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彼氏(仮)出来ました  作者: 卯月いちこ
10/16

半田パニクる

すみません!前回の終わりの方の半田が平田になってました。訂正しました。

平田って誰?ですよね。


また、すみません!今回の後書きでも平田にしてました!

失礼しました!


後、半田君主体なので名前の方に直しました。野口君も友人なので名前にしました。

「おはよう半田君。話があるんだけど、少し良いか?」


和樹が教室の席に着くと、椎名が話しかけてきた。


「おはよう。あぁ、良いけど」


椎名は、1年生にしてサッカー部の主力メンバーに選ばれる目立つ男子だ。おまけにイケメンで日に焼けた肌に細マッチョ、背もそこそこの長身だ。当然、女子にモテるのだが、本人はサッカー一筋で興味が無い。そこがまた良いと言われていた。


対して和樹は文化系の大人しい眼鏡男子だ。椎名とは接点も無く、そんなに喋った事が無かった。だから、そんな椎名に誘われるなんて、何事かと面食らいつつ後を付いて行った。

教室を出て、人目のつかない柱の影まで行くと、そこまで無言だった椎名は振り返り、和樹を射抜くように見て切り出した。


「聞きたい事があるんだ」

「な、何?」


和樹は、よく分からない迫力に押される。


「昨日、一緒に帰ってた女の子いたよね」

「あーうん」


和樹は見られてたのかと思った。

椎名は少し赤くなると


「何て名前の子なの?」


と、聞いてきた。


「え?あーえぇっと、三嶋藍香さんだよ」

「三嶋藍香さん……」


椎名は噛み締めるように呟く。

(な、何なのこれ?)

和樹はプチパニックだった。


「何で一緒に帰ってたんだ?」

「えっと、同じ図書委員で仲良くなって」


椎名は、仲良く?と呟くと和樹を睨んだ。

(何だろう…嫌な予感しかしない!)

和樹の心臓がバクバクする。


「ふ、2人は付き合ってるのか?」


椎名は睨んだまま、和樹に迫る。


「えっ!あっ!あーっ!もうホームルーム始まるから戻らないと!」


和樹は逃げた。後ろで椎名が、はぁっ!?とか何とか言ってたが、取り合えず逃げた。

(ど、ど、どうしよう!!!)

和樹は大パニックになった。


とにかく席に着くと、前の席で友人の野口浩次(のぐちこうじ)が話しかけてくる。


「何か顔色悪いぞ。大丈夫か?椎名と何かあった?」

「あったと言うか何と言うか……」


何と答えていいか困っていると、遅れて教室に入ってきた椎名が和樹に向かって来た。

(やばい!)

和樹は焦った。すると


「おーい!席に着けよ!」


丁度、担任の石田先生が来たため、椎名は苦々しい顔をして和樹を素通りし、後ろの方の自分の席に着いた。

(助かったー!)

和樹は安堵(あんど)の溜め息をついた。


「今度の保護者会の案内のプリント配るからな」


先生がプリントを前列の席の生徒に渡して行く。

浩次が振り返り、和樹にプリントを渡そうとして固まった。


「何か椎名がお前の事、すげぇ睨んでるんだけど」

「えっ!」


和樹は怖々、振り返ると、果たして椎名が凝視していた。

(まじで!!どうしよう!!)

和樹は手早く後ろの席の子にプリントを渡すと、速効、前を向く。

和樹は冷や汗が止まらなかった。

(あれって絶対に三嶋さんに好意があるよね!こういう場合どうしたらいいの!想定外過ぎる!)

和樹は頭を抱え、己の考えの至ら無さを後悔した。


「大丈夫か?」


ホームルームが終わると、浩次は挙動不審な和樹に声をかけた。


「大丈夫じゃない」


和樹は、ぐったりと机に突っ伏して答える。


「あ!」

「えっ?」


浩次の声に驚いて、和樹は飛び起きた。


「何で、さっき答えてくれなかったんだ?」


椎名が憮然(ぶぜん)とした態度で言ってきた。


「えっと……複雑で簡単には答えられないから……」


和樹は、そう言うのがやっとだ。

椎名は怪訝(けげん)な顔になり


「昼休み、食べ終わってから付き合ってくれ」


お前、今度は逃げんじゃねえぞ的な圧で言ってきた。

断れるはずもなく和樹は頷いた。


「じゃ、後でな」


そう言って椎名が去ると、和樹は大きな溜め息をついて、また机に突っ伏す。

(これは、もう腹をくくるしか……)

大変な事になったと、遠い目をして。


「何か知らないが……頑張って」


浩次は、そう言うと和樹の肩を優しく叩いた。



そして、とうとう昼休み。

和樹は、まるで死刑宣告を受けるような面持ちで、浩次とお弁当を食べていた。


「カズ、死相が出てるぞ」


浩次に心配そうに言われて、和樹は力無く笑う。


「こういうのを、身から出た()びって言うんだろな」

「骨は拾ってやるからな」

「笑えない」


和樹はそう言うと、食べ終わった弁当箱を片付けた。そして、深い溜め息をつくと、覚悟をして振り返り椎名を見た。

椎名も待ちかねたように、こちらに向かって来ようとしたが


「椎名君!良かった!来てたんだ!」


他のクラスの女子が教室に入り、椎名に駆け寄った。目がくりっと大きくて、中々、可愛い女の子だ。思わず皆が注目する。


「菊川か……心配かけたな」

「朝練、来なかったから気になって」

「あ、あぁ、ちょっと寝坊しちゃっただけだよ。本当、もう大丈夫」

「本当に?」


菊川は可愛らしく椎名を覗き混む。

いちゃついているような様子に、椎名を好きな女子達が、心穏やかじゃない雰囲気をかもし出す。そして、男子達は羨ましそうに見ていた。サッカー部、入ろうかな、とか言ってるバカもいたり。


「あー菊川、ごめん。ちょっと、これから用事があるから、また部活でな」


椎名は明らかに好意のあるであろう菊川に、バッサリそう言った。菊川が一瞬、固まる。女子達は内心ガッツポーズを、男子達は何て勿体無いと驚いた。


「そ、そっか、ごめんね。忙しい時に。とにかく大丈夫そうで良かった。また部活でね」

「おう、ありがとな」


菊川は何とか平静を装って明るくやり取りすると、教室を出て行った。何とも言えない雰囲気の中、椎名は平然と和樹の所に来る。

(これがモテる男子のなせる技か)

和樹は幼馴染みの裕也を思い出した。


「さて、どっか静かなとこに行こうぜ」

「ーあぁ」


和樹は椎名に連行されて行った。

何事かとクラスの皆が、ざわついていた。


半田君びっくりの回です。


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