぶらしてみたいし、どうせなら見どころある人間を勧誘して弟子ギルド作りたいから」
「私もパス、化けオンにかまってる時間がないわ」
「右に同じく、VGOで忙しいので」
全員パスか……まぁ祥子さんはお仕事忙しいし、クリスちゃんは別のゲームに夢中。
そりゃそうなるわよねとしか言えない。
うずめさんに関しては不穏だけど、まぁいいか。
被害者のみなさんご愁傷さまというだけで。
普段の刹那さん~魚河岸変~
刹那さん「フグの卵巣ください」
魚河岸「ねえよ、フグ買え。つかフグ捌く免許あるんか」
刹那さん「持ってるけど基本踊り食い」
魚河岸「おもしれえ冗談だな、あそこはいいフグ売ってるぞ」
刹那さん「ありがと、とりあえず朝御飯に100尾かしら」
このあとマジで踊り食いして救急車呼ばれた。
そして出禁になった。




