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彼氏(仮)出来ました  作者: 卯月いちこ
15/16

ダブルデート②イルカショーでトラブル

明けてしまいました!!

今年もよろしくお願いします!!


更新する気があるの?っていう位に遅くなり、すみません!

今年はコンスタンスに更新するぞ!!

「前列って大丈夫?!」


イルカショーで配られた青いペラペラのビニールカッパを着た藍香は不安気に和樹を見る。和樹はにっこり微笑むと


「楽しみだね!」


と、無邪気に返す。(嫌だなんて言えない……)

藍香は項垂れる。夏ならまだしも、こんな寒い季節に濡れるなんて絶対に嫌だ。何で前列なんて危険度MAXな席なんか選ぶんだ。心の中で文句を言っていると


「大丈夫よ。心配性ねー。近いから楽しいのに」


選んだ当人の美鈴が和樹の肩越しに顔を出し、小馬鹿にしたように笑った。

(盛大に濡れてしまえ!!)

藍香は思わず美鈴を呪う。


「こら、美鈴。そんなこと言っていると、ずぶ濡れになるぞ」


美鈴の隣にいた裕也がやんわりと(たしな)める。

藍香は、よくぞ言ってくれたと喜んだのも束の間


「えー!その時はユウが守ってくれるんでしょ」


美鈴が裕也に可愛くしなだれる。


「そ、そうだね!勿論!」


裕也ときたら、すっかり骨抜きだ。

(だめだ、こりゃ)藍香はがっくりくる。


そうこうしてる間に飼育員さんが4人ほど出てきてイルカショーが始まる。


「皆さん、こんにちわー。これからイルカショーが始まります。前の席の方は濡れますので、それもまた、お楽しみくださーい」


濡れるありきの飼育員のお姉さんの説明。藍香はしぶしぶ覚悟を決めた。


「それでは、イルカ達の登場でーす。先ずは中央のボールに、ご注目。技が決まりましたら拍手をお願いしまーす」


高い位置にあるボールを3頭のイルカが空高く飛んで、くちばしで当てる。プール中央だったので水しぶきは大丈夫だ。確かにイルカは可愛い。でも、こんなに、びびりながら見たくなかった。

そんな藍香の心情などお構いなしに、イルカ達は次々と華麗にショーを盛り上げる。


回転して飛びボールを尾びれで当てる。(おーっ!!)

次は、フラフープを投げられ立ち泳ぎで、くちばしで回す。(可愛いーっ!!)

そして今度は一斉に勢いをつけて潜ると泳ぎだし、3頭一緒にジャンプ。(すごーっ!)

また一斉に潜って泳ぎ回転してジャンプ。(うおーっ!!)


「凄いね!」

「本当だね!」


和樹に笑顔で話しかけられると、藍香も水しぶきの不安を忘れ笑顔で頷く。

すっかり魅了されて見入っていると、1頭のイルカが目の前で思い切りダイブした。(しまったー!)藍香は固まった。そして盛大に水しぶきが起こった。

その時、和樹が藍香に(かぶ)さった。

(ーえっ?)

向かい合う形で、見上げると間近に和樹の顔が。

(近い近い近いー!)


「大丈夫?」


和樹に優しく聞かれ、藍香は顔を真っ赤にしながら激しく頷く。(違う意味で大丈夫じゃなーい!)

心臓がバクバクする。


「えっと、ごめん。つい咄嗟(とっさ)に」


和樹も少し顔を赤くすると元に戻る。

(びっくりしたー!びっくりしたー!って、あ、お礼言わなきゃ!)藍香は、うつ向いている和樹を覗き混んだ。


「あ、ありがとう!和樹君は大丈夫?」

「全然、大丈夫!」


照れ合う2人に


「全然、大丈夫じゃないんですけど」


美鈴が何故か、カッパの頭巾を被らずに濡れている。


「丁度、イルカが来たからバックに写真を撮ろうとしたら、こんな事に……」


裕也が申し訳なさそうに言った。


「頭に被らないからだろ」


和樹が呆れて言うと


「だって、可愛く撮って貰いたかったんだもん!」


美鈴はむくれて、ぶつくさ言いながらハンカチで濡れた髪を拭いている。

(これって私が願ったから?言霊、怖っ!)

藍香は何か悪いことをしたような、ざまあと思うような複雑な気持ちになる。

当のイルカ達は舞台に滑り上がり、尾びれを上げて得意気に鳴き声を披露し拍手を貰っていた。



イルカショーも終わり、美鈴は髪を水で拭き直したいとトイレに。藍香も、ついでに行くことにした。


「あーもう最悪」


トイレを済ませると、美鈴が鏡を見ながら濡れたハンカチで髪を拭いていた。


「大丈夫?」


藍香は一応、聞いてみる。


「どーせ、ざまあとか思ってるんでしょ」


美鈴は鏡越しに藍香を睨んだ。


「そんなこと無いよ。本当に大丈夫?濡れたの髪の毛だけ?」


鋭いなと思いつつ藍香は心配しておく。隣で手を洗っていると、美鈴は胡散臭(うさんくさ)げな目で見てから溜め息をつき、また鏡で髪の毛を整える。


「まーいいけど。髪の毛だけよ。海水だから参ったわ」

「大変だったね」

「本当、ついてなかったわ。あーもう!こんなもんかな。さ、戻ろっか」


戻ると、和樹と裕也はベンチでスマホを見ながら爆笑していた。


「お待たせー。何、笑ってんの?」


美鈴は、そう言うと駆け寄り、2人の間に割り込む。


「おわっ!無理矢理、入り込むなよ!」

「カズ、うっさい!」


美鈴が文句を言った和樹にデコピンをして舌を出す。痛がる和樹を見て、裕也が笑いながらスマホを美鈴に見せる。


「ほら、美鈴の」

「何これー!最悪!超ブスじゃん!消して消して!」


美鈴がスマホを奪おうとするが、裕也は取られないように抱え込んだ。


「カズにも送ったから無理。それに、こんな気を抜いた美鈴、可愛くて消したくない」

「えー……もー可愛く無いよ。あ!カズは消してよね!」

「どうしようかな」

「消して!」


(えーと、これは入れないなー)

藍香は、3人だけの幼馴染みの空間を見せつけられている感じがして、立ち止まっていた。

そこへ笑いながら和樹がスマホを持って来た。


「これ見てよ」


そこにはイルカと水しぶきと呆けた顔の美鈴が写っていた。


「これはナイスショットだね!」


藍香は素直に誉めたのだが、和樹は爆笑する。


「でしょ!藍香さん分かってるね!」

「どこがよ!どういう意味でよ!」


裕也は喜び、美鈴は深読みして突っ込んでいる。

和樹は笑いながら涙目で


「あーやっぱり藍香さんて面白いね!」


「何か変なこと言ったのかな?」


藍香は戸惑うが疎外感は無くなっていた。


イルカショー、YouTubeで見ました。素晴らしい!本当、賢いですね!

゜+.゜(*´∀`)b゜+.゜

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