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彼氏(仮)出来ました  作者: 卯月いちこ
14/16

ダブルデート① タコとペンギン

大変、遅くなりました!!すみません!!(-人-;)

全く書く気がおこらず……その上、書き直したりしてまして。

毎日のように更新している方、凄すぎです!!

水族館の入場門前に、一足先に着いていた裕也と美鈴がいた。

裕也はキャメルのダッフルコートにカーキーのセーター、下は黒の細身のパンツに黒のレザースニーカー。

美鈴はグレーのベレー帽にファーの着いた白いAラインのコートにVネックのピンクのセーター、下はグレーと赤のタータンチエックのキュロットに黒のロングブーツ。金のチェーンにピンクのファーのバッグを肩に掛けていた。

美男美女で長身の2人は雑誌のモデルの様で、皆が一瞬立ち止まり見とれている。


「何かオーラが半端無いね。あそこに合流するの?」


藍香は腰が引ける。


「そんな事を言わないでよ。俺は、そういう人達とずっと一緒だったんだからね」

「メンタル強いねー!和樹君」

「何だよそれ!もー行くよ」


和樹は苦笑して、ほらほらと藍香の肩に、ふざけて自分の体を何回か軽くぶつけてくる。思わず藍香も笑ってしまう。

(何だよ!可愛い事するなぁ!)


「分かった。ごめんごめん!行こうか」


藍香は少し緊張が和らいだ。



「おはよう。待たせてごめんな。今日は、よろしくな。こちら、三嶋藍香さん」

「初めまして。三嶋藍香です。よろしくお願いします」


和樹に紹介されて、藍香は軽くお辞儀して挨拶する。

美鈴が瞬時に上から下までチェックして、少し小馬鹿にしたような目をした。

(そりゃあ、あなたに比べたら、あんまりかもだけどさー)

藍香は別に勝負した訳でもないが、余りにも圧倒的な差にへこんだ。


「初めまして。俺は榊裕也。カズとは幼馴染みなんだ。今日は無理言ってごめんね」


裕也はニッコリと爽やかな笑顔で挨拶する。

(本当にイケメンだなー!それに顔が小さい!首が長い!足も長い!)

藍香は初めて間近に見る裕也の格好よさに感嘆し、さっきの沈んだ気持ちが浮上する。


「私は二度目ましてよね。でも、名乗って無かったわね。ちなみに私も幼馴染みなの。藤崎美鈴です。よろしくね」


美鈴は髪を耳に掛けながら笑顔で挨拶する。

(笑顔なのに圧が凄い!)

藍香は顔がひきつる。


「えっ!美鈴、藍香さんと会ったことあるの?」


裕也が驚くと


「だって、カズが女子とデートしてたから。どんな子か気になったんだもん。でも、ちょっと顔を見た程度だよ。ねー」


美鈴はそう言って首を傾け、藍香を覗き込んだ。


「……ですねー」


藍香も首を傾け、ぎこちない笑顔で返す。

(何だろう。凄いジャブ打たれてる感じ)

何かを感じたのか、和樹がパンと手を叩き


「じゃあ、取り合えず券を買って中に入ろうか」


と皆を(うなが)す。

藍香は少しホッとして財布を出そうとすると、和樹がここは自分に出させて欲しいと言われ、お言葉に甘えてお礼を言うと財布を仕舞う。

ちなみに美鈴は当然のように裕也に払って貰っている。

(流石、女王様だわ)

藍香は友達の言っていた言葉を思い出した。

(私は幼馴染みの恋人として合格なのか否か……女王様というより(しゅうとめ)?)

(いけない、いけない。あんまり気にせず、動物を見て楽しもう!)

藍香は頭を振って余計な考えを振り払う。


「どうしたの?大丈夫?」


和樹が心配そうに聞いてきた。


「大丈夫。早く入ろっ。久しぶりだから楽しみ!」


藍香は笑顔でそう言うと、和樹もホッとして微笑んだ。

後ろに続く美鈴は、そんな2人を気に食わなそうに睨んでいたが、裕也は呑気に


「中々、お似合いだね」


と、美鈴に話しかけていた。


◆◆◆◆


「あータコだ!凄い綺麗!」


通路の中央の筒上の水槽に大きなタコが一匹ウネウネと動いていた。

藍香はキラキラした目で、その水槽にへばりついて見ている。


「タコが綺麗って、どういう事だよ」


和樹は不思議そうに、そう言って藍香と並んでタコを見てみる。

タコがゆっくりと動くたびに、赤をベースとした様々な色のビロードのような皮膚もゆっくりと動く。和樹は万華鏡のようなその美しさに驚く。


「本当だね!タコって生きてると、こんなに綺麗なんだね!」

「ねー!ずっと見てられるよ!」


タコの水槽に、はしゃいでいる2人を遠巻きに見ていた美鈴は思いっきり引いていた。


「大丈夫?あの2人?」

「そう?楽しそうで良いじゃん」


裕也は微笑ましく見ていた。


「美鈴も見に行く?」

「はぁ?何でタコなんか。もう!ほっといてペンギンとか見に行こっ」


美鈴は、まだタコを見ている2人を睨むと裕也の腕を組んで、ペンギンの水槽がある方に引っ張って行った。

裕也は腕を組んでくれた事が嬉しいのか、顔をにやけながら付いて行く。


お目当てのペンギンは表に出た所にいた。

ペンギンはアデリーペンギンで、同じ年頃の女の子が鏡で光を反射させて、ペンギン達がそれを追いかけている。もう1人の友達と思える女の子がスマホでその様子を楽しそうに撮影している。


「可愛いね!」


美鈴も化粧ポーチから鏡を出そうとした。


「あ、駄目だよ。ストレスになるから止めてくださいって書いてある」


裕也が注意書に気が付いて止めた。


「本当だ!危ないところだった!ありがと!ユウ」


美鈴は裕也にお礼を言うと直ぐ様、鏡で遊ぶ女の子に近付き


「ちょっと!ペンギンにストレスだから止めてくれる」


美鈴が単刀直入に注意した。

突然、注意された女の子は顔を真っ赤にして


「ストレスって!だって楽しそうじゃない!」


と、文句を言ってきた。

すると、裕也がスッと美鈴の前に立ち


「ごめんね。いきなり。でも、ペンギンは習性で追いかけるから、それを面白がって皆がやると、ひっきりなしで疲れちゃうから良くないんだって」


ニッコリと優雅に微笑んで注意書を差した。

イケメンから、やんわりと注意されて違う意味で真っ赤になった女の子は


「ご、ごめんなさい!気が付かなくて!」


頭を下げると、友達とそそくさと去って行った。


「本当に知らなかったのか怪しいものね」


フンと鼻息を荒くして美鈴が言うと、裕也は、まぁまぁと美鈴の肩を軽く叩いた。


追い付いた藍香と和樹は丁度その様子を見ていた。

「美鈴さんて強いね……」


藍香は度胸のある美鈴に驚いていた。中々、言えないものである。ただの高慢ちきでは無さそうだ。

「まーねー。間違ってはいないからね。俺と裕也はよくフォローしたもんだよ」


和樹は苦笑いをして美鈴の側に行くと


「おーい。見てたぞ。美鈴、正しいかもしんないけどさー言い方」


と、注意すると美鈴はムッとして


「だってさ!」

「だってじゃないよ。裕也にフォローさせんなよ」


和樹は美鈴に軽くデコピンする。

美鈴は痛いと頬を膨らませ、おでこをさすり


「私は悪くない。ねー裕也」


美鈴に甘えるように言われた裕也は肩をすくめて


「美鈴は直情的すぎるからね。まーそこは彼氏の勤めとしてフォローさせて頂きます」


と、のろける。

藍香は和樹の様子を伺う。和樹は何だか寂しそうな目をしているような気がした。




ペンギンは最初は藍香が遊ぶつもりでいましたが、念のためググったら良くないことだったので、こういう展開になりました。

水族館側がショーのようにやってる分には良いみたいですが。

危なかったわ。(^o^;)

そういえば、裕也はさらりと藍香を名前呼びしてました。モテ男スキルでしょうか。

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