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化け物になろうオンライン~暴食吸血姫の食レポ日記~  作者: 蒼井茜


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運命の酒

 ぶらぶらーと街中を歩き回りながらちょっとお高いお酒とかを買い、そして我慢できずにご飯屋さんへ。

 新鮮な海の幸は最高ね……運営はよくぞ醤油を用意してくれたわ。

 他のゲームだと材料探しから全部やらされたりするからね。

 魚醤じゃなくてちゃんとした大豆の醤油というのがポイント、いやぁ……美味しいお刺身だった。

さて、いい感じに日も暮れてきたわね。

そろそろお目当てのお店に行きますか。

 海辺をあちこち見渡しながら歩いていると噂の「漁師の宴」というお店を発見、さっそく突撃。


「こんちゃー、ギルフォードさんっていますか?」


「誰だてめぇ……」


「ギルフォードさんに何の用だぁ?」


「女一人で来るとか正気か?」


 ほほう、絡み方が昼間の酒場と違う。

 なるほどなるほど、細かいところにこだわっているわね。

 あっちはごろつきのたまり場に見せかけて人払いをする感じだったけど、こっちは最初から拒絶しているわ。

 わかりやすくていいわね。


「今日この街に着いた魔の者よ。この国で顔役となっている人がいるって聞いたから挨拶に来たの。これはお土産」


 酒瓶をいくつか取り出すと何人かが顔を見合わせて、そして何か相談をしているようだった。

 えーと、耳を澄まして……怪しい、誰がもらした、上玉、レオンへの贈り物にちょうどいい、とりあえず頭の意見を聞こう……なるほどね、私を疑うのは当然。

 その情報の出どころは掴めていないのがわかるけど、うまく取り入ればレオンとかいう悪魔のところにたどり着けると。

 そして頭というのはギルフォードのことだとして、その意見を聞くという事はこちらが付け入る隙はあるわけだ。


「そこで待ってな」


「あ、じゃあ何か注文してもいいかしら。お腹減っちゃって」


「ちっ……カウンターにいろ」


「はーい。なんでもいいからおすすめの海鮮料理ちょうだい」


 言われた通りカウンターに腰かけて注文をするとドンと目の前にお皿が置かれる。

 中には透明なスープと、なんかいろんな魚介類がごった煮にされてる。

 ふむふむ、とりあえずスプーンで一口……。


「ふおぉ……すっごい濃厚なスープ。味付けは……もしかして塩だけ? たくさんの魚介を煮込んだだけでこんなに味が出るのね……」


「わかるか」


「えぇ、すごいわ……海鮮のうま味もそうだけど、それをここまで仕上げたあなたの腕も相当。下手に真似しようとしても塩辛いだけのごった煮ができるだけ。それを見事にスープに仕立てている、調和の取れた味……こんな芸当ができる人ほとんどいないわよ」


「ふっ、漁師の宴秘伝のレシピのおかげさ」


「だとしてもその都度変わる材料に対して、適切な味付けができるのは間違いなくあなたの腕前よ。私はあなたを尊敬するわ」


「……まいったな、こんな所で生まれてこうもまっすぐ褒められたのは初めてだ。どうしてなかなか、うれしいもんだな」


「美味しい料理はみんなを幸せにするのよ。あなたは誇るべきだわ」


「へっ、言いやがるぜ……だがありがとよ」


 厨房にいたおじさんとなんか友情が芽生えた。

 もちろんその間もスープを飲みつづけた。

 そしてお皿が空っぽになると同時に次が用意される、最高ね……リピーターになりたいわ。

 いっそこの街掌握して通いつめようかしら……。


「おい、食ってるところかもしれんが頭が会うそうだ。ついてこい」


 むっ、食事を中断されるのは嫌いなのよね。

 でもまぁ、きりもいいしちょっと席を外すくらいならいいでしょう。


「またね親父さん、美味しい料理ありがとう」


 そう言ってそこそこの金額を置いて席を立つ。

 さて……ギルフォード、どんな相手かしらね。


「おう、土産を持ってきたんだってな。何を用意したんだ」


 通された先では酒瓶から度数の高そうなお酒をがぶ飲みする男性……なんというか、想像とは少し違うわね。

 海賊をイメージしていたから筋肉質で太めの身体、不健康そうな顔色かなと思ってたんだけどそんなことはない。

 筋肉質だけどいわゆる細マッチョ、肌は日に焼けているけど不健康そうではない、顔つきもおじさんっぽいかと思っていたら普通のお兄さんって感じ。

 なんだろ、ターザンみたいな?


「この街で買ったお酒、それなりにいい物をそろえたつもりよ」


「ちっ、お上品な酒は口に合わねえんだよ」


「あら、じゃあ少し味を変えてみる?」


「あ?」


 んー、買ってきたものの中でも一番高いのは蒸留酒系だったわね。

 とくにウォッカっぽいのは消毒にも使えるからか結構いいお値段だったわ。

 まぁ上品なお酒とはいいがたいけれど、今は酒精によるパンチでごまかしましょう。


「取り出したるは薬草のお酒です」


「俺それ嫌いなんだよ……」


「えぇ、香りだけで苦手とする人は多いわね。でもね、こうすると……」


 持ってきたレモンっぽい果物を絞り、最初の街で流通し始めた炭酸水を混ぜる。

 どうにもドワーフの国特産品だったんだけど、ガラス瓶にいれてコルクの代りにゴム栓を作った人たちがいて輸出ができるようになったとか。

 ゲームでも知識チートってできるものなのね、最近のゲームはすごいわ。


「あとはこれを混ぜるだけ……どうぞ」


「どうぞってなぁ……」


 恐る恐ると言った様子でお酒、なんちゃってモヒートに口をつけるギルフォード、さてどうなるかしらね。


ちなみに作者は下戸なのでお酒は一切わかりません。

おちょこ一杯のお酒でぶっ倒れます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 異常な量食べるけど味利きは確かなので暴食じゃなくてフードファイターだよ!異常な量食べるけど! 異常な量食べるけd(蔓で首刎ね
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