ダブルデート 序章
のんびりしすぎましたー!
更新が遅くなって、すみませんでした!
ダブルデート当日。半田が家まで迎えに来るので、藍香は表で待っていた。今日は髪型もサイドを編み込んでバレッタで留めている。服は上が内側モコモコのグレーと茶色のニットのパーカーに、薄手のラベンダー色のVネックのセーター、下がデニムのロングスカートに赤のスニーカーと、鞄は手提げのチャコールグレーの毛糸の手編み風。総じてカジュアルだ。
何せデートをしたことがないので、モテ女子コーデなど持っていない。その中でも可愛いのを選んだつもりだ。
(大丈夫かな)
コーデも心配だが、藍香はお弁当の入っている手提げの紙袋を覗き込む。
母が手伝おうかと、ちょっかいをかけてきたが、そこはやはり自分で作りたかったので追い払ったり、父は唐揚げをつまんでしまって怒ったりと余計な事で朝から疲れてしまった。
(まったくもー!うちの両親は!)
「おはよう。中で待ってて良かったのに」
半田が自転車でやって来た。
半田のコーデは、紺のコートに上は白地に黒の格子のシャツに生成りに紺と黄色のラインが入ったVネックのベスト、下はベージュのチノパン、靴は白地に紺のスニーカーの綺麗目カジュアルだ。
「半田君、カッコ良いね!」
「えっ!本当?ありがとうーって、あっ!」
「あっ!しまった!」
「ダメじゃん」
笑う半田に藍香は罰金を払う。
(しまったー!気を抜いてた)
「藍香さんも可愛いね!私服を見るの初めてだから新鮮!」
半田に誉められて藍香は、まんざらでもない。
「荷物、貰うよ。行こっか」
「ありがとう」
半田の自転車カゴに荷物を入れてもらい、商店街を抜けた川向こうにある駅まで歩く。
「しかし、おにぎりって意外と難しいのな」
「握った事、無かったの?」
「そうなんだよね。安請け合いしといて。YouT○beで探したら、結構、色々あってさー。良さそうなのを見て何とか三角に握れたよ」
「YouT○beって便利だねー」
「本当、助かったよ」
2人は笑い合うと、商店街を抜けて川の橋まで来た。春だと、この川沿いの桜並木が綺麗で有名な所だ。
「あー早く春にならないかな」
藍香が思わず言うと、半田は笑う。
「まだ、ちゃんと冬になってないよ」
「そーだけどさ。寒いの苦手だし、ここの桜を見たいし」
「確かに凄い綺麗だもんな」
「でしょ。そうだ!春にお花見しようよ!」
「良いね!また、お弁当作ろうか。今度は、お握らずにするかな」
「おー!それも……」
「YouT○beです」
また、2人は笑い合う。
(あー楽しい!もー2人でデートだったら良かったのに)
藍香は覚悟をしたはずだったが、当初の目的を思うと気が滅入った。只でさえ親しくないのに、学校で一二を争う美男美女カップルなのだ。
(絶望的に話が合わないと思う)
しかし、ビビっても仕方無い。まだ、水族館だったのが救いかもしれない。
(可愛い動物を沢山見よう!)
駅に着いたので、半田は駐輪場に自転車を停める。
「荷物ありがとう」
「お弁当の袋は俺が持つよ」
「え!いいよ!」
「いいって、俺、鞄とか無いし」
「えーありがとう!半田君、優しいねーって、あっ!」
「あ!」
藍香は、がっくりして罰金をまた払う。
半田は笑って
「全然ダメじゃん。何回分になるかメモしとこうかな」
と、スマホのスケジュールにメモりだす。
藍香は、じと目で半田を見る。
(これは言い慣れないと不味いな)
電車は日曜の朝で割りと空いていた。2人掛けの席に座ると藍香はホッとして一息ついた。
「座れて良かったね」
「うん。流石に空いてるね」
半田が周りを見ながら言うと、スマホのL○NEの着信音がした。画面を確認すると
「あいつらも今、電車に乗ったって」
「そうなんだ」
「じゃあ、俺らより先に着くね」
「だね」
藍香は緊張してきた。落ち着かなくて膝を両手で擦る。
「大丈夫?」
半田は心配そうに覗き込む。
「何か近付いてきたら……胃が重い……」
藍香は次にお腹を擦る。
「だよね。ほとんど初対面だもんね」
「ごめん。へたれで……うぅ……本当にアシストよろしくね」
藍香は泣きそうな顔で両手を合わせた。
「大丈夫!心配しないで任せて」
半田が力強く言うと、藍香も少し安心する。
「裕也は優しいし喋りやすいと思うよ。美鈴は悪い奴じゃないんだけど……気が強いっていうか」
(だから!そっちが心配なんだって!)
藍香は、きっと睨むと
「本当に本当ーにお願いよ!」
かなり必死に頼み込んだ。半田は少し引きぎみに
「大丈夫。大丈夫だから」
と、繰り返すのであった。
何と!まだ向かうところ!
序章って何?って話ですが、むにゃむにゃむにゃ…
(´ε`;)ゞ