お買い物2~ドナドナ~
とりあえず縁ちゃんの服選びは終了、私も衣類全滅したから祥子さんに選んでもらった。
あとは実家から取り寄せればいいかなって思って服は買ってない。
お次に家具ということになったけど、今度はうずめさんの鑑定眼が火を噴いた。
「これはダメ、組木と言ってるのに見えないところに金属で補強してある。こっちは……なんでこんなの作ろうと思ったのか知らないけどウドで作られてる、すぐ壊れるわよ。この箪笥は悪くないわ、材質選びからしてプロの仕事ね……これにしましょう、人数分」
はい、箪笥選びは速攻終了。
うずめさん連れて帰省する必要がなくてホッとしたわ。
祥子さんの分だけはどうしても市販品で揃えておく必要があったからね、最近こそ鳴りを潜めているけれどまだまだホラーでよわよわになっちゃうから。
元の強靭な心を持った祥子さんに戻るまではもう少し時間かかりそう。
「えーと、ドレッサーって三面鏡とかのことよね……だったらあれでいいんじゃないかしら。いくつ必要?」
「祥子さんが使う分だけでいいですよ、私は洗面所で十分、クリスちゃん外でない、縁ちゃんすっぴんですから」
「あたしの心配は?」
「メイクします?」
「んー、最近は芸子の仕事も入ってきてないし、そういうのやる時は向こうでメイクの人用意してくれるからいらないね!」
はい、そんなわけでお化粧台も完了。
他はちょいちょいみんなでほしい物買って、全部当日配送お願いして、縁ちゃんのところに戻った。
縁ちゃんがどこにもいないという事実の待つ場所に。
……いや、シリアスじゃなくてね、縁ちゃんがもちにゃんグッズに埋もれて姿が見えなくなってたの。
部屋一個使ってグッズに埋もれる縁ちゃん、あとでお説教ね。
「あの……これは?」
「お客様が一度やってみたいという事で、部屋いっぱいのもちにゃんグッズに囲まれて眠りたいとのことでした。お買い上げの約束の上での行動です」
「そうですか、一括で」
「はい、ありがとうございます」
「それと当日配送を、中の妹も一緒にお願いできますか?」
「ナマモノと壊れ物のシールを用意しないといけませんね」
「じゃあお願いします」
縁ちゃんも配送してもらうという事でお買い物は終了。
あのね、幸せな時間を邪魔すると縁ちゃん本気で怒るのよ。
どのくらいかというと、今回新築した家が再生機能すら貫通して完全破壊されるレベルで。
以前辰兄さんが小柄な女性連れ込んで縁ちゃんのお気に入りの服、といっても学生時代のジャージを勝手に使ってあれこれした結果、伊皿木家で一番頑丈な辰兄さんが半年女遊びができず、1年近く入院することになった。
伊皿木家名物超回復を使える辰兄さんが毎日使ったうえでそんな状況、何が起こったのか知りたくもなかったけれど……まぁあれは自業自得よね。
あとは刀君と年末にテレビ番組戦争した結果、刀君の年越しは病院になった。
これは完全に縁ちゃんのやりすぎという事でお説教案件だったけど、縁ちゃんも肋骨折れてたのよね。
年越し前に治してたのはさておき。
他にあるとしたら……基本的に仲のいい兄弟姉妹だから喧嘩は滅多にないんだけど、一度7人全員で大げんかになったことがあった。
きっかけは本当に些細な事でもはや覚えていないんだけどね。
山が3個ほど更地になったとだけ言っておくわ。
逆にその程度で済んでよかったわとお母さんは笑ってた。
母は強しとはよく言ったもの、お父さんは泡吹いてたし、お爺ちゃんお婆ちゃんたちは真っ白になってた。
みんな未成年だった頃だから、本当に若かったなぁ……。
よし、帰ったら化けオンやってお仕事しましょうか。
その前に配送してもらう荷物の荷ほどきと整理だけどね。
ちなみに兄弟姉妹の喧嘩はお母さんが物理で止めました。
たぶん最強人物の一人、人間をやめてるわけではなく姉弟姉妹をあしらえる腕前の持ち主。
刹那さんの最初のお師匠様です。




