一波乱終えて
「たっだいまー」
「あれ、ご機嫌ですね。おかえりなさい刹那さん」
「ちょっと食後の運動が気持ちよくてね。あ、祥子さん寝かせるから部屋のドア開けてもらえる?」
「はい、あとコーヒー淹れますね。刹那さんお酒臭いですし」
まぁ……結構飲んだからね。
ワイン美味しかったわ。
亜流の襲撃者?
軽くひねっておいた。
久しぶりにビームとか使わない、生身のみの戦いができてよかった。
400人くらいかしら、全員捕まえて公安に送り届けて、あとは私の伝手で銀の黄昏の本流関係者に引き渡す手はずになったわ。
きっちり、後始末してくれると約束してくれた。
いやー、ナイ神父は相変わらず胡散臭いわね。
どこで知ったのか化けオンの近況まで言い当てて、見てきたかのように大食い大会のことまで話してきた。
あの人の情報網ってどうなっているのかしらね。
テレビ局でも掌握してるのかしら。
あの人プロデュースのユニットがスパイでした、とか言われても信じられるわ。
信用できないからこそ信じられるというのは皮肉もいいところだけど。
結構手広く色々な事やってるらしいからね、アイドルくらいなら育ててもおかしくないのが怖いのよ。
この前は軍事産業に口出ししてたし、その前は銀の黄昏とは別の宗教組織率いて遊んでたわ。
事有る毎に私と戦うことになるけど、あれはなんなのかしらね……。
本人ノリノリなのが本当に厄介。
「運動ですか……私も最近なまってきてるんですよねぇ」
「そうね、ちょっとお肉ついたわね」
むにっとクリスちゃんのお腹を摘まんでみる。
うん、やわらかぁあいたぁ!
「はったおしますよ」
「そういうのは叩く前に言ってほしいな」
まったく、私じゃなかったら首が飛んでたわ。
結構痛いし奥歯がぐらぐらする。
「この前縁ちゃんに本気のあれ防がれたの、結構ショックなんですよね」
「あー、まぁ縁ちゃんだからね。というかあの水はどうやって?」
「そこは企業秘密です。やってみたいなら教えますけど」
「うーん」
なんかやろうと思えばできそうなのよね。
えーと、明鏡止水で自然との合一して、次に大気中の水分を集めて手元に纏わせて……。
「あ、できた」
「……前々から思ってましたけど、刹那さんってかなり」
「かなり、なに?」
「埒外……違うな、常識外れ……ぬるい、ぶっ飛んでる? うーん、うまく言えない」
「とりあえず褒めてないのはわかったわ。それで、あの時はこれを圧縮してぶん殴ってたという事でいいの?」
「似たようなものですね。圧縮して、殴りつけた後どかーんと破裂させる感じです。名前の通りパイルバンカーをモチーフにしてますので」
「なるほど……結構便利ね。今度縁ちゃんとのスパーリングでやってみよ」
「あ、それ私も参加したいです。本格的に運動したいので」
「いいわよ。クリスちゃんのダイエットは健全でいいわね……一会ちゃんとかご飯減らして痩せようとしたりしてたから」
「えーと、一会さんですか?」
「妹よ。縁ちゃんにとっては姉にあたるの」
「あー、7人兄妹でしたね。ご飯抜きはいけません、ダメな痩せ方しますしリバウンドもしますから」
「そうなのよね」
まったく、1食5杯ご飯食べてたのを3杯に減らして運動量を増やすなんて無茶はダメよ。
しっかり食べて、しっかり運動する。
それだけで人は健康な肉体を保てるのだから。
というか一会ちゃんに関して言えばお酒の量を減らすべきね、あの子は飲みすぎ。
晩酌で樽から直飲みするなんてはしたないわよ、おつまみも無しによく飲めるものね。
「あ、そうだ。さっき電話かかってきましたよ、化けオンの運営さんから」
「こんな時間に? まぁかけなおしてみるわ」
なんか嫌な予感がするわね……。
話は飛んでません、コマの間で蹴散らしました。
……いや、わかりきった結末ですしおすし。
一会ちゃんはダイエットでご飯の量を減らしたのではなく、トレーニングのために量を調整しただけです、刹那さん感覚だとご飯減らしたダイエットに見えただけ。
なお肝臓おばけなので毎晩樽酒飲んでます。
解毒能力は刹那さんと同等、ただしハブが噛みついてもハブが死ぬことはない。




