お買い物1~大人買いは罪の味~
というわけで、家が完成したので私達は買い物に来ていた。
箪笥とかの基本的な家具はおまけで作ってもらえたんだけど、小物がないからね。
あと食料も分解してしまったからご飯が無いのよ。
ブラックカードの出番ね。
まず縁ちゃんが欲しがっていたもちにゃんグッズ。
「このお店にあるもちにゃんぐっず全部ください」
「ぜ、全部ですか⁉ しょ、少々お待ちください!」
「あ、支払いはカードで」
「ぶ、ブラックカードぉ⁉」
「あと問屋さんにあるもちにゃんぐっずも取り寄せお願いできます」
「今店長呼んでまいります! あ、どうぞこちらへ! 粗茶ですが!」
ふむ、なかなかいいお店ね。
買い物に来ただけなのにお茶まで用意してくれて、しかも店長が直々に注文を受けてくれるとは思わなかったわ。
「縁ちゃん、私達は先に他も見てるけれどどうする?」
「他は特に必要ない。だからお会計の時だけお願い」
「わかったわ。あぁ、縁ちゃんの着替えとか買っておくから。いつもと同じ感じでいい?」
「任せる」
縁ちゃんの衣類は基本的に私かお母さんが買いに行っている。
この子、そろそろ20歳になるのに下着も服も自分で買いに行こうとしないのよね。
ほっとくと小学生の頃の体操着とか着てるから。
あとひたすら楽な格好をしたがるからジャージやスウェットが多い。
さすがに余所行きにそれはまずいので私のおさがりとかあげてたけど、結局着られないまま今の歳になっちゃったのよ。
基本私と永久姉と一会ちゃんの小学生と中学生の頃の服ばかり着てた。
いわゆる流行遅れなんだけど、縁ちゃんはそれを見事に着こなすセンスがある。
だけどそのセンスをゴミ箱にダンクシュートするタイプの子、買い物は面倒だから通販で済ませるし、VR試着が面倒だから通販でもファッション系を開いたことがない。
というわけでまず向かったのは服屋さん。
「SサイズとMサイズのレディース服全部ください」
「ぜ、全部ですか⁉」
「あ、配送お願いします。支払いはカードで」
「かしこまりました! 全て承らせていただきます!」
幸いお風呂が地下に行ったことで諸々余裕ができた。
しかも地下は5階まであって、2階は物置スペースになることになった。
地下5階にはなぜか運営さんがロボット置いていったのよね、クリスちゃんがうきうきでシミュレーターで遊んでた。
今度公安で引き取りに来るらしい。
「このサイズの服を見繕ってください。年齢は19歳、女の子で見た目はこれ、カードで一括払いで」
別のお店では縁ちゃんの写真を見せながら余所行きの、まぁドレスとまではいかないまでもフォーマルな服を一通り注文。
「はい、かしこまりました。一通り並べさせていただきます」
「あ、全部ください」
「かしこまりました」
そしてお待ちかね、下着だけど……。
「5セット3000円、これでいいわね」
「……せっちゃん、下着適当過ぎない?」
「私に下着選びをしろというのがそもそも無茶ですよ。そういうのは妹の一会ちゃんか永久姉の領分です」
ちなみに私服のセンスは一会ちゃんが壊滅的で、フォーマルな服のセンスは永久姉が壊滅的。
このご時世に金色に光るスーツを購入しようとした女の異名は伊達じゃないし、全身もちにゃんの服で出社しようとした一会ちゃんも伊達じゃない。
あのね、肩パッドみたいにもちにゃんがくっついてるし、スカートは集合体恐怖症の人が気を失うんじゃないかって言うレベルで拳サイズのもちにゃんが縫い合わされたスカートだった。
アフリカでそんな感じの生物見たけどさ、まさか実家で遭遇するとは思わなかったよね。
アフリカのは美味しかったけど布と綿はあまり美味しくないから。
「……せっちゃん、縁ちゃんの3サイズ」
「どうぞ、端末に」
「……見たまんまの数値だけど、スレンダー系なのね」
「縁ちゃんと一会ちゃんはスレンダー系ですね」
なお体型の問題で言うならお母さんもスレンダー系、お父さんががっしり系なので私と永久姉がお父さんの血を色濃く継いでいると言える。
一会ちゃんと縁ちゃんはお母さんの血が濃いのよね。
男性陣だと刀君がお母さん側で、羽磨君と辰兄さんがお父さん側。
「えーと、あの子のサイズで見た目だと……この辺かしらね」
祥子さんがてきぱきと下着を選んで行く。
ふむ、可愛らしいけれど年相応のものが多い……。
今私がはいてるパンツよりもかわいいわ。
私の下着も選んでもらいましょう、永久姉に1000年の恋も冷める下着と1万2千年の恋も冷める食欲と言われた私は伊達ではないからね。
なお刹那さんが手に取ったのはペイズリー柄とヒョウ柄を混ぜた謎デザイン、そしてモザイク柄です。
逆に言うと普段の刹那さんの下着はダサい、下着泥棒が二度見した後やべーもん見たと思いながら無言で立ち去るレベル。
うっかりパンチラしたらいろんな意味で三度見されるレベル。




