戦闘配置
てなわけで、やってまいりました戦争当日。
右を見れば地面が3、敵兵が7という状況。
左を見れば地面が2、敵兵が8という状況。
というかどこ見ても大体こんな感じ。
派手に戦争吹っ掛けて回った結果、吹っ掛けた相手だけじゃなく同盟領地まで参加してきたのよね。
おかげでクエスト情報画面がすごいことになってる。
えーと、喧嘩売った領地は30くらいだけど戦争参加領地はその5倍かな?
私一人だったら面倒になって自爆してた。
領民は既に避難してるか、敵兵に媚び売りに行っているか、あるいは敵兵のところでご飯とか売って商売してる。
なかなかにたくましいわね、鍛えてあげたらいい兵士になれるかもしれないわ。
「どうするんです? これ」
「どうもこうも、殲滅戦じゃないの?」
「殲滅されるのがこちらなのでは?」
「いやいや、司馬さんとテンショーさんがいるからそれはない。ゲリさんもいるし、私もいる、勝つ方法は山ほどあるわよ」
問題は勝ち方なのよね……これだけの大群、逃がしたら面倒になりそうなのがちらほら。
多分どこかの領地の間者だとは思うんだけど、ある種の威力偵察も兼ねていると思う。
敵兵の数はおよそ3億、それを4人で殲滅するのは容易いけれど問題はプレイヤーなのよね。
戦争参加呼びかけた結果、ほとんどのプレイヤーが敵につきました。
えっとね、魔王ロールプレイのせいで「胸糞悪い」という理由でだいぶ嫌われてしまったみたい。
あとは個人的に私と戦いたいって人とか、こっちに着くよりも報酬が美味しいって理由で敵に回った人とか、さいころ振って決めたって人とか色々いた。
なおそんな中でも数少ない私陣営に参加してくれたプレイヤーの一人はギルド検証組の一員であるバロールさん。
種族は悪魔オンリーの怠惰系列、戦闘は苦手だけど情報収集に関してはなかなかの切れ者らしい。
ちなみに他のギルド員は各領地の戦力として出向いているので双方動向全部筒抜けになってます。
まぁさすがにギルド間だけでのやり取りであって、密偵をするわけじゃなし、彼らはただひたすらに情報が欲しいだけなのよ。
気持ちはわかる、探検家と一緒にアマゾンの奥地で未確認生物見つけた時とかすごく盛り上がったから。
うん、美味しかったわ。
「さて、せっかくだから配置決めましょうか。ここは最西端、西には海が広がっているから守る必要はないけれど一応ゲリさんが担当して見張りをお願い」
「うっす」
子竜化したゲリさんがとてとてと歩き回りながら返事をしてくれる。
……可愛いわね、ペットにしたい。
いざという時は非常食にしても罪悪感薄そうだし。
ちなみに西の海は鉄さびのような赤色で、かすかに鉄の匂いがする。
飲んだから間違いないけど血液、味から察するにAB型のRH-ね。
「正面は私が、といいたいんだけど司馬さん行きたいですよね」
「無論だ。最も激しい戦場こそが好ましい」
「逆にテンショーさんは数が少ない方がいい」
「えぇ、人前は苦手ですので」
「というわけで正面にあたる東方は司馬さん、逆に一番数が少ないけど攻勢が激しいと思われる北方はテンショーさん、数も質もそこそこの南は私、バロールさんは逐次情報伝達をお願いします」
「任せよ」
「ふふ、腕が鳴りますわ」
「お任せください」
うんうん、三者三様意気揚々。
少ない戦力でも士気は高いし、全員猛者だからね。
それに最悪の場合この街が攻め滅ぼされたところで私はたいしてダメージ無いのよ。
まぁ支配地増えたら面倒も増えそうだけど、この戦争の参加報酬の一つに好きな領地って言うのを混ぜておいた。
要するに勝った場合、どっかしらの領地の統治権あげるよって約束。
司馬さんは早くも地上での戦闘に飽きてきたみたいだから歯応え求めて地獄巡りの最中。
拠点があると嬉しいなという感じで、テンショーさんは前のイベントで目立ちすぎて謎のファンクラブが結成されたことで地獄に姿を隠しているとか。
ゲリさんはタクシーで荒稼ぎしたから拠点を構えて悠々自適な生活を求めて、バロールさんは拠点を得た場合の特典とかを調べたいという理由での参戦。
結果、みんな求めるものがあってそれを手に入れる最短ルートがこれという事で張り切っているのよ。
「……糞領主様のご友人方はなぜこんなにも……いえ、類は友を呼ぶといいますからね……頭のおかしいのにはそういう人が集まるんでしょう」
「マリアンヌ、私はいいけど司馬さんとテンショーさんのファンクラブはそういうこと言うと殺しにかかってくるから気をつけなさい」
「はぁ……司馬様には勝てそうにないので気を付けます」
「テンショーさんのファンクラブ、数の暴力で責めてくるわよ? おおよそだけどここに集まっている敵兵と同じくらいの数が、死をもいとわずというか死んでも蘇ってゾンビのごとくひたすら突撃かましてきて勝てないとわかったら街のあちこち爆破したり放火したりと嫌がらせに変えるくらいには。しかも昼夜問わず」
「……誠に申し訳ございませんでした、このような頭のおかしいゴミ領主と同列に扱ってしまった事を深くお詫びいたします」
マリアンヌがテンショーさんと司馬さんに土下座をかます。
うん、ナチュラルに私が罵倒されているのはいいけどさ、この子の手のひらもよく回るわよね。
生きぎたないという感じもするけれど、それもまた良しとするべきかな。
次回「大惨事地獄大戦」お楽しみに。
刀君の受難
「くそっ、恐山はマジでやばいのいるな……」
「鬱陶しい……デートの邪魔をするな!」
「……一喝で幽霊も妖怪も吹っ飛ばす恋人が心強いやら怖いやら」




