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彼氏(仮)出来ました  作者: 卯月いちこ
6/16

彼氏(仮)出来ました

かなり遅れました‼すみません‼

自分でもびっくり‼

時が過ぎるの早すぎる(-人-;)

取り合えず昼休みも終わるので、放課後の図書委員活動の時に、また話し合う事になり。


「じゃあ、またね」

「うん。またね」


2人は教室近くで別れた。半田は2組で藍香は4組だ。


(私、彼氏出来ちゃった!()()だけど。初の彼氏が偽物か……笑えるね)

思いもしない展開に、どこか現実味が無い。


「ご苦労様」


と、博美に言われ、ただいまと返し席につく。

博美は何か喋りたそうだったが、もう先生が来てしまい残念そうに前を向く。

(博美には喋っても良いよね?)

きっと驚くに違いない。何せ自分が一番驚いているのだから。

そして、やはり授業はさっぱり入ってこなかった。


結局、藍香は、とても休憩時間で話せる事ではなかったのと、半田に相談してからだと思い博美には喋らなかった。

放課後は博美も演劇部の部活動がある為、名残惜しそうに別れた。

(さてと、行きますか)

藍香は教室を出ると、廊下で待っていた半田が、よっと手を上げる。


「図書室でも話しにくいから、一緒に帰りながらどうかな?」

「確かにね。分かった」


藍香が了承すると、半田はふと


「そう言えば、呼び方どうする?」


と、相談してきた。


「友達には藍ちゃんって呼ばれてるけど、半田君は?」

「カズか和樹かな」

「呼び捨てはハードル高いなぁ。和樹君だな」

「じゃあ、藍香さん?」

「だね!決まり!」


そうこうしてる間に図書室に着いたので、昼休み同様に半田はカウンターで受付、藍香は返却本の戻しと棚整理をこなしていった。すると、丁度、借りたい本が戻ってきていたので、終りがけに半田の所へ持って行った。


「へー。三嶋さん『指輪物語』好きなんだ」


半田は、もう忘れて名字呼びだ。

(すぐには難しいよね)


「読んだことある?」

「無いよ。読んでみようかな」

「面白いよ!お勧め!何なら初めの持って来ようか?」

「本当!ありがとう。借りてみるよ」


こういうやり取りは楽しい。同じ本好きならではだ。藍香は、いそいそと本を取りに行く。

すると、友達で2組の図書委員の南原早恵(なんばらさえ)が、びたっと、くっついてきた。背は藍香よりは少し大きい、ツインテールの眼鏡女子だ。


「いつの間にパンダ(半田)と仲良くなったのよ?」

「えっ?いや、何か~たまたま?」

「ふーん、()()()()ね」

「気さくな良い人だよ」

「ほうほう」


早恵は、にんまりと笑う。

(だめだ!完全に誤解されてるよ!でも……誤解で……良いのか?)どうすれば正解なのか分からなくなり、(ま、いっか)藍香は考える事を放棄した。


「もー!本を持ってくから」


藍香は早恵を退()けると、本を見つけて半田に持って行く。


「はい。どうぞ」

「ありがとう」


半田は、にこっと笑うと本を受け取った。

藍香も釣られて笑顔になる。

半田の隣の2年の先輩が、そんな2人をちらりと交互に見た。藍香は何故か少し気恥ずかしくなり、そそくさと帰り支度をする。

半田を見ると、まだ終われないようで口パクで『廊下で待ってて』と、言われた。

(何か、内緒で付き合ってるみたいだな)

全然、違うのだが頬が少し緩む。藍香はそれを押さえつつ、同じく作業が終わった早恵と、挨拶をして図書室を出た。


「やっぱり!何か隠してるでしょ」

「はぁ!?無い無い」


藍香は早恵の探りを交わしつつ別れると、教室に荷物を取りに行き、廊下で校庭を見ながら待っていた。


「ごめん。お待たせ」


半田が慌てて、やって来た。


「全然、良いよ。お疲れ様!」


藍香が(ねぎ)らうと、参ったよと、半田は頭を掻いた。


「いやさ~、先輩に付き合ってるのかって聞かれちゃったよ」

「えっ!やっぱり!」

「やっぱりって?」

「何かさっき、勘ぐってる感じだったから。私も早恵ちゃんに怪しまれたし」

「そーなんだ……まーでも、それで良いのか」

「半田君の幼馴染みだけって訳にもいかないし、あっ!」

「えっ?」


何かあったのかと驚く半田に


「私もだけど、さっき図書室で三嶋さんって言ってたでしょ。呼び方、決めたのにさ」


唇を尖らせて言う藍香に、半田は、ぶふっと吹き出して笑った。


「そういう所が良いよね」

「へ?」

「帰ろっか、()()()()

「お、オッケー。()()()


藍香は指摘をしておいたくせに、少し顔が赤くなる。

(いや、こういうの慣れてないから!)


外に出て自転車置き場に行くと、半田は、また藍香の鞄も自転車のかごに入れて並んで歩く。


「ありがとう」

「良いよ。今日はどうする?あんみつ?」

「うーん……お好み焼きは?」

「おぉ!良いね!」


喋りながら歩いていると、サッカーグラウンドから

、叫び声と騒がしい声がしてくる。


「何だろ?」


藍香が見てみると、誰かが怪我をしたようだ。

男子が倒れてメンバーが囲んでいた。


「あちゃー大丈夫かな?」

「本当だね。何ともないと良いけど」


2人は呑気にそう言うと歩き出した。


まさか、それが2人に関係してくるとは露程(つゆほど)も思わずに。


やっと本題に入りました。

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