ダブルデート②イルカショーでトラブル
明けてしまいました!!
今年もよろしくお願いします!!
更新する気があるの?っていう位に遅くなり、すみません!
今年はコンスタンスに更新するぞ!!
「前列って大丈夫?!」
イルカショーで配られた青いペラペラのビニールカッパを着た藍香は不安気に和樹を見る。和樹はにっこり微笑むと
「楽しみだね!」
と、無邪気に返す。(嫌だなんて言えない……)
藍香は項垂れる。夏ならまだしも、こんな寒い季節に濡れるなんて絶対に嫌だ。何で前列なんて危険度MAXな席なんか選ぶんだ。心の中で文句を言っていると
「大丈夫よ。心配性ねー。近いから楽しいのに」
選んだ当人の美鈴が和樹の肩越しに顔を出し、小馬鹿にしたように笑った。
(盛大に濡れてしまえ!!)
藍香は思わず美鈴を呪う。
「こら、美鈴。そんなこと言っていると、ずぶ濡れになるぞ」
美鈴の隣にいた裕也がやんわりと嗜める。
藍香は、よくぞ言ってくれたと喜んだのも束の間
「えー!その時はユウが守ってくれるんでしょ」
美鈴が裕也に可愛くしなだれる。
「そ、そうだね!勿論!」
裕也ときたら、すっかり骨抜きだ。
(だめだ、こりゃ)藍香はがっくりくる。
そうこうしてる間に飼育員さんが4人ほど出てきてイルカショーが始まる。
「皆さん、こんにちわー。これからイルカショーが始まります。前の席の方は濡れますので、それもまた、お楽しみくださーい」
濡れるありきの飼育員のお姉さんの説明。藍香はしぶしぶ覚悟を決めた。
「それでは、イルカ達の登場でーす。先ずは中央のボールに、ご注目。技が決まりましたら拍手をお願いしまーす」
高い位置にあるボールを3頭のイルカが空高く飛んで、くちばしで当てる。プール中央だったので水しぶきは大丈夫だ。確かにイルカは可愛い。でも、こんなに、びびりながら見たくなかった。
そんな藍香の心情などお構いなしに、イルカ達は次々と華麗にショーを盛り上げる。
回転して飛びボールを尾びれで当てる。(おーっ!!)
次は、フラフープを投げられ立ち泳ぎで、くちばしで回す。(可愛いーっ!!)
そして今度は一斉に勢いをつけて潜ると泳ぎだし、3頭一緒にジャンプ。(すごーっ!)
また一斉に潜って泳ぎ回転してジャンプ。(うおーっ!!)
「凄いね!」
「本当だね!」
和樹に笑顔で話しかけられると、藍香も水しぶきの不安を忘れ笑顔で頷く。
すっかり魅了されて見入っていると、1頭のイルカが目の前で思い切りダイブした。(しまったー!)藍香は固まった。そして盛大に水しぶきが起こった。
その時、和樹が藍香に被さった。
(ーえっ?)
向かい合う形で、見上げると間近に和樹の顔が。
(近い近い近いー!)
「大丈夫?」
和樹に優しく聞かれ、藍香は顔を真っ赤にしながら激しく頷く。(違う意味で大丈夫じゃなーい!)
心臓がバクバクする。
「えっと、ごめん。つい咄嗟に」
和樹も少し顔を赤くすると元に戻る。
(びっくりしたー!びっくりしたー!って、あ、お礼言わなきゃ!)藍香は、うつ向いている和樹を覗き混んだ。
「あ、ありがとう!和樹君は大丈夫?」
「全然、大丈夫!」
照れ合う2人に
「全然、大丈夫じゃないんですけど」
美鈴が何故か、カッパの頭巾を被らずに濡れている。
「丁度、イルカが来たからバックに写真を撮ろうとしたら、こんな事に……」
裕也が申し訳なさそうに言った。
「頭に被らないからだろ」
和樹が呆れて言うと
「だって、可愛く撮って貰いたかったんだもん!」
美鈴はむくれて、ぶつくさ言いながらハンカチで濡れた髪を拭いている。
(これって私が願ったから?言霊、怖っ!)
藍香は何か悪いことをしたような、ざまあと思うような複雑な気持ちになる。
当のイルカ達は舞台に滑り上がり、尾びれを上げて得意気に鳴き声を披露し拍手を貰っていた。
イルカショーも終わり、美鈴は髪を水で拭き直したいとトイレに。藍香も、ついでに行くことにした。
「あーもう最悪」
トイレを済ませると、美鈴が鏡を見ながら濡れたハンカチで髪を拭いていた。
「大丈夫?」
藍香は一応、聞いてみる。
「どーせ、ざまあとか思ってるんでしょ」
美鈴は鏡越しに藍香を睨んだ。
「そんなこと無いよ。本当に大丈夫?濡れたの髪の毛だけ?」
鋭いなと思いつつ藍香は心配しておく。隣で手を洗っていると、美鈴は胡散臭げな目で見てから溜め息をつき、また鏡で髪の毛を整える。
「まーいいけど。髪の毛だけよ。海水だから参ったわ」
「大変だったね」
「本当、ついてなかったわ。あーもう!こんなもんかな。さ、戻ろっか」
戻ると、和樹と裕也はベンチでスマホを見ながら爆笑していた。
「お待たせー。何、笑ってんの?」
美鈴は、そう言うと駆け寄り、2人の間に割り込む。
「おわっ!無理矢理、入り込むなよ!」
「カズ、うっさい!」
美鈴が文句を言った和樹にデコピンをして舌を出す。痛がる和樹を見て、裕也が笑いながらスマホを美鈴に見せる。
「ほら、美鈴の」
「何これー!最悪!超ブスじゃん!消して消して!」
美鈴がスマホを奪おうとするが、裕也は取られないように抱え込んだ。
「カズにも送ったから無理。それに、こんな気を抜いた美鈴、可愛くて消したくない」
「えー……もー可愛く無いよ。あ!カズは消してよね!」
「どうしようかな」
「消して!」
(えーと、これは入れないなー)
藍香は、3人だけの幼馴染みの空間を見せつけられている感じがして、立ち止まっていた。
そこへ笑いながら和樹がスマホを持って来た。
「これ見てよ」
そこにはイルカと水しぶきと呆けた顔の美鈴が写っていた。
「これはナイスショットだね!」
藍香は素直に誉めたのだが、和樹は爆笑する。
「でしょ!藍香さん分かってるね!」
「どこがよ!どういう意味でよ!」
裕也は喜び、美鈴は深読みして突っ込んでいる。
和樹は笑いながら涙目で
「あーやっぱり藍香さんて面白いね!」
「何か変なこと言ったのかな?」
藍香は戸惑うが疎外感は無くなっていた。
イルカショー、YouTubeで見ました。素晴らしい!本当、賢いですね!
゜+.゜(*´∀`)b゜+.゜