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彼氏(仮)出来ました  作者: 卯月いちこ
12/16

打ち合わせ

藍香は、お風呂を済ませ自室に戻ると、ベットに腰掛けた。

(今日は半田君と会えなかったな。やっぱり、手伝いに来てもらえば良かったかなー。でも、早恵に何か言われそうだったし……)

藍香は、あーっと言うとベットに横になる。

スマホを手に取りL○NEを見ると、丁度、L○NEの電話が鳴った。

(は、半田君だ!)

藍香は飛び起きて、電話に出る。


「もしもし、どうしたの?」

「こんばんわ。今、電話してても大丈夫?」

「全然、大丈夫」


藍香は何故か正座をしていた。電話は初めてだからか緊張する。


「前に言ってたダブルデートなんだけど」

「あぁ、うん」


藍香は、さらに緊張する。


「急なんだけど、明後日の日曜はどうかな?」

「大丈夫だよ。どこに行くの?」

「水族館なんだけど」

「あー!良いね!私、水族館、大好きなんだ」


水族館は久しぶりだったので、藍香のテンションが上がる。


「そうなんだ。良かった」


半田も声が明るくなる。

(そっか、半田君も緊張してたんだ。そりゃそうだよね、お願いする立場だもんね)

これは少しでも気を楽にしてもらわねば。藍香は努めて明るく話そうと思った。


「お昼はどうする?お弁当、持ってくのかな?」

「全然、考えてなかった。裕也に聞いてみるよ」

「うん。久しぶりだから楽しみだな」

「俺も久しぶりだわ。あ、そういえばポップ何とかなった?」

「うん。ばっちし。あれで少しでも借りてくれると良いんだけど」

「あんまり来てくれないもんな。お勧めの指輪物語、読み始めたけど面白いよ。映画も見たくなった」

「でしょ!ハラハラドキドキするんだよね」


藍香は大好きな本を気に入って貰えて、益々テンションが上がる。


「はてしない物語も面白いよ!これは絶対ハードカバーで読んで欲しい!」

「文庫でもあったもんね」

「そうなんだけど、話の始まりはその本が関わってくるから、ハードカバーの方が臨場感があるんだよね」

「えー何それ!凄く気になる!」


そんな話を楽しくして、また連絡するねと言われて電話を切った。

(やっぱり、本の話が出来るって良いね)

藍香はご機嫌で鼻歌を歌いながら立ち上がると足が(しび)れて、よろけた。


「あたたたた……」


(しまった。(くず)すの忘れてた)

藍香は足を(さす)りながら苦笑いする。

(しかし、水族館は楽しみだけどダブルがなー不安だなー)

藍香は美鈴の事を思い出し憂鬱になった。


***


和樹は電話を切るとホッとして、ベットにダイブした。

(良かったー!三嶋さん快諾してくれて!)


「あ、お昼の事……」


和樹は裕也にL○NEで尋ねてみる。


『あー!そうそう。お弁当が良いかな。日曜はレストランも混むしね。あそこの水族館、館内も飲食OKだし広場もあるからね』


和樹は確かにと納得し、きちんと下調べしている裕也に感心した。

(何て極め細やかな奴なんだ)

後は、時間と待ち合わせの場所を決めた。


『今回は無理を言って悪かったな』

裕也が珍しく詫びてきた。

『本当だよ。これっきりにしてくれよ』

(というか、これっきりになるかも……)

『お前の彼女どんな子なんだ?』

和樹は三嶋を思い浮かべる。

『一見、大人しそうだけど可愛いくて面白い子だよ』

『そうなんだ。良さそうな子で良かったな!当日、会えるの楽しみにしてるよ。じゃあ、またな』

バイバイしている犬のスタンプ


『おう。またな』

またね~としている熊のスタンプ


裕也とのL○NEが終わると、早速、三嶋にお弁当になった事と時間と待ち合わせ場所をL○NEする。

すると、すぐに返信がきた。


『和樹君、苦手なおかずある?』

?のウサギのスタンプ


(何と!これは作ってくれるって事なのか!)

そういう経験が皆無だった和樹は、固まってしまった。

(いや、まてよ……そうだよな。彼女って(てい)だからって事だよな)

一瞬、付き合ってる振りをしていたのを忘れて、上がった気持ちを落ち着かせた。


『無いよ。もしかして作ってくれるの?』

『彼女だからさ。そんなに上手じゃないけど作った方が良いかなと思って。』


(仏様?本当、優しすぎる!こんな無理なお願いしてるのに)

和樹は感激して胸あつだ。しかし、甘えすぎもいけない。


『ありがとう!でも、負担が大きいからさ、せめて、おにぎりは俺が握るよ。何の具が良い?』

『えー良いの?和樹君のおにぎりかー食べてみたい!お願いしようかな。具は定番の梅干し、鮭、ツナマヨかな』

『まかせて!』

OKの熊のスタンプ


何か遠足みたいで楽しくなってきた。


『おかずは何が良い?』

『やっぱり、唐揚げと甘い玉子焼きとウインナーかな』

『私も甘い玉子焼きが好きなんだよね!唐揚げ、ウインナーはマストだよね!』

いいねのウサギのスタンプ


『楽しみにしてるね』

『あんまり期待はしないでね!でも、何か遠足みたいで楽しいね』

『何それ!俺もそう思った!』


和樹は驚いた。こういうのを馬が合うと言うのか。


『気が合うね!私も、おにぎり楽しみにしてる』

『頑張って三角に握るよ』

『丸でも良いよ』

笑うウサギのスタンプ


『ありがとう』

涙を流す熊のスタンプ


『笑える』

笑い転げるウサギのスタンプ


楽しかったが、もう11時だ。


『じゃあ、日曜よろしくお願いします!』

おやすみの熊のスタンプ


『こちらこそ』

了解のウサギのスタンプ

おやすみのウサギのスタンプ


やり取りが終わり、和樹はスマホを充電器に繋ぐと、ベットに寝転ぶ。

(おにぎりって握った事無いけど……本当に丸になるかも)

何だか不安になってきた和樹は、明日はおにぎりの握り方を練習しようと決めたのであった。



次回、やっとデートです。

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