リアルとバーチャル
そこから3日、まずは簡単にこなせる刀君のお仕事を手伝った。
具体的に何をやったかと聞かれると難しいけどね、曰く付きの物品を持っている人のところ周って回収したり壊したりお祓いしたり、たまに食べたり。
いやぁ、まさかこのご時世に蟲毒やって御しきれなくなってなんて家があるとは思わなかったわ。
意外と毒虫も美味しいわね。
あとは村正が何本か手に入ったのと、藁人形が多数、夜中に動き回る人形は木っ端みじんにした。
まーびっくりしたのは日本人形が動き回るというのはよく聞くけど、まさかマネキンが動き回るとはね。
しかも軍隊式格闘術使えるマネキン人形とは恐れ入ったわ。
最後ジャーマンスープレックスで頭砕いてから順番に手足砕いて、最後に胴体をぶち抜いたらおとなしくなったけど。
あとはもう特筆するようなことはなし、公安でも私の生存を公表したという事でブログも更新したりした。
久しぶりの更新だったのと、死亡説が流れていたこともあって「生きとったんかわれぇ!」というコメントがちらほら見えたわね。
あの程度の事故で死ぬと思われてたのがちょっと悔しい。
それはともかくとして都内でできる実家のお手伝いは完了、実家経由と永久姉経由できた公安のお仕事としてのものの二種類があったんだけど、どちらも問題なく終わったわ。
数は多いけど内容は大したことないのが多かったしね。
その割にはお給金がいいのが気になるけど……まぁ祥子さんが永久姉のところから借りてきた人達の実力を見るにこれでも結構きついのかもしれないわね。
特に蟲毒は現存している資料が少なすぎて成功率はもちろん、解呪法も伝わっていない秘呪だから手に負えないという人もいるでしょう。
だったら蟲毒の手順にのっとって、私が食べて勝ってしまえばいいだけのことだろうと思ったけど成功みたい。
永久姉からも変な感じはしないって言われたし。
あー、でもうずめさんがちょっと苦笑いしてたのはなんなんだろ。
まぁいいや。
あとの公安からのお仕事は別途日程を作ってやろう、時間もかかりそうだし。
そんなこんなでそろそろ船旅も終わったころかなと化けオンにログイン!
「ふぅ……おはようケリー」
「おはようございます」
「もう港かしら。それとも航海中?」
「港で船入れの順番待ちをしているところです。先日のリヴァイアサンとバハムートのいざこざが原因で少々港が混みあっているので」
「へぇ、あれってそんなに大ごとだったんだ」
「大ごとどころか、下手したら国が一つ二つ消えてもおかしくない出来事でした……」
「そうなんだ、美味しかったから群生地があるなら攻め込もうかなと思ってたのになぁ……」
国に被害が出るというならうかつなことはできないわよね。
私としてはいろんな街を練り歩いて、そして食べ歩きをしたい。
生産で作れる料理を増やしたいとも思うし、そのためにレシピを集めるのも楽しい。
だから人に疎まれる立場になるというのはどうにもね……。
故に自爆もするつもりはない。
よほどのことがない限り!
『リヴァイアサンの種族取り込みが完了しました。種族:海龍を取得。雷属性弱点のデメリットレベルが5上昇します。異形化の際に海龍の鱗が反映されるようになります。潜れる水深が変化しました』
っと、アナウンス放置してたら音声でお知らせしてきた。
こういう機能あるのね……うっかりした時には便利だけど、取り込み中だとうるさいわね。
それにしても潜れる水深……確かこれもRFBに関係していた部分よね。
肉体強度はさすがに反映されないからマスクデータの防御力依存なんだけど、潜れる深さや息を止めていられる時間、高山病とかそういうのになりやすいかどうかとか、体質の細かいところまで結構カバーしてくれる。
その一つ一つを設定でいじると時間がかかるから基本的に身体能力以外はゲームシステムのままというデフォルトが好まれるんだけど、刀君とかは種族が人間だからRFB全部オンにした方がゲーム内では動きやすいらしい。
あの子、褌姿で富士山登頂して下山してを1日の間に5回繰り返したからね。
他には司馬さんも人間ベースだからその辺りは全部オンにしているらしい。
クリスちゃんはどうだったかな……化けオンあまり遊んでないし、RFBを使わない時もあるからね。
ゲームは純粋にゲームとして楽しみたいって子だから、必要に応じて使い分けてる。
多分デフォルト設定。
そして我らが祥子さんだけど……最近とてもお忙しい様子なのでゲームの話題なんて振る暇がないというかなんというか……。
エナジードリンク山積みにして公安に籠っているわ。
縁ちゃんがその隣でサポートしているって言うのがちょっと驚き、あの子は普段そんなことしないでお昼寝でもしてるんじゃないかと思ってたけど、縁ちゃん本人に聞いたらちょっと前まではそうしていたらしい。
そしたら限界が来たのか祥子さんの堪忍袋の緒が無残な音を立てて飛び散ったとかなんとかで、すさまじいお説教を受けることになったらしい。
立場上縁ちゃんはアルバイトだから、上司である祥子さんはお説教をするだけの理由と立場があるという事で。
結果として今は有能な助手兼秘書という立場に収まっている。
縁ちゃん……祥子さん相手に勝てる人何てこの世にいないのよ。
「あ、入港許可が出たようです。港に入れますよ」
「あら、ちょっと考え事してる間に……どんな街かしらね」
ふーむ、気が向いたらゲリさん辺りを大陸まで招いてみましょうかしら。
あと検証班さんもいいかもね。
5章エピローグ的な感じです、次掲示板書いたら5章は終わり6章。
なお刹那さんは今後も作者の胃を攻撃してくる模様。




